 Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f2.5, 1/10s(絞り優先)
ありがたくいただいた義理チョコを普通に食べるだけでは脳がない。いや、能がない。気が利いた男である私は(自称)、それで招き猫を作ることを思いついた。何故招き猫かと問うなかれ。思いついたのが、招き猫とモリゾーしかなくて、その中で招き猫を選んだに過ぎない。 何しろチョコの彫刻は生まれて初めてなので勝手が分からない。まずはチョコを溶かすところで立ち止まってしまった。どうやって溶かすんだろう? ネットで調べてみたところ、湯せんすると書いてあった。なるほど、湯せんってことは湯飲みをお湯に浸けるんだな、と勝手に解釈して(たぶんそういうことじゃないと思う)、やってみたら上手くいった。えーと、固める場合、常温でゆっくり冷やすのですか? それとも冷蔵庫で一気に急速冷蔵? よく分からないけど、最初は常温、次に冷蔵庫にしてみた。
待つこと30分。そろそろ固まったかなと取り出してみたところ、それなりに固まっている。これならいけるかもと、さっそく招き猫制作に入る。 言い忘れていたけど、湯飲みでそのまま固めてみた(のちのちこれは大失敗へとつながる)。 えーと、取り出せませんよ。まあ普通に考えたらそうだわな。湯飲みの中で固まったチョコが逆さに振ったくらいで都合良くポトリと落ちようはずもない。こりゃ弱ったぞ。早くも泣きが入る。こうなったらナイフで周りを切って中心部分だけでも取り出すしかない。で、やってみたところ、こりゃいけませんよ。周りはボロボロになるし、底がくっついて全然取れないし、第一まだ固まり方が弱くて途中でびろ〜んと伸びて切れてしまった! わっ! しまった! 焦った私は電気ストーブにチョコが残った湯飲みを近づけ、チョコをかき出した。そして先ほど取り出したチョコの固まりに無理矢理くっつけこねるべし! こうなったらやけっぱちだ。手打ちうどんのときのように手で丸めてしまえ。えいや! とぉ! よし、なんとか形になったぞ。 その勢いで招き猫制作へとなだれ込む。まずは耳の部分から伸ばして、ううっ、伸びんっ。うわ! 取れた! と、早くも悪戦苦闘。チョコがこんなにもタチが悪いものだったとは。粘土のように伸びず、木のようにしっかりしていない。まったく言うことを聞かないやつだ。でもなんとかコブを作って、体の形を整える行程に入る。んがっ、手に持ってる背中の部分は温まって溶けてくるのに対して正面の顔の部分はどんどん冷えて固まってきて、もはや指でどうこうできる状態ではないのであります。招くはずの右手もこれ以上どうにもなりません。伸ばすのも削るのもままならないまま、いったん床に置く。手がチョコまるけでねちょねちょじゃん。もはやこれまでか!? こうなったらもう仕上げに入ってしまおう。もう? ナイフを取り出してきて、削ったり、線を付けたり、表面をなめらかにしていたら、なんとなく招き猫っぽくなってきた。はは。いいぞ、いいぞ。これはこれで素朴な味があるではないかと妙に納得してしまった。 完成したのを見て、ひゃひゃひゃと、ひとりで受けて笑う私。バレンタインデーの夜、義理チョコで招き猫を作って大喜びの男、そんなやつは世界広しといえどもそうはいないだろう。今宵、私の部屋は平和に満ちていた。愛よりも、平和が大事と思いたい。
こうしてここに2006年2月14日版チョコ招き猫は完成したのだった。全長8cm。重さ150g。世界でただひとつのチョコ招き猫、誰かいりますか? しかし、いろんな種類のチョコを混ぜてしまったんで、本来のチョコの色から遠ざかってしまったのが気になるところ。どんな味がするんだろう。クリーム入りとかジャム入りチョコとかも混ざってるし。食べようと思ったけど、冷蔵庫に入れておいたらガチガチになっていて食べられなかった。前歯を持っていかれそうな固さ。それはそうだ、なんといっても中身が詰まったチョコの固まりなんだから。折れた前歯で歯医者に行って、どうしたんですか、ケンカでもしたんですか、と訊かれて、いや、チョコ招き猫を作って食べたら歯が折れちゃいまして、なんて説明するのはイヤだ。 でもこれ、自分で作る分には楽しかったけど、女の子にもらったらどうだろうと考えてしまった。きれいなラッピングをした箱を持った女性が、これ手作りしたんですけどよかったらどうぞと渡してくれて、わー、手作りですか、ありがとう、嬉しいな、と箱を開けてこれが出てきたらびっくり。ええぇぇ? ま、招き猫??? 意図が読めない。喜んでいいものやら誉めていいものやらリアクションに困ってしまう。笑顔も引きつるチョコ招き猫。将来のある女の子に手作りチョコ招き猫はオススメできません。上手い下手の問題ではなく。 私個人の問題としては、ぜひまた来年も挑戦したいと思っている。今回は初めてということで完成度が低かったのが悔しい。二度目となればもっと上手く作れるはずだ。終わってから気づいたけど、温めたナイフなんかを使って形を整えていくとよさそうな気がする。もしくは、最初から型どりの段階である程度基本的な部分を作っておくという手もある。柔らかいアルミの板か何かで。 早くも来年のバレンタインの義理チョコが楽しみになってきましたよ。ところで、本命チョコはどうしたんだ、私? あ、もらうの忘れてた。

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