 Canon EOS 10D+EF75-300mm(f4.0-5.6), f4.0, 1/4s(絞り優先)
孫悟空のモデルと言われているキンシコウ(金絲猴)。でも実はそうじゃない。トリビアの泉でもガセビアとして紹介されていた。どこかの研究者が思いつきをうっかり口走ってしまって、それが広まってしまったというのが真相のようだ。あとから訂正したものの、もはや打ち消すことができなかった。 でも、そんな説を信じてしまいたくなるものをキンシコウは確かに備えている。美しい金オレンジ色の毛並みと青くセクシーな顔をあわせ持つこの生き物は、そのへんでバナナをもらって嬉しそうに笑ってるサルとは品からして違う。孫悟空のモデルではなくてもキンシコウの価値が下がるわけではない。自分のことをオラとか言いそうにないし。この日も、7つのドラゴンボールを集めに行くでもなく、のんびり毛づくろいをしていた(そっちの孫悟空は話が違うだろう)。 ジャイアントパンダ、ゴールデンターキンとこのキンシコウは、中国の三大珍獣と呼ばれ、手厚く保護され、繁殖が試みられている。日本でも中国との共同研究プロジェクトで、キンシコウを借り受けて繁殖させることに成功している。現在のところ、王子動物園、ズーラシア、熊本市動植物園でしか見ることができないけど、このまま順調に赤ん坊が生まれれば、全国の動物園にも広まっていくかもしれない。東山動物園のちびっこキンシコウも元気に飛び回っていた。
キンシコウの故郷は、チベットや中国西部の森林だ。標高2,000〜3,000メートルの高地で暮らしている。それゆえ、いまだ謎な部分が多く、生息数も6,000〜1万くらいとはっきりしていない。パンダ同様なかなか人間が踏み込んでいけない場所のようだ。 オス1頭、メス数頭の家族を基本とした群れで行動しているという。ときには多くの家族が集まって数百頭の群れになることもあるらしい。 エサは雑食。木の葉、木の実、果実、昆虫などを主食としつつ、冬場は食べるものが少なくなるから、食べられるものはなんでも食べる。 冬はマイナスまで気温が下がるもっとも寒冷な場所にすむサルでもある。それで毛が長くなったというのもあるかもしれない。長い毛は肩から生えている。 体長はオスで70センチくらい、メスがやや小さく50センチくらい。体重は20〜30キロほどだ。オスの唇の両端には小さな突起があるので見分けがつく。写真をよく見るとそれが見て取れるので、これはオスだろう。 顔は青白く、低くて上を向いた鼻が特徴的。ちょっと研ナオコ風。 写真の毛並みがオレンジっぽいのは、室内の照明のせいもあるだろうけど、非繁殖期だからだ。8月から10月の恋の季節になると、もっと鮮やかな金色を帯びてくる。 妊娠期間は200日ほどで、子供はたいていひとりっ子。中国のひとりっ子政策に合わせたわけではないだろうけど。チビの頃は淡い灰色の体毛をしている。
東山動物園の二大アイドルは、コアラとキンシコウだと思う。これにジャイアントパンダが加われば、更に魅力的な動物園になるに違いないのだけど、なかなかパンダは難しいのだろう。譲り受けるのも、育てるのも。 キンシコウを見ようという人の多くは、これを孫悟空のモデルだと思って見に来る。動物に興味はないけど子供にせがまれて家族でやってきたというお父さんだって、そんなものがいるのかどれどれ見てみようかと興味を惹かれても不思議ではない。これが猪八戒のモデルとなったブタだったりしたら、そんなもの別に見たかねえと思う可能性が高い。もし、沙悟浄のモデルとなった岸部シローがオリに入ってバイトをしてたら、それはそれで見てみたいと思うけど(モデルとかじゃない)。 だから、やっぱりキンシコウはこれからも孫悟空のモデルとなったサルでいいのだ。間違いでもかまわないし、嘘だとしても優しい嘘だ。 次は9月あたりに毛並みが金色になった頃、外に出ているところを撮りたい。太陽に照らされる金色のキンシコウは、きっときれいだろうな。

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