 Canon EOS 10D+TAMRON SP 90mm(f2.8), f3.2, 1/125s(絞り優先)
見慣れないトンボが私を誘うようにヒラヒラふわふわと飛びながら遠ざかり、止まったところに近づくと、またフッと飛び立ってハラハラと舞って距離をとる。なおも追いかけ、フラフラと迷い込んだ藪の中。そぉっと近づき、やっと撮らせてくれたのがこの一枚。期せずして珍しい角度のトンボ写真となった。 さて、これは何トンボだろうと家に帰ってきてから調べてみたところ、どうやらカワトンボのようだ。これとよく似た羽が黒いハグロトンボは昔からお馴染みだけど、カワトンボはこれまでほとんど見たことがなかったような気がする。見ていても意識的に見てはいなかった。
しかし、カワトンボだと分かったからといって安心するのはまだ早い。ここから更にもう一歩踏み込んで特定しようとすると、話はややこしくなる。まず、カワトンボという名前のトンボはいない。カワトンボは、ニシカワトンボ、ヒガシカワトンボ、オオカワトンボの3つの亜種に分かれている。静岡より東にいるのがヒガシカワトンボで、中部から西はニシカワトンボとなる。だから、写真のこれはたぶんニシカワトンボなのだと思う。オオカワトンボはニシとヒガシよりやや大きく、富山、長野、静岡から鹿児島県にかけて(高知、長崎にはいない)と分布に偏りがあるのが特徴だ。私はニシとオオカワトンボの区別はつかない。 それからカワトンボの大きな特徴として、個体差の大きさというのも挙げられる。まず、翅が透明なものと、オレンジ色のものがいて、その中間的なやつもいるということを知っていないと、別のトンボと思ってしまう可能性が高い。更に、体色変化も激しく、写真のように緑色に光っているのは未成熟なやつで、成長するに従って白い粉をふいたような灰色の体色になっていく。見比べると、とても同じ種類のトンボとは思えない。 メスは銅色の体をしていて、前翅に白いワンポイントを付けている。 他にも、ミヤマカワトンボ、アオハダトンボなど、見た目が似てて紛らわしいやつがいる。トンボ博士への道のりは果てしなく遠い。
カワトンボたちは、北海道から九州まで、日本のだいたいの場所に生息している。さほど珍しいトンボではない。ただ、基本的に生息域が渓流の近辺なので、都会で暮らしていたら見かける機会はめったにないと思う。街中の公園にはあまりいないはずだ。 大きさは5センチ前後で、イトトンボほど頼りない感じではなく、ヤンマたちのように力強くもない。飛び方は直線的ではなく、ちょっと蝶みたいにヒラヒラした感じに飛ぶ。 4月の終わりから8月くらいにかけて見ることができる。 エサは他のトンボ同様、小さな虫などだ。飛びながら6本の手足で獲物を鷲づかみにして、するどい歯と丈夫なアゴでいただく。アップで見るとけっこうえげつない。 幼虫は、きれいな渓流や小川にしかおらず、ヤゴとして水の中で2年近くを過ごす。トンボになってから冬を越すことはできない。
トンボの区別というのも、花や鳥や他の虫たちと同じように、とても難しい。去年は途中であきらめてしまったところがある。アキアカネやらナツアカネやら、赤いやつだけでもたくさんいたりして。今年はもう少し勉強して分かるようになりたい。赤トンボ、オニヤンマ、シオカラ、イトトンボで済んでいた頃が懐かしいけど、もうあの頃のようには戻れない。名前が分からないとどうも落ち着かない。 まず、トンボには大きく分けて3つのグループがある。 不均翅亜目(トンボ亜目)は、お馴染みのヤンマ系や赤トンボのグループで、後翅が前翅よりも広くて、とまるときは翅を広げている。両目の位置はほとんどくっついている。 均翅不均翅亜目(ムカシトンボ亜目)は、胴体は不均翅亜目に似て、翅を閉じてとまるタイプだ。これはムカシトンボとヒマラヤムカシトンボの2種類しかいない。 均翅亜目(イトトンボ亜目)は、カワトンボやイトトンボたちのグループで、前翅と後翅がほぼ同じ形で、胴体が細長く、翅を閉じてとまる。両目の位置は離れている。 世界には約5,000種類のトンボがいると言われている。日本には200種類ほどが見られるんだそうだ。そんなにいるとは知らなかった。どうりで区別がつかないはずだ。子供の頃から見たものをざっと数えてみると、せいぜい20種類くらいだろうか。10分の1でしかない。でもそれだけまだまだ楽しみがあるということでもある。 去年は日本最小のハッチョウトンボやムカシトンボを初めて見た。今年はどんなはじめましてがあるだろう。 そういえば、トンボの目の前で人差し指をぐるぐる回すと目を回すというあれは本当なんだろうか。子供心にそれはないだろうと思ってやったことはないのだけど、人に言わせると本当だと言い張る。もし、その作戦が実際役に立つのだとしたら、写真を撮るときにも有効な手段となるだろう。今度一度試してみよう。 ただ問題は、左の指で回したとして、重い一眼デジを右手だけで持ってシャッターを押せるかということだ。ブルブル震えてしまっては、いくらトンボが止まっていても意味がない。とりあえず夏までに純金製の鉄アレーを買って右手を鍛えるか。いや、純金だから鉄アレーじゃなく、金アレーだ。2キロのやつで600万円らしいけど。
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