現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
朝焼けと名前も思い出せない彼女の記憶 2005年10月24日(月)
2005年10月25日 (火) | 編集 |
朝焼け空

OLYMPUS E-10+C-PL, f4.0, 1/10s(絞り優先)


 似て非なる朝焼けと夕焼け。村上ファンドと欽ちゃんくらい違う。私の友達のマッチャくんと森進一くらい似てるけど。
 さて、これは朝焼けでしょうか、夕焼けでしょうか?
 という問いに正解する人の確率は何パーセントくらいなんだろう。70パーセントくらいいくのか、それとも案外半々くらいなんだろうか。
 ライフラインのオーディエンスをお願いします。

 これは秋の朝焼けで、時間は6時すぎのものだ。
 夕焼けでもこういうライトブルーとピンクのコントラストの空はあるけど、朝焼けの方がやわらかい感じがする。色合いが優しい。
 私はこの色の空が一番好きで、幸せに一番近い色と呼んでいる。真っ赤な夕焼けよりも、黄金の空よりも、こちらの方が幸せが体に染み込んでくる感じがする。個人的な感覚として。

「最近、毎日のように夜明け空を見てから寝てるんですよ」
「そうなんだ、すごいね」
 何年か前、短い間メールを交わした女の子との何気ない会話がずっと心に残っている。
「すごい」という反応が意外だったのと、それは嘘とも言えない嘘だったから。あの頃の私は確かに朝まで起きていて寝る前に空を見たりもしたけど、毎日のように夜明けを見ていたわけでは決してなかった。なのに、なんでそんなことを書いてしまったのか、自分でもよく分からない。格好つけたかった気持がどこかにあったのかもしれない。当時の私は、今よりももっと感傷的な人間だったから。
「私、奥さんのいる人とつきあってるんだ」
「へえ、そうなんだ」
「ちょっと大変だった」
「うん」
 それからしばらくしてメールは途切れてしまったけど、朝の空を見ると、あのときの会話が消えずに残った小さな古傷みたいに思い出される。
 あれから彼女は幸せな恋愛をしてるのかな。

 夜が明け始める頃、私は窓の外を見る。あのときついた嘘を本当にするために。
 そして、彼女のことを思い出すともなく思い出す。もう名前さえ忘れてしまったけれど。





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