現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
リトルワールドへ行ってニューリトルワールドを考えた 2006年6月5日(月)
2006年06月06日 (火) | 編集 |
リトルワールドのイタリア家前

Canon EOS 10D+TAMRON 28-300mm XR(f3.5-6.3), f6.3, 1/500s(絞り優先)



 犬山にあるリトルワールドに行ってきた。愛知県民、岐阜県民なら、中学生や高校生のときに社会見学で連れていかれた人も多いだろう。私も中学生のとき行った。でも、当時はそんなものにまるで興味はなく、自由時間には友達と広場で野球をやっていたから、実質今回が初めてだった。
 ここは一時閉鎖が噂された。というより決まっていたのだと思う。赤字続きで親会社の名鉄も投げだし、子会社に無理矢理押しつけ、万博終了をめどに終了という話だった。それが万博のおかげでにわかに人気を盛り返し、入場者が増えてきた。万博が始まったときは、あんなものリトルワールドのちょっと大きいやつだろう、なんて地元民は言っていたくらいコンセプトは相通じるものがあるので、当然の流れと言えばそうだろう。万博が終わったとたん、抜け殻のようになってしまった愛知県民が、あの興奮と感動を忘れられずリトルワールドを訪れたという話も聞く。
 こうなると、名鉄としてもなんとなく続けざるを得ない状況になってきた。一応存続運動みたいなものもあったようだし。今は、愛・地球博回顧展などというものもやっている。
 ただし、名鉄を侮ってはいけない。また入場者が減ったところで今度こそ本当に閉鎖してしまう可能性は大いにある。行くなら早い内に行っておいた方がいいだろう。

 地元では有名なリトルワールドも、全国的な知名度はほとんどないに等しいだろうから、どんなところかイメージするのは難しいかもしれない。簡単に言うと、世界中の特徴的な民家を移築したり復元したりして展示してある野外博物館だ。123万平方メートルという広い場所に、22ヶ国33施設の野外展示物が建っている。昭和58年に作られた。こんな施設は世界広しといえど、ここにしかない。
 その建物はずいぶんマニアックなもので、海外旅行をしてもお目にかかれないようなものばかりだ。アイヌの家、インディアンのテント、バリ島貴族の家、ドイツバイエルン地方の村、ボリネシアの家やらタイのランナータイの家、カッセーナ族の家、ンデベレ族の家などなど、そもそも海外旅行に行かないようなところのものも多い。アジアでは韓国、台湾などの代表的な民家などが、日本からは沖縄石垣島の家や山形県の家などが参加している。珍しいには違いないけど、やや偏りが強すぎる気がしないでもない。
 ここのもうひとつの売りとしては、各国の民族衣装をレンタルできるということがある。これ目当てに訪れるコスプレイヤーもいるようだ。韓国のチマ・チョゴリやタイのサリーなどお馴染みのものから、中世イタリアやアルザス地方、ドイツの民族衣装など、初めて目にするものもある。それぞれ300円から500円くらいなので、そんなに高くはない。けっこう着てる人もいて、みんな写真を撮ったり、なりきったりして楽しんでいたようだ。
 食事に関しても、各国のものを楽しむことができる。中国、台湾、ドイツ、イタリア、アフリカ、インドなどなど、本場のコックさんが作っている(たぶん)。値段設定も低めで、味の評判も上々だ。ワニらーめん、ワニどっく、というのが気になったけど、もちろん食べたりはしなかった。
 おみやげも、外国のいろいろなものを取り揃えている。そういうものが好きな人にとっては魅力的だろう。
 どこの観光地でも言えることだけど、ここもお金を使えば使うほど楽しめる仕組みになっている。逆に言えば、入場料だけで済まそうとする私などは、リトルワールドの本当の楽しさを半分も味わえないと言えるかもしれない。しっかり楽しもうと思ったら、入場料を入れて5,000円くらいは考えておいた方がよさそうだ。

 写真は、イタリアのアルベロベッロの家と、その地方の衣装を身につけたおふたりさんだ。この衣装のまま家からやって来たわけではない。でも、こんな格好で歩いていてもこの中では違和感はない。写真だけ見ると日本じゃないみたいだ。
 このあたりが個人的には一番気に入った。イタリアの民家やドイツの村や教会、花畑などがあって、人も多く、華やいだ雰囲気に包まれていて。
 1周2.5km。建物の外側だけ見て歩いて約1時間。家の中まで見学して2時間コースといったところだろう。けっこう広いけど、明治村に比べたら半分くらいという印象だった。でも、ひとつひとつ丁寧に見ながらおみやげを選び、ご飯を食べてしていたら一日でも回りきれない。
 それにしても、なんだか妙に楽しかったというか面白かったという印象が残ったリトルワールドだった。愛・地球博を経験したあとだったということも影響してるかもしれない。何か特別これといったものがあるわけではないけど、非日常的空間に身を置くことの浮き立つ感じとでも言おうか。まさにそこは、名前通り縮小した世界だった。中学生の自分に、面白いからしっかり見ておけと言ってもたぶん伝わらない。あの頃しっかり見たとしても楽しいとは感じなかったに違いない。ここは大人になってから行ってこそ、じんわりと面白いところだ。

 今後リトルワールドが閉鎖に向かわないためにどうしたらいいのかを私なりに考えてみた。何かが足りないのは確かで、それは何かといえば、やはり刺激だと思う。緊張感と言い換えてもいいかもしれない。だから、こうしよう。まず、それぞれ民家の中にその国や地方の人を住まわせるのだ。できれば一家で生活してもらおう。モデルルームに家族が暮らすみたいに。なんなら、お昼時にはあがらせてもらって昼ご飯をごちそうになるのもいい。 
 更にリアル度を増すために、部族の方々には本国での暮らしを再現していただこう。暗いテントの中から白い目だけがこちらを見ていて、目があったらヤリを持ってときどき飛び出してきてもらうというのはどうだろう。スリリングでエキサイティングではないか。
 そこまでやってこそ真の野外民族博物館と言えよう。見たこともない外国人が聞いたことものない外国語を話してるというのは、とても貴重な体験となる。家の中で暮らしてもらうというのは無理にしても、もう少し外国人スタッフがいたら、もっと雰囲気が出るはずだ。入り口のチケットの人や、乗り物の運転手、案内係などだけでも外国人の方がいいと思う。愛知県あたりではそう日常的に外国人と触れ合う機会がないから、リトルワールドでたくさん異人さんを見たとなれば、中高生にとっても強い印象として残るに違いない。
 いろいろ考えてたら、すごく面白いリトルワールドになりそうな気がしてきたぞ。展示ではなく再現するところがポイントだ。言うなれば、外国版の映画村みたいなものをイメージすればいいと思う。本物のエキストラがそこで農作業をしてるだけで外国気分が味わえること間違いなし。教会には牧師さんがいて、貴族の家のテラスでは優雅にお茶を飲んでいる。アルプスの少女が花畑を駆け回り、沖縄の軒先からは三線の音色が聞こえてくる。そんなニュー・リトルワールドが実現したら、ぜひとも行ってみたいと思う。




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