 Canon EOS 10D+TAMRON 28-300mm XR(f3.5-6.3), f3.5, 1/50s(絞り優先)
モンキーパークへ行くとき、成田山からモノレールに乗った。そのニュー・レトロな感じが、裏の裏の近未来を思わせた。古くて新しくて、新しくて古いような新しさ。こいつに乗ってガタゴト揺られていると、不思議の国に連れて行かれるような気さえしてくる。 けれどもちろん着いたのは犬山モンキーパークで、その間約2分の短いみじかい旅だった。それでも、普段めったに電車に乗らず、モノレールに乗ったのも初めてだった私なので、ちょっと嬉しかった。もちろん、シートの上で飛び跳ねたりしてはしゃいだりはしなかったけど(そんな大人のひとり客は嫌だ)。
正式名称モンキーパークモノレール線。れっきとした名鉄の持ち物で、名鉄の運転士がワンマン運転をしている。犬山駅近くの「犬山遊園駅」から途中「成田山駅」を挟み、モンキーパークの「動物園駅」に向かう1.2キロの路線だ。時間は約3分、料金は一律150円。年中無休で、毎時2本走っている。ゲームの「電車でGO 名古屋鉄道編」にも収録されていた。 山の奥まったところにあるモンキーパークにどうやってお客を運ぼうか考えた名鉄が思いついたのがモノレールだった。鉄道を敷くには金がかかりすぎるし、バスだけでは運びきれない。そこでモノレールということになった。当時はまだ実用化される前で、のちに開業することが決まっていた東京モノレールの技術実験としての意味合いもあったという。 こうして昭和37年(1962年)、日本初の跨座式モノレールは、ここ犬山の地で開業したのだった。日立アルウェーグ式で、コンクリート製のレールの上をゴムタイヤで走っている。 このモノレール、何がすごいって、開業当時の車両が今もまだそのまま使われているというから驚く。途中でバラバラになったりしないだろうかとちょっと心配になる。屋根が飛んだりしたら嫌だな。内装はしばらく前に改装したようできれいだったし、外観もペイントなのかステッカーなのか、派手な模様をしているので、さほど古めかしいという印象は受けなかったのだけど。 MRM100形を先頭に、MRM200形を挟んでもうひとつMRM100形をくっつけた3両編成で、それが2セットある。通常はワンセットで往復するのだけど、休日などの人が多いときは2セットをつないで6両編成になるらしい。 列車好きの人は、こんな古い貴重なモノレールなら一度乗りたいと思うかもしれない。ただ、気をつけなくてはいけないのは、終点の動物園駅は、すでにモンキーパークの園内であるということだ。つまり、終点から歩いて駅の外に出ることはできない。ホームで途方に暮れるあなたは、おサルさんなんて見たくなくてもモンキーパークのチケットを買って中に入るしかないのだ! そのまま引き返して帰ろうにも、帰りの切符を売ってるのもまた園内! これはちょっと困ったことになる。モノレールにだけ乗りたい場合は、犬山遊園か成田山で往復の切符を買っておくのを忘れないでくださいね。
 モノレールとは、ひとつを表すmonoとレールのrailを組み合わせた言葉で、和製英語かと思いきや実際の英語だった。列車に限らず1本のレールの上を走る交通機関のことで、レールをまたぐ跨座式(こざしき)と、車両がぶら下がる懸垂式がある。 その中でも、アルヴェーグ式、ロッキード式、東芝式、日本跨座式、ランゲン式、上野式、サフェージュ式などがあるのだけど、そこまでは一般人が知っておく必要のない知識だ。湘南モノレールを見て、あれって1957年にルイ・シャーデンソンが開発したサフェージュ式なんだよね、などと説明してみても、あまり人には感心されないだろう。それを言いたければ、そうそう、サフェージュ式モノレールの第1号って、名古屋の東山動物園で使われて1974年に廃止されたんだよね、今でも動物園の隅っこに保存されてるって知ってました、と切り返してくれるような相手に限定した方がいいと思う。 世界で最初にモノレールというのを作ろうとしたのは、1821年にヘンリー・ロビンソン・パルマーという人らしい。その後1824年に、ロンドンのテムズ川近くで海軍の荷物を運ぶのに作られたのが最初のようだ。 日本でも第二次大戦前にいくつものモノレール案が浮上しては消えたそうだ。 結局初めて実用化に成功したのは、戦後1951年の豊島園で、遊戯施設としてだった。続いて1957年に上野動物園で、1961年に奈良ドリームランドでそれぞれ作られた。で、最初の商業用として完成したのが1962年の犬山だったというわけだ。
モノレールは都市の近未来交通機関として、一時非常に期待されもてはやされた時期があった。1990年代には各地でたくさん作られもした。一番のメリットは、費用の安さだ。線路と違い、買収するのが支柱の部分と駅のところだけでいいというのが大きい。道路や川の上に作ることもできるし、勾配や急カーブも問題ない。地下鉄に比べたら費用だけでなく工事期間もずっと短くて済む。路面電車のように渋滞を引き起こしたりもしないし、バスのように事故の心配もない。 このようにいいことずくめのモノレールにみんなが飛びついたのも無理はない。デメリットがあるとすれば、他の鉄道や交通機関との連絡が悪いという点が挙げられるだろうか。単独としては便利でも、乗り継がなくてはならない場合、歩く距離が長くなったりするかもしれない。 しかし、そんなことより何より、モノレールには致命的とも言える欠点がひとつある。それは、高所恐怖症の人が乗れないということだ。いや、笑い事じゃなく、モノレールは実際怖い。細い線にまたがってるだけだから窓の外の景色を見ると不安感一杯になるし、それがぶら下がり式となれば尚更だ。事故がないと分かっていても怖いものは怖い。安全というデータで恐怖感が消えることはないのだ。 路線によって感じる恐怖の度合いは違うんだろうけど、犬山の場合は、老朽化と相まってドキドキ感を誘うものだった。たとえるなら、古い遊園地のジェットコースターみたいと言おうか。カーブで外に飛び出していきそうなあの感じ。大丈夫と自分に言い聞かせてはいたけど、やっぱりちょっと怖かった私であった。 今後、モノレールが更なる進化、発展を遂げていくのか、それとも徐々にすたれていくのか、私には分からない。ただ、開発者と鉄道会社は心にとどめておいて欲しい、世の中には高いところが怖い人がいるということを。高所恐怖症の人にも優しいモノレールの開発を望みたい。
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