現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
春旅立つ前に桜の下で待っているよ、シロハラさん 2006年3月29日(水)
2006年03月30日 (木) | 編集 |
シロハラさん?

FUJIFILM FinePix S1 Pro+NIKKOR 70-300mm (f4-5.6D), f5.6, 1/12s(絞り優先)


 東谷山(とうごくさん)山頂に向かって山道を歩いていると、突然横の雑木林から見知らぬ鳥が前方に飛び出してきた。なんだ、なんだ!? 驚いて立ち止まる私。地面に降りてあらぬ方向を向く鳥さん。とりあえずしゃがんでみた。本物の鳥好きならここで地面に伏せてほふく前進をするところだが、ニセモノの鳥好きの私はコーデュロイのパンツがシワになるのを気にしつつ、80年代ヤンキー座りでカメラを構える。
 ところでキミ、誰ですか? どこかで会ったことありましたっけ? 林の中は薄暗く、姿がよく見えない。
 鳥さんは私の存在に当然気づいているに違いないのだけど、こちらを気にせず地面をクチバシでつついて、盛大に枯れ葉を飛ばし始めた。何がそんなに気に入らないんだ? ってくらいの勢いで。どうやら葉っぱの下に隠れている虫か何かを探しているようだ。これはシャッターチャンスとばかりに撮りまくる私。5分くらいの間に30枚は撮っただろうか。これくらい撮れば一枚くらいまともに撮れているだろう、しめしめ、とそのときは思った。
 しばらくしてモデルとしての使命を終えたと感じたのか、キョキョキョーっという声を発してどこかに飛び去っていった。あれは私に向かって何か言い残していったのだと思う。やたら撮ってたみたいだけど、全部ブレブレだぞー、などと言っていたのかもしれない。家に帰ってきてから見てみると、ホントに全部ブレてるかピントが合ってなかった。いや〜ん。

 図鑑やネットで調べたところ、どうやらシロハラらしい。確信はないけど、80パーセントくらいそうじゃないかと思う。林の中、地面、葉を掘り返す、キョキョキョという鳴き声、それらがシロハラの特徴を示している。ということで、一応シロハラという前提で話を進めたい。
 腹が白いからシロハラ(白腹)。腹が黒かったらハラグロ(腹黒)という名前になっていたんだろうか。にしても、言われるほど腹は白くない。灰腹くらいだ。こいつとそっくりで腹が赤いのはアカハラというらしい。
 それにしても全体的に地味な鳥だ。いつも暗い林の地面近くにいるっていうし、昔なら根暗呼ばわりされかねない。ただ、陽の当たるところで見ると、羽や背中は濃い褐色で、目の回りは薄く黄色でふちどりされてたりして、ややかわいげがある。
 オスメスは基本的に同色で、オスの方が頭が黒っぽくて、メスはやや灰色、頬と喉に白線があるというから、写真のこいつはメスなんじゃないかと思う。足はオレンジ色。
 大きさは約25センチで、ツグミと同じくらいだ。ツグミ科だし。
 繁殖地はウスリー、アムール。って、どこだよそれ。繁殖地までマイナーか。日本には冬鳥として渡ってくる。雪は苦手で、北には少なく、中部以南に多い。名古屋ではあまり見かけない気がするけど、私が気づいてないだけか。関西より南の九州、四国ではよく見かけるそうだ。

 エサはミミズとかヤスデとかアリなんか。彼をクチバシで飛ばして、地面にいるやつを食べる。手で持つ気がしないものばかり食べてるんだな。木の実もたまに食べるらしい。
 秋に渡ってきたときにはある程度の集団で過ごし、冬場はテリトリーを決めて単独行動することが多い。冬場は食べられる虫が少ないからだろう。春先、4月くらいになるとウスリーやアムールに帰っていく。気になって調べたら、ロシアと中国の国境線近くのハバロフスク地方らしい。そう言われても、なるほど、あそこか! とは思えないけど。
 そんな地方ということもあって、繁殖の詳しいところはよく分かってないようだ。日本でも少数の繁殖例があって、低い木の上に巣を作って4個くらい卵を産むという話もある。

 結局のところ、分かったようでよく分からなかった推定シロハラさん。地味であることだけは間違いない。今度会うときは、陽の当たる明るい場所で会いたいものだ。あなたは私の太陽だったと言いたいし言われたい。私、切り絵はけっこう得意だし。高校の時の自由選択時間で切り絵の授業を選択したという本格派。太陽の切り絵くらい楽勝なのだ。ハハハ!(そんなこと威張ってどうする)
 日陰を好むシロハラさんは、人がたくさん集まる桜でも平気でチョコマカと愛嬌を振りまくメジロなんかをどう見てるんだろう? 野鳥なら野鳥らしくミミズを食いやがれ、などと思ってるのかな。それであんなふうにイラ立った様子で葉っぱを飛ばしまくってるのかもしれない。
 桜の木の下で待ってるから、たまにはこっちへおいでよ、と言いたい。

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