現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
小さい頃は可愛かったのにと言われがちなミドリガメと私 2006年6月30日(金)
2006年07月01日 (土) | 編集 |
ミシシッピアカミミガメ

Canon EOS 10D+EF75-300mm USM(f4-5.6), f5.6, 1/125s(絞り優先)



 牧野ヶ池で、鳥でもいないかなと見渡していたら、水面近くから何か寄ってきた。目を細めてよく見ると、カメだった。エサでももらえると思ったのか、次々に寄ってくる。なんだなんだ、この人慣れしたカメは。私は猫のエサしか持ってませんよ。別の場所でその理由が判明した。カメにエサを投げ与えてる人発見。パンのようなものをまいていて、それにカメたちがむらがっていた。私もよく公園などでノラにカリカリをあげるから人のことは言えないんだけど、カメはエサをあげなくても普通に生きていけると思う。ハトにエサをあげるのと同じ原理といえばそうか。
 カメの名は、ミシシッピアカミミガメ。ミドリガメのなれの果て、と言った方が通りがいいだろう。夜店などで売られている緑色の小さなカメは、こんなに地味に大きくなるカメだったのだ。緑はどこへいったんだ? 顔の横だけ赤くして。小さい頃はあんなにかわいかったのに、大人になってずいぶんふてぶてしい顔になってしまったものだ。

 原産地はアメリカのミシシッピ川流域。『トム・ソーヤの冒険』や『ハックルベリー・フィンの冒険』でお馴染みのあの川だ。
 日本にやってきたのは1960年代後半、別種がお菓子の景品になったのが始まりと言われている。その後、このミシシッピアカミミガメがペットとして続々と輸入されるようになる。つまり、今池や川にいるやつは、元々ペットだったやつの子孫ということになる。チビの頃はかわいかったものが、だんだん大きくなり持て余すようになって、池や川に放流してしまったのだろう。
 それに追い打ちをかけたのが、ミドリガメは病気を持っているという報道だった。私も子供の頃、ミドリガメを触ると病気になるとよく言われたのを覚えている。実際はそんな深刻なものではなかったのけど、病原菌報道によって捨てガメは一気に増加したのだろう。
 その後ノラガメとなったやつらは、日本の自然に適応し、数を増やして今に至っている。ミシシッピアカミミガメにしてみたら、狭苦しい水槽で飼われるよりも、広い池や川で暮らす方がよっぽど快適だったに違いない。ただ、こいつらが増えたことで、日本に昔からいたクサガメやニホンイシガメが駆逐されてぐっと数を減らしてしまったことは残念なことだ。アメリカザリガニやブラックバス、その他いろんな外来種の動植物と同じパターンで、いつも日本産が負けてしまうのが悲しい。

 現在は、北海道をのぞく全国で増え広がっている。寒すぎるのは駄目らしい。なので北海道の人はあまり見たことがないかもしれない。
 水の流れが緩やかな川や池に暮らしていて、汚れた水にもある程度強い。
 ミドリガメと呼ばれる子供の頃はきれいな体をしている。緑だけでなく、黄色や黒などの模様が鮮やかだ。大人になるとこんな地味な茶色になってしまう。もし、子供の姿をそのままとどめて大きくなれば、もう少し大切に扱われた可能性はある。目印は、目の横の赤い帯状の模様だ。名前の赤耳もそこから来ている。
 大きさは最大で30センチほどになり、30年くらい生きる。
 肉食傾向の強い雑食性で、ザリガニ、エビ、魚や、藻や水草などを食べる。
 泳ぎが得意で、日光浴が大好き。昼間はよく水からあがって甲羅干しをしている。あれは冷えた体を温めたり、寄生虫から身を守ったり、日光によってビタミンDを体内で作り出して固い甲羅を作るといった目的がある。ただぼんやりひなたぼっこをしてるわけではない。

 カメは2億年以上前から地球にいたと言われている。まだ恐竜が地球の王者だった頃だ。当時は海にいるものが多く、体も巨大で、4メートルの巨大ガメもいたという。完全に人が乗れる大きさだ。4、5人は乗れるかもしれない。その頃からすでに今と変わらない姿をしてたというから、カメさん、2億年も何やってたんだと思う。コンパクトになっただけじゃん、と。
 いやいや、水陸両用になったし、足指や爪の形なんかは微妙に進化してるんですよダンナ、とカメは言うだろうか。
 鶴は千年亀は万年と言われ、昔から日本では縁起物とされてきた。とはいえ、鶴も亀もそれほど長生きというわけではない。鶴はせいぜい20〜30年くらいだし、亀も例外的に150年以上生きたものがいるにしても、平均では30〜40年くらいだ。もともとは中国の伝説からきてるらしい。
 浦島太郎が亀に乗って行ったのは海底都市だったのか、宇宙の星だったのか。最初から戻ってきたらじいさんになっていることが分かっていたら、行っただろうか。宇宙をこの目で見られたり、美女が舞い踊り旨いもの食い放題なら、それくらい安い代償だと思えたかどうか。
 浦島太郎の教訓。軽い気持ちで亀や人を助けてはいけないし、安易な気持ちでお礼を受け取ってはいけない。




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