 Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f1.8, 1/125s(絞り優先)
私は30歳を過ぎるまで、小倉トーストが名古屋特有の食べ物だということを知らないまま、名古屋でぬくぬくと育っていた。喫茶店へ行けばモーニングサービスで出てきたし、高校では購買で普通に小倉&ネオマーガリンのロールパンを食べていた。だから、小倉&マーガリンは当然全国共通の食べ物で、ジャムパンとかメロンパンと同列のパンだと信じて疑わなかった。思えば幸福な時代だった。 小倉とパンの組み合わせが特殊な食べ物だと知ったときは、驚きを通り越して狼狽したものだ。ええ? ホントに? またまたー。冗談でしょ? と最初は信じられなかった。しかも、小倉トーストは笑い話のネタだというではないか。そんなバカな!? あのときばかりは無自覚な名古屋人である自分をちょっとだけ恥じたものだった。なんてことだ。寿がきやだけじゃなく小倉トーストよ、お前もか!
小倉トーストを最初に誰が発明したのかはよく分かっていない。気がつけば浸透していた(ホントか?)。どこかの喫茶店の店主が思いついて作ったのが始まりだとか、学生が発明したんだとか言われてるようだけど、名古屋人でも真相は知らない。でも小倉トーストを知らない名古屋人はおそらくほとんどいないくらい、この地方では完全に認知されている。そして、多くの名古屋人が私同様これが特殊な食べ物だとは知らないまま平和に暮らしている。よその県ではどうなんだろう。もしかして、その存在自体未知のものだったりするんだろうか? 「サンドロール小倉&ネオマーガリン」を販売しているPasco(敷島パン)によると、中部での大成功に気をよくして関西に出荷してみたところ、さっぱり売れずに撤退したものの、こんな美味しいものが売れないはずがないと、今度は東京に進出して順調に売上げを伸ばしているという。それで気を取り直して再び関西でも売るようになったというんだけど、どれくらい全国で認知されているんだろう。九州や北海道なんかでは本当に知らない人もいそうだ。というか、誰も知らなかったりして。 名古屋、中部地方ではこの手の菓子パンは何種類も出ていて、全部を食べた人はあまりいないだろうというほど活況を呈している。もちろんコンビニに行けばいつでも買うことができるし、小倉&マーガリン初心者ならどれを買ったらいいのか迷ってしまうかもしれない。とりあえずはじめの一歩としては、基本のPasco「サンドロール小倉&ネオマーガリン」をいっておくのがいいだろう。更にもう一歩踏み込みたいときは、ヤマザキの「デニッシュサンド 小倉&マーガリン」をおすすめしたい。パンがデニッシュになっていてこちらの方が私は好きだ。 本場の小倉トーストを食べたければ名古屋の喫茶店に来ればいい。たいていどこにでも普通にメニューにあるから。最近のモーニング事情には疎いのだけど、小倉トーストをモーニングとして出してくれる喫茶店もあるはずだ。コーヒー代350円で食べきれないほどの小倉トーストやヨーグルトやサラダや卵なんかが付いてくる(ときにはみそ汁まで)。
わざわざ名古屋まで行けないよって人は自分で作ってしまえばいい。写真がそれだ。焼いたトーストの上に小倉を乗せると小倉トーストで、写真のようにトーストではさむと小倉トーストサンドになる。個人的にはこちらを推したい。わー、なんだ、これー、まずそー、などと言ってはいけない。まずいか美味しいからは食べてからということで。いや、全然キワモノじゃないですってば。なんといっても私が30まで何の違和感もなく食べていたものなんだから。 作り方は簡単で、薄切りトースト2枚を用意して、それぞれに薄くマーガリンを塗った後、茹で小豆缶詰の餡を1枚にたっぷり乗せて、あとははさんでトースターで焼くだけだ。少し焦げ目が付くくらいに焼いたら、半分なり3つなりに切り分けて食べる。うーん、出来たてはまた格別だね。 缶詰の餡は甘さひかえめなので、もっと甘いのが好きならシロップを加えるといい。更に焼き上がったところにマーガリンを塗り足すと濃厚な味になる。マーガリンの代わりにバターを使うパターンもある。 あんパンともあんまんとも違った食感がきっとあなたをトリコにするでしょう。ビバ、小倉トースト! 自分の作る小倉トーストに満足できなくなったときは、ぜひ名古屋まで食べに来てください。やっぱりお店のはひと味もふた味も違った美味しさがあるから。
それにしても、まさか小倉トーストが名古屋にしかないものだったとは(いまだに半信半疑)。他にも全国のものだと思い込んでる名古屋の食べ物ってないだろうか? なんか不安になってきた。あ、そういえば、スパゲティ・ナポリタンの鉄板に薄く卵を敷いてその上に乗せるスタイルが特殊だと知ったのも去年だったではないか。こりゃあまだ他にもありそうだな。大阪のうどん屋で「ざるきし」を注文して通じなかったときのようなミスはもう二度と繰り返すまい。

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