 Canon EOS D30+TAMRON 28-80mm(f3.5-5.6), f5.6, 1/125s(絞り優先)
曇天の冬空にはカラスがよく似合う。 カラスといえば近年不吉なイメージがすっかり定着してしまっているけど、古来日本では吉兆を示す鳥だった。神武天皇が戦に出たとき、3本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」が松明をくわえて導いたという伝説があって、それ以来カラスは神聖な鳥として親しまれてきた。日本サッカー協会JFAのシンボルマークが三本足のカラスだというのを知っている人も多いだろう。 清少納言も「枕草子」の中で、「烏の寝どころへ行くとて 三つ四つ 二つ三つなど 飛び急ぐさへ あはれなり」と書いているし、昔から嫌われ者だったわけではなかったはずなのだ。 カラスが悪者になってしまったのは石原慎太郎東京都知事のせいに違いない(もっと前からだろう)。
人は賢い生き物に対して、好感と反感の入り交じった複雑な思いを抱くようにできてるらしい。イルカなんかに対してはおおむね好意を持っていると思うけど、猫に対しては好き嫌いが分かれがちだし、サルについてもなんとなく素直に敬意を表せないところがある。オウムに口癖をマネされたりするといい気がしなかったり。 カラスに関しては一部擁護派がいるものの、どうにも嫌われてしまっているのが現状だ。都会で直接的な被害を受けている人だけでなく一般的に。 ではおまえはどうなんだ、カラスのどこが好きなんだ、と問われると、いや、別に、と明石家サンタのお決まりのやりとりのようになってしまうけど、決して嫌いというわけではない。ただ、野鳥を撮りにいってカラスしか撮れないとすごく残念な気持ちになるのは間違いない。黒というのは写真映えがしないから。黒い人気者といえば、サンコンさん、みのもんた、松崎しげる、東幹久、日本ではこの4人くらいだ(もう少しいるだろう)。
私たちが普段目にしているカラスには2種類いることを知っているだろうか。都会派のハシブトガラスと、カントリー派のハシボソガラスと。都会のカラスはカァーカァーと澄んだ声で鳴き、田んぼなんかにいるやつはガァーガァーとがなってるから区別がつく。見た目も、ハシブトはその名の通りくちばしが太くて頭もずんぐりしているのに対して、ハシボソはくちばしが細くて頭もすっきりしている。歩き方も違うし、全然別の種類だ。 クルミを車にひかせて割ったり、貝を上空から落としたり、水道の蛇口をひねって水を飲んだりしてるのはたいていハシボソの方だ。こちらの方がかなり知性が高いらしく、飼えば九官鳥と同じくらい人の言葉を覚えてマネできるんだとか。 ただし、カラスを飼育するのは法律で禁止されている。知ってました? あれも野鳥だから、無許可で獲ったり飼ったりしてはいけないんだそうだ。ヒナを拾っても持ち帰ったらいけないんだとか。確かに、カラスを肩に乗せて電車に乗ってる人は見かけないものな。 って、そんなやつ、イヤだ! でも想像すると笑える。その人の半径2メートルくらいには異空間が現出するに違いない。
日本には12種類くらいのカラス科の鳥がいて、お馴染みのカケスやオナガなんかもカラス科だ。世界には120種類ものカラス科の鳥がいる。 ただ、日本で見かけるハシボソ、ハシブトは世界中にいるかといえばそうではなく、都会派のハシブトは東アジアから東南アジアにかけての狭い範囲にしかおらず、カントリー派のハシボソもアジア全域、中東、ヨーロッパまでで、アメリカ大陸やアフリカ大陸、インドにはいない(基本的に)。 ヒッチコックの『鳥』でアメリカにもいるような気がしてるけど、ヒッチコックも原作者のダフネ・デュ=モーリアもイギリスの人間だ。それにあれはワタリガラス、いわゆるオオガラスというやつらしい(日本では北海道にだけ渡ってくる)。
都会のカラスも郊外のカラスも、知ってみれば意外と悪いやつらじゃない。人の暮らしの変化に合わせて彼らも生活様式を変えてきたわけで、いうなれば人とともにある鳥だ。仲良くしないまでも、あんまり目の敵にせず温かい目で見守って欲しいと思う。 ゴミを漁られたり、襲われそうになったりしても、カラスなぜ鳴くの、カラスは山に、七つのかわいい子があるからよ、という子供の頃よく聴いた童謡を思い出して優しい気持ちになってください。七つっていうと、人間いうと小2だな、と思ったのは私だけではないはず(それは間違いです)。
もしあなたが明日からカラス好きになろうと思い立ったなら、公園などをマヨネーズを吸いながら歩くとよいでしょう。カラスはマヨネーズが大好物らしいから、鹿せんべいを抱えて奈良公園を歩くときと同じような楽しさのカラス版が味わえるでしょう! 手なずけたら、肩に乗せたところを写真に撮らせてくださいね。

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