現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
部屋中にカマキリの子供を散らした思い出 2005年11月1日(火)
2005年11月02日 (水) | 編集 |
オオカマキリの卵


Canon EOS D30+EF35-135mm(f3.5-4.5), f4.5, 1/30s(絞り優先)


「カマキリの子を散らすように」という言葉がないのはちょっと残念だ。「蜘蛛の子を散らすように」という言葉はあるのに。

 あなたはカマキリの子を散らしたことがあるだろうか? 私はある。小学校の時。
 近所の空き地から持ち帰ったカマキリの卵を、味付けのりが入っていたプラスチック・ケースに入れたまま忘れていたら、ある日、中でものすごい数のチビカマキリが動き回っていて、お、こりゃ、すごい、親に見せなきゃと思ってフタを開けて手に持った瞬間、ケースを落とした私。
 まさにカマキリの子を散らすようにカマキリの子は部屋中に散らばったとさ。めでたし、めだたし。
 って、全然めでたくない。わっ、しまったと思ったときにはもう遅い。何しろカマキリの子供は体長が1cmくらいしかないから掴もうにも掴めないのだ。すごくすばしっこいし。2百匹を追う者は1匹をも得ずのことわざ通り、ついには1匹も捕まえられないままあきらめた。自分の手に負えないと分かったときのあきらめのよさはまさにAB型気質。
 その後、とりあえずなすがままに任せてみたけど、特に大きな問題とはならなかった。みんな自力で逃げたのだろう。やはり、めでたし、めでたし、だった(ホントにそうだったのか?)。

 今日久々に海上の森で、このカマキリの卵を見つけた。子供の頃は学校帰りの空き地でもどこでも当たり前にあったから珍しいものじゃなかったけど、大人になってからは何年かにひとつ見るか見ないかとなってしまった。
 カマキリ自体、今年は結局1匹も見なかった。あれだけ野山に散策へ行っていたにもかかわらず。数も昔に比べたらだいぶ減っているのだろう。
 カマキリはマクロの被写体として面白いから、ぜひ撮ってみたかったんだけど。

 この卵(正確には卵鞘(らんしょう)または卵嚢(らんのう)と言う)は、オオカマキリのものだ。一番よく見かけるタイプだろう。
 他にも、チョウセンカマキリ、コカマキリ、ハラビロカマキリなどが日本では一般的で、それぞれ卵の形がかなり違っているから、見分けるのは難しくない。
 卵を産みつけられるのが10月くらいからで、このまま冬を越して、来年の5月か6月に孵化する。孵化してすぐに脱皮して、10日に1回のペースで7回の脱皮を繰り返して夏頃成虫になる。
 卵の中には200〜300ほどの卵が入っているのだけど、虫やら撮りやらに食べられて、必ずしも全部が孵化するわけではない。更に子供の頃は鳥のエサになってしまうことも多いようだ。200匹も300匹も全部カマキリになってしまったら困ると言えば困るから仕方ないのだろう。カマキリだらけになってしまったら、今度はカマキリのエサになる虫が足りなくなってしまう。

 カマキリの卵を見ると、頭の中にあのとき部屋中に散らばったチビカマキリの映像が鮮やかによみがえる。思い出すと笑える。プラモデルの箱に捕まえたトカゲを20匹くらい入れて持ち帰って、母親に見せたときも手を滑らせて部屋中に散らばったのとあわせて、今となってはいい思い出となっている。
 母親の本気の絶叫というものを聞いたのはあれが最初で最後だ。今、男の子の母親をやってる人たちはそういう経験はほとんどないんだろうなと思うと、恵まれてるような残念なような、どっちなんだろうなとちょっと考えてしまう私であった。





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