現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
名前がよくなくても人気者になれる(こともある) 2005年10月27日(木)
2005年10月28日 (金) | 編集 |

ヘクソカズラの実


OLYMPUS E-10+C-PL, f2.4, 1/30s(絞り優先)


 誰がつけたかヘクソカズラ。
 カタカナで書くとさほどでもないけど漢字で書くと容赦がない。
 屁糞葛。
 目くそ鼻くそ、みたい。
 そりゃないぜと花も嘆いているかもしれない。
 けど、この名前で得してるところもある。同情票が集まって、意外よく知られた花となっているのだ。変わった名前やよくない名前がかえってその人を人気者にすることがあるように。
 速水もこみちみたいに。
 幸田シャーミンみたいに。
 山本スーザン久美子みたいに。
 もしこの花の名前が伊藤博さんみたいな名前だったら、マイナーな雑草として今ほど知られずにいただろう。

 小さな筒型の白い花はあまり目立たない。夏頃、フェンスに絡まったり、溝の中でへばりつくようにして咲いている。やっかいな雑草として引っこ抜かれてしまうことも多い。
 でも生き延びて秋になると、この写真のように黄褐色の実をつける。始めは緑色だったものが、だんだん黄色くなり、更に葉っぱが落ちるともっと黄色が濃くなる。よく言えばこがね色とも言える。

 名前の由来は、花や茎や葉っぱをつぶすと嫌な匂いがするところからつけられたそうだ。それにしてももう少し遠慮がちにつけてあげようよと思う。よっぽどこいつのせいでひどい目にあったりしたのだろうか。
 実は変な匂いではないそうだ。ヒヨドリやツグミなんかも好んで食べるらしい。

 見えるところでも見えないところでも、秋は確実に深まっていっている。野草に興味を持つようになってから、季節の移り変わりに敏感になった。先週まで咲いていた花が週明けに枯れているのを見たりすると、季節の目盛りがひとつ動いたなと思う。
 街中で見かける花もめっきり少なくなった。最近ちょっと森に行ってないけど、森林の野草は今どうなってるんだろう。木にはたくさんの実がなってるんだろうか。野に咲く花はいよいよ終わりが近づいた。

 この季節はやっぱり、どうしたって少しもの悲しい気分になる。
 けれど、寒い季節にもそのときにしかない楽しみがあるわけで、そっちの方を向いていこうと思う。
 砂漠の真ん中でレンタカーが故障して動けなくなり、「あなたどうするのよ!」と奥さんに怒鳴られた村上春樹は言った。
「ねえ、ものごとの良い面を見ようよ」と。
 私もホント、そう思う。凍える冬には太陽の日差しが暖かい。





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