 Canon EOS D30+SIGMA28-80mm(f3.5-5.6), f4.0, 1/10s(絞り優先)
勤労感謝の一日、勤労とも感謝とも無縁のアイは電気ストーブの前で伸びるばかり。この至近距離で暑くないのか?
川原でノラ生活を送っていたアイが私のところへやって来たのが2003年1月始めだったから、そろそろつき合いも3年近くになる。来たばかりの頃はやせ細ったチビだったのに、今では筋肉もりもり女となってしまった。水野裕子みたい。 毎日7階と1階を3往復して、外ではハトを物陰から狙ったり、虫を生け捕りにして持ち帰ってきたり、ボス猫に追いかけられて高い木の上に登ったりで、運動不足とは無縁の生活を送っている。世の中でこんなにも体を鍛えてる猫もそうはいないんじゃないだろうか。そのおかげか、妙に体が丈夫で、この3年風邪ひとつひかず、病院へ行ったこともない。その点では手間のかからない猫と言える。 しかし、ワガママ度は年々ひどくなり、最近は何か気に入らないことがあるとうなりながら飛びかかってくる始末。ヒステリックさはカイヤ並みかもしれない。川崎麻世の気持ちが少しだけ分かる気がする。 いつからこんな性格になってしまったんだろう。育て方を間違えたんだろうか? 単に私が彼女より下に見られてるだけなのか。メシ係くらいにしか思ってないフシもある。
この夏もまたたくさんのエモノをくわえて持ち帰ってきた。セミにバッタにカナブンにイモリ。スズメの子供を深夜に持ってきたときは、部屋の中で飛び回るスズメとそれを追いかける私とアイで大騒ぎになったものだ。 その中でも一番の大物というか印象深かったのはシジュウカラだった。何度か写真に撮ったことはあるけど、手に持てるとは思ってもみなかったので嬉しかった。あのときばかりはアイを誉めてやったものだ。 どの生き物も一切傷を付けずに持ち帰るテクニックはたいしたものだと感心する。食べるわけではなく生け捕ることに生き甲斐を感じてるのだろう。 ハンター・アイは今年も健在だったので安心したけど、彼女も人間でいうとそろそろ40が近い。来年はもう今年ほど捕まえられないんじゃないだろうか。それを思うとちょっと寂しくなる。 最近は寒くなったせいで、出かけていくときちゅうちょするようになった。いったんドアの外に出て、ブルブルッと体を震わせて、こりゃたまらんとばかりにその場でUターンして家の中へ駆け込んでいったりする。若い頃は雪の上でも平気で歩いて出かけていったのに。 寄る年波に勝てないのは人間も猫も同じらしい。
冬になると、ロバート・A・ハインラインのSF小説『夏への扉』を思い出す。あの中に出てきた猫のピートのことを。 主人公と暮らす猫のピートは、冬になると家にたくさんあるドアのどれかが夏に通じると信じて、ひとつひとつ開けろとせがむ。そしてそのどれもがそうじゃないと分かると、窓の外を見てじっと佇むのだ。あの表紙のピートの後ろ姿がずっと心に残っている。 ピートは夏への扉を見つけられたんだろうか。私はどうだろう。ただ冬が過ぎるのを待ってるだけでいいんだろか? なんてことを考えつつ、今年もまた冬を迎えることになった。 ストーブの前で伸びてるアイはハトを捕まえる夢でも見てるのかな。

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