 Canon EOS 10D+EF28-105mm(f3.5-4.5), f5.6, 1/100s(絞り優先)
猿投の桃を見てきた。といっても、サルが桃を投げる芸を見てきたわけではない。猿投というのは地名で、「さなげ」と読む。猿投山、猿投インター、猿投神社、そのあたりで地元ではわりと有名な場所だ。地理的には豊田市の北西、グリーンロードの猿投インターのあたり一帯が桃園となっている。全部で2万本というからなかなかのものだ。 桃の花だから、桜や梅ほどメジャーじゃないし、桃の花自体あまり知られてない。だから観光客がドヤドヤ押しかけるというわけではないものの、この前中日新聞に載ったこともあって、にわか名所となっている。私が行ったのは夕方の日没前だったから数人しか見かけなかったけど、昼間や週末はけっこうなにぎわいのようだ。
それにしてもここの写真を撮るのは難しい。実際はあたりがピンク色に彩られ、華やかな雰囲気に包まれているのだけど、写真ではそれを伝えることができない。2万本とはいえ、1キロ四方くらいに散在していて密集してないから、ここというポイントがない。たぶん、地元の人なんかはいいビューポイントを知ってるのだろうけど、フラッと立ち寄っていきなりそんなポイントを見つけるのは難しかった。各農家さんがそれぞれの土地で栽培してる桃で、見栄えがいいように計算して植えてあるわけでもない。 時期的にはどうだったんだろう。満開が先週末くらいだったようだから、少し遅かったかもしれない。桃の花は、最初白っぽくてだんだん赤色が濃くなっていったところで花をつんでしまうんだそうだ。そうしないと美味しい桃がならないらしい。つまなくても花は一週間程度で散ってしまう。 通常桃の花の見頃は、ソメイヨシノ満開の一週間遅れくらいだと言われている。桃の節句の歌に出てくるあの桃は、温室で育てられたもので、普通はそんなに早くは咲かない。
原産地は中国で、桃の字も中国の字だ。日本には弥生時代くらいに伝わったのではないかと言われている(縄文時代という説もある)。昔は観賞用や薬用が主で、実を品種改良して美味しく食べられるようにしたのはずっと後の明治時代、それも輸入したものがきっかけだった。桃の食用としての歴史は意外と浅い。 女の子の節句がどうして桃の節句かというと、桃はたくさんなることから豊穣の象徴だからというのがひとつある。あと、桃の字の中の兆しをおめでたの兆しになぞらえてそこから女性に関係するようになったからとも言われている。桃太郎の元々のストーリーは、拾った桃を食べたおばあさんとおじいさんが若返って、出来た子供が桃太郎というものだった。ピンクを桃色とも言うし、桃にはそういうイメージがある。ももの実の見た目からきてる部分もあるだろう。
桃の花の手前に咲いている白い花は梨の花だ。これがリンゴの花だったら、りんごももか姫だったのに、惜しい!(そういう問題か?) 梨の花もあまり見る機会はないと思うけど、ちょうど桃と同時期に咲く花だ。この後少し遅れてサクランボ、リンゴなどが続く。秋に実がなる木はこの時期に花を咲かせるものが多く、見慣れないと区別が難しい。 梨の原産は日本と中国で、弥生時代から食べられていたことが遺跡から分かっている。今私たちが食べているものは、野生を品種改良したものだ。21世紀になっても、やっぱり二十世紀が一番有名だろう。 桃も手間がかかるけど、梨もかかる。花を咲かせている一週間のうちにひとつひとつ手作業で人工交配させていかなければならない。耳かきのうしろの綿みたいなのの大きいやつでポンポンポンと、花粉をつけていく。上を見上げながらの作業なので、めちゃめちゃしんどい。とりあえずバレーボール部の1年生にやらせるといいと思う(実際は難しい作業なので素人には任せられない)。
歌舞伎界のことを梨園というのは、唐の玄宗皇帝の故事からきている。玄宗皇帝は踊りや音楽が好きで、梨のたくさん植えられている庭で人々に踊りや歌を教えていた。その人たちが梨園の弟子と呼ばれたことから、転じてその世界の人々を指す言葉となった。 桃源郷も同じく中国の話から来ている言葉だ。漁師が桃の花が咲き誇る夢のような場所に迷い込んで、あまりにも素晴らしかったのでもう一度行こうとしたけど二度と見つけることができなかった。そこから、行きたくても行けない理想郷という意味で桃源郷と言われるようになった。
今回は短い時間で、文字通りの桃源郷気分とまではいかなかった。ベストのビューポイントも見つけられなかったし、写真も心残りがある。また来年ぜひ訪れたい場所がこれでひとつ増えた。南山国際高校の北、419号線と349号線の間、サークルKから西に入ったあたりにいいポイントがあるらしい。車では入っていけない場所だから、どこかにとめて歩いていかないといけない。来年はぜひそこに踏み込んでいきたいと思う。そこがもし、本当の桃源郷だったら、私は迷い込んで出てこられなくなってしまうかもしれない。来年の4月15日頃、突然ブログの更新が止まったら、私は桃源郷へいっちゃったと思ってください。

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