現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
うらやましいようなうらやましくないようなカルガモのオス 2005年12月10日(土)
2005年12月11日 (日) | 編集 |
香流川のカルガモ

Canon EOS D30+EF75-300mm(f4-5.6), f4.5, 1/90s(絞り優先)


 なんでもない街中の川にもカモはやってくる。決してきれいな水とは言えないところだけど、カモにとってはこれくらいがちょうどいいのかもしれない。山奥のきれいな川ではカモを見かけないから。
 この香流川にも、北から渡ってきたコガモやマガモやオナガガモなどがそれぞれ小さな群れを作って過ごしている。池では違う種類同士が一緒にかたまってるシーンをよく見かけるけど、川はグループごとに分かれてることが多いように思う。高校1年の1学期の教室で、同じ中学出身者が固まるみたいに。まだ冬の始まりでみんな顔見知りじゃないから警戒してるけど、もう少し冬が進むと混成チームになるのかもしれない。

 今年の香流川は去年と比べてカモの数が少ないような印象がある。気のせいだろうか。ちょうどこの川の上流に愛・地球博の会場があって、川のあたりもずいぶん工事があったようだから、その影響も考えられる。実際、数年前、会場の工事が始まって、香流川上流にわずかに残っていた貴重なヒメボタルが絶滅したという話もある。
 愛知万博は多くのものを与えてくれたし得るものもあったけど、目に見えないところで失ったものも少なくなかったに違いない。自然との共生といっても、あくまでも人間にとって都合がいい範囲内でということでしかない。海上の森をつぶさなかったのがせめてもの救いだ。

 写真に写ってるのは一年中日本にいるカルガモだ。他のカモは全部渡り鳥なのに、こいつらだけは渡りをせずにずっと日本に居座っている。春にみんなが飛び立っていったあとは夏から秋にかけて川を独占してのんびりしてたのに、冬になってまたたくさんのカモがやって来て、ちょっと脇に追いやられたような格好だ。にぎやかになって喜んでるのか、またしばらく騒々しい季節になったなと思ってるのか、どっちなんだろう。
 なんで渡らないのかといえば、やっぱり暑さ寒さに強いってことがある。真夏のうだるような暑さも真冬の凍てつく寒さにも耐えられるってのはたいしたものだ。ただ、あまりにも寒いところはやっぱりイヤなようで、北海道は夏だけ渡っていくそうだ。私も暑さ寒さにはかなり強い方だけど、北海道へ行くなら夏にしたいと思うものな。
 エサと子育ての問題は、雑食ということで解決している。水草やコケを主食としながらも、水中の虫や木の実や草も食べるし、人がくれたパンやポップコーンなんかも食べる。エサをとるのも、水中だけでなく田んぼなんかにも出張していくから、食べるものに困ることはないのだろう。
 エサさえあれば子育てにもいい。あえて危険を冒してまで渡りをする必要はない。チビたちを引き連れてテクテク歩いてる姿は初夏の風物詩となっていて、ニュースなどでもよく見かけるだろう。皇居の堀に移動していく姿で有名なのがこのカルガモだ。

 一年限りの一夫一妻で、4月から7月くらいにかけてカップルになって、卵を産むとすぐにカップルは解消となる。卵を温めることからヒナの世話まで全部メスがやる。カルガモのオスっていいかも。それとも、卵さえ産んでしまえばあんたなんか用なしよと追い払われてしまうのだろうか。だとしたらちょっと悲しいかも。
 卵の数は10〜12個と多め。ヒナは約25日でふ化して、子育ても全面的にメスがする。天敵と呼べるほどはっきりした敵はいないけど、カラスや猫あたりがちょっと危ない。ヒナの数が多い割にはカルガモの大群って見かけないから、思ってるより生き残るのは大変なんだろう。
 その間、オスはどこで何をしてるんだ。子育てもないし、渡りで命を落とすこともない。けっこう気楽な稼業と言える。いやいやオレだってこうみえて実は苦労してるんだよガァガァ、とカルガモのオスは言うかもしれない。

 生息地は、ユーラシア大陸東部から中国、インドあたりまで。冬は東南アジアに渡る。
 日本では全国の川や池に普通にいるし、海にもいる。それがけっこう不思議なところだ。淡水と海水は違うだろうと思うんだけど、いい加減というかどんな環境にも馴染むというか、たぶんO型だな。
 野生化したアヒルとの雑種や、マガモとの雑種もけっこういるところをみると、今年はちょっと気分を変えてマガモの奥さんにしてみるか、なんてことを考えてるカモなのだろう、やつらは。
 カルガモは漢字で書くと「軽鴨」。万葉集に出ている「軽の池」にいたカモというところから名前が付いているんだとか。

 寒くなってこれから鍋を食べる機会が増えてくる。鴨が葱を背負ってやって来る季節だ(ちょっと使い方を間違えている)。でも、カモに興味を持つようになって以来、もう鴨鍋は食べられない。カモは食べるより写真に撮りたい。じゃあ牛や豚の立場どうなんだといえば、豚や牛は写真に撮りたくないから食べるのだ、という無茶な理屈をつける私。ニワトリも撮りたくない。馬とか鹿とか羊とかクジラとかは撮りたい。熊もぜひ激写したいから食べない。うん、この区別けっこう使える。
 目の前に何かの肉が出されたとする。その生き物の生きてる姿を頭に浮かべてみて写真を撮りたいと思ったら食べない、撮りたくないと思ったら食べる、それでいこう。
 じゃあ、イノシシはどうしよう? それは微妙なところだな。
 そういえば、愛・地球博のオーストラリア館ではワニやカンガルーのハンバーガーが売ってたな。あれも人と自然との共生なのか!?

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