現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
2006年桜シーズンの締めくくりは散りかけの五条川 2006年4月12日(水)
2006年04月13日 (木) | 編集 |
五条川落花盛ん

Canon EOS 10D+EF28-105mm(f3.5-4.5), f5.0, 1/200s(絞り優先)


 名古屋地方の桜のピークは先週末で、天気の良かった日曜日は各地で最高の賑わいを見せていた。それから2日間雨が続いて、ようやく雨があがった今日、今年締めくくりとして大口町の五条川へ行ってきた。ここは去年たくさん回った中で一番のお気に入りだった。
 しかし、2日間の雨と強い風は、思った以上に桜を散らせていた。満開から3割くらいは散っていただろう。7分咲きと3割散りでは、まったく景観が違う。残念ながら散り始めた桜はあまりきれいじゃない。ちょうどいいときに雨が続いたのがもったいなかった。
 その代わり、桜祭りも終わって観光客もほとんどいなかったから、ゆっくり見て写真を撮ることができたのはよかった。近所の人たちが、遊歩道を普通に犬の散歩ができるくらい平常に戻っていた。このあたりも日曜日などは人並みで前に進めなかったくらいだっただろう。
 散ったなら散ったで、桜の花びらが川を埋め尽くす様子を撮りたいと思っていたら、そこまでは散ってなかった。そういう意味では訪れるのが中途半端に早すぎた。あと3日くらい待つべきだったろう。五条川の桜並木の一番いいところは、川幅が狭くて、桜が川の方に傾いている点で、川面を覆うほど花びらが流れていく様は、それはもう幻想的なのだ。写真でしか見たことがないのだけど。これはまた、来年への課題として残った。

 五条川は愛知県を代表する桜の名所で、全国桜100選にも選ばれている。川沿いの桜並木ということでは、名古屋市瑞穂区の山崎川とここと、ベストワン、ツーと言っていいだろう。桜の木なら山崎川、風景としての景観なら五条川だと個人的には思っている。もし、山崎川の川幅がもっと狭くて、川自体にも風情があれば文句なしだけど、そう何もかもうまくはいかない。
 五条川の桜並木といってもスポットは多く、人によって思い浮かべる場所は違うと思う。五条川は、岐阜県多治見市から始まって、犬山の入鹿池を経た後、大口町、江南市、岩倉市を通って、新川、日光川と名前を変えつつ、最後は伊勢湾に流れ込む、全長28キロの川だ。その間、ほぼずっと桜が植わっていて、桜並木の長さでは日本第2位だそうだ。一番桜が多いのは岩倉市で、7キロにソメイヨシノを中心として1,600本の桜が植えられている。昭和24年頃から植えられ始めたというから、そろそろ老木も目立ち始めている。
 ということで、五条川というと岩倉市の豊国橋、岩倉橋あたりをイメージするのが一般的ではありつつ、私はややローカルな大口町の裁断橋があるあたりによく行く。こっちの方が車もとめやすいし、人も少なくていい。
 今NHKの大河でやってる山内一豊の出身地がこの岩倉市で、頑張って宣伝活動をしてるようだけど、あまり知られてない。裁断橋は、豊臣秀吉の家臣だった堀尾金助とその母のエピソードを知っている人なら、そういう部分でも楽しめるだろう。堀尾邸の跡地も残されている。

 五条川でもうひとつ有名なのが「のんぼり洗い」だ。鯉のぼりの糊を落とすため、川に入って鯉のぼりを流しながら洗う。なんで川に入って洗うんだと私に訊かれても困る。そういう伝統行事だから。冬の寒いときから行われ、桜祭りの期間にも実演される。今となっては五条川はそんなにきれいな川じゃないから、川で洗ったものを持ち帰ってもう一度水道水で洗わないと駄目なような気もするけど。
 その他、山車巡行があったり、桜祭り期間中は80店ほど屋台が並ぶ。夜はライトアップもされ、ここは宴会禁止じゃないので夜も賑わうようだ(山崎川は住宅地なので宴会禁止)。
 岩倉市や大口町がこの桜祭りにかける意気込みはなかなかのものがある。近くの大型スーパーなども観光客に駐車されてしまうけど、協賛してるので文句は言わない(はず)。山内一豊で一気に知名度を上げようと目論みは、ドラマ自体がいまひとつなので思惑は外れ気味。「新撰組」のときのような効果はまったく期待できそうにない。

 今年の桜見物は、この五条川が最後ということになりそうだ。もう少し回りたかったけど、雨が降ったり、タイミングが合わなかったりで、思ったほどは行ききれなかった。ただ、必要充分に見たので、物足りなさはない。なんだかんだで開花から2週間以上も持ったのだから、長く楽しませてもらった方だろう。
 写真という点では、去年は本当に桜は難しいと思ったけど、今年はいろいろ撮れて楽しかった。まだまだいろんな撮り方があることも分かったし、それは来年以降の楽しみになった。夜桜もまだ挑戦してないし、桜吹雪が舞うシーンのスローシャッターも試してみたい。
 桜の季節の終わりに立って、去年ほど感傷的な気分になっていない。それがいい傾向なのかそうじゃないのかは分からない。ただ、今年行ったすべての場所で、桜たちに来年の再会を約束してきたから、その約束は守らなければいけないという思いが今胸にある。終わってしまうことは悲しいことじゃない。再会の楽しみや喜びを与えてくれるのだから。
 来年はまた、満開の五条川の桜に会いに行こうと思う。やっぱり、私はここの桜が一番好きだ。

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