 FUJIFILM FinePix S1 Pro+NIKKOR 70-300mm (f4-5.6D), f6.7, 1/110s(絞り優先)
春になって目覚めるのは花や北国の動物ばかりじゃない。コウモリも同じように冬眠から目覚めて空に戻ってくる。少し気が早いこいつは、まだ肌寒い日の夕方前に一匹でヒラヒラ飛び回っていた。 おそらくアブラコウモリだろう。別名イエコウモリ。日本の街中で見かけるコウモリの大半は、このアブラコウモリだ。しかし、コウモリを侮ってはいけない。日本にいるのは一種類か、せいぜい2、3種類だと思っている人が多いと思うけど、実際には30種類以上もいる。私も最初は驚いた。そんなにもコウモリっているもんなんだ。暗がりの中を飛んでいて黒っぽい体をしてるから、一般人で種類まで見分けられる人は少ないと思うけど。 世界には1000種類からいるそうだ。世界はコウモリだらけだったという衝撃の事実。世界のほ乳類が約4,000種類だから、その中の4分の1をコウモリが占めていることになる。 そう、コウモリはほ乳類だ。赤ちゃんで生んで、母乳で子供を育てている。そして、唯一の空を飛べるほ乳類でもある。ムササビなんかもほ乳類だけど、あれは空を滑空してるだけで自分の意志では飛べない。 そんな意外性の生き物コウモリについて今日は少し勉強してみよう。
大きく分けると、大型コウモリと小型コウモリに分けられる。日本にいるのは小型のものだけで、例外的に小笠原諸島や琉球列島にのみ大型コウモリが生息している。あとは熱帯だ。こいつらはいろんな種類がいて、派手な格好をしたものや、動物の血を吸うものなど、バラエティーに富んでいる。 一方小型のものはたいて地味な姿をしている。夜行性だから、その方が都合がいいのだろう。街にいるアブラコウモリはコウモリの中で例外的に人家やその近くに棲んでいる。他のものはだいたい山の木の洞や洞窟にいる。 アブラコウモリの体長は5センチ前後。翼を広げると20センチくらいになるから、飛んでいるときは大きく見えるけど実際はとても小さい。体重も5gくらいしかない。1円玉5枚分だ。 翼に羽はない。鳥とは根本的に作りが違っている。まず、翼は腕と足に付いているように見えて全然違う。細い指が伸びていて、その間に膜が張ったようになっている。水かきがびよ〜んと伸びたようなものだ。5本指の間に張った膜が後ろ足につながって、更にシッポにまでつながる。親指だけ翼からちょろっと出ていて、これをどこかに引っかけてぶら下がったりすることもできる。 とにかく飛ぶことに特化した体なので、立ち上がったり、歩いたりすることはできない。道ばたをコウモリがヒョコヒョコ歩いていたなんて光景を見たことがある人はいないはずだ。何らかの理由で地面に降りてしまった場合は、這うことになる。立ち上がれないから寝るときも立って寝ることができず、足でぶら下がった格好で寝ることになる。これがコウモリにとっては一番楽な姿勢だからだ。
活動はもっぱら夜。夕方くらいになると起き出してきて、メシを探して飛び回る。コウモリは虫を食べて生きている。これも知らないと意外に思うかもしれない。外国のものはそれぞれいろんなものを食べているようだけど、日本にいるのは虫専門だ。主に蚊とかハエとかを食べる。実はコウモリは不気味に思われがちだけど、ツバメ同様益鳥なのだ。昼間担当のツバメはあんなにも愛されているのに、夜担当のコウモリが報われないのはなんとも気の毒な話だ。やはり見た目が大事ということか。でも、人間にとって悪いことは何もしない。蚊やハエを捕ってくれるありがたい鳥としてもっと大事にされてもいい。カラスなんかとはまったく違う。 とても大食いで、蚊なら一日500匹は食べる。ということは、もしコウモリがいなくなったら蚊の数がものすごいことになるだろう。コウモリ様々といえよう。蚊が大の苦手な私は特に、コウモリには感謝しなくてはならない。 よく知られているように超音波を出してぶつからずに飛んだり虫を捕まえたりしている。たくさんの群れの中でも自分の子供を見分けられるのは、超音波で意志を疎通させているからだと言われている。目はあまりよくはないけど、明るいうちはそれなりに見えているようだ。 3月下旬、冬眠から目覚めたアブラコウモリは、6月の終わりくらいに2〜3匹の子供を産む。たいていのコウモリは一回に1匹なのにアブラコウモリは多い。子供の生き残る確率が低いからというのもあるだろう。 最低気温が10度くらいになる11月になると、民家の屋根裏や木の洞、都会ではビルの隙間などで冬眠に入る。15度を超える春になると目覚める。 寿命はオスで2〜3年、メスで5年くらい。けっこうはかない。
これを読んで、少しはコウモリについて好きになってもらえただろうか。なかなかどころかすごくいいやつなので、私からもコウモリくんたちをよろしくとお願いしたい。 現在、コウモリは世界のあらゆる場所で生きている。いないのは南極と北極だけと言われているほどだ。日本のように特に意味もなく不吉がられているところもあるだろうし、普通の扱いを受けているところもあるだろう。中国では、蝙蝠の読みが幸福(紅蝠)と同じということで、幸せをもたらす縁起のいい生き物として大切に扱われているそうだ。日本も昔はそうだったらしい。どうも、西洋の吸血鬼なんかとイメージがごっちゃになってしまっているのだろう。実際は、人間を積極的に襲って血を吸うようなコウモリは世界にもいない。 発見された化石から、コウモリは他のほ乳類と同じく今から5,000万年前くらいには今のような姿に進化していたと言われる。それから今までずっと、虫を食い続けてきた(それだけじゃないけど)。人類にとっては農作物を荒らす虫を食べてくれる生き物として昔から役に立ってきた。触れ合う機会はハトやカラスなんかと比べて圧倒的に少ないけど、身近な隣人として感謝すべき存在と言えるだろう。 今後はコウモリを見たら、いつもごくろうさん、ありがとう、とひと声かけることにしよう。ただし、あくまでも心の中でだ。口に出して言っているところを人に見られたら、こいつコウモリと会話できるのかよ! と危ない人に思われる恐れがあるから。

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