
OLYMPUS E-10+C-PL, f2.0, 1/25s(シャッタースピード優先)
また雨か。 やや憂鬱な気分を抱えながら、すっかり日が暮れた夜の入り口で、私は雨の中車を走らせていた。鳥目(とりめ)の私にとってこういう日のこの時間帯は危険だ。あまりよく見えないまま、3割くらい勘で走っている。 他の人が夜にどれくらい物が見えているのかは知らないのだけど(知りたいけど知りようがない)、私はかなり見えてない気がする。鳥さんといい勝負かもしれない。いや、それはちょっと大げさか。病気ってほどでもないから。これはビタミンAの不足なのか? 毎日、ブルーベリーのゼリーを食べてるんだけどな。 自分が夜、今一歩物が見えてないらしいと気づいたのは、大学生になって免許を取ってからだ。女の子を助手席に乗せて夜ドライブしてたとき、いつの間にか反対車線を入っていて、対向車とぶつかりそうになったことがあった。女の子が横で「ギャーーー!」と悲鳴を上げたとき、なんだよ、私って鳥目かよ、と思ったのだった。 その後、その女の子が二度と助手席に乗ることがなかったのを、自分の鳥目のせいにしようと思ったけど、考えたら昼間も乗ってくれなかったから原因は他にあったのだろう。
赤信号で引っかかって、なかなか信号が変わらない。でもこの長い停車時間が赤い光の美しさに気づかせてくれた。ああ、赤い光がきれいだ。ふとそう感じて、一枚写真を撮った。 車のテールライトと赤信号が、雨に濡れた地面や車を赤く染めていて、これはちょっといいなと思った。
赤い光といえば赤い彗星だ(やや無理矢理な連想)。 「認めたくないものだな…自分自身の若さゆえの過ちというものを」 シャアのセリフをつぶやいてみる。 「認めたくないものだな…自分自身の鳥目ゆえの過ちというものを」 シャアの言葉は、車に乗っているといろんなところで応用が利く。今でも右車線から猛スピードで走り去る車を見ると私は反射的に心の中でこう言うのだ。 「速いな」と。 無理矢理割り込んでこようとする車を、スピードを上げて阻止するときはこうだ。 「させるか!」 それでも割り込まれて、いかれてしまったときは、 「更に出来るようになったな、ガンダム」となる。 いや、公道にガンダムは走ってないけど。
雨の日の夜は赤い光がにじんできれいに見えることに今日初めて気づいた。もうずいぶん長いあいだ車を運転してるし、こういうシーンは何度も目にしてたはずなのに、今までそんなこと思ったこともなかった。 イヤなことや苦手なことの中にも気づけばいいことがあるもんだ。こういう小さな喜びを自分の中で見つけて集めていくと、人生も悪いもんじゃないなと思えるようになる。 まだ気づけてない美しさが見慣れた街の中にもたくさんあるはずだ。目を開いてしっかり見ようと思う。鳥目に負けるな、私。
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