 Canon EOS 10D+Super Takumar 50mm(f1.4), f2.0, 1/15s(絞り優先)
エアメール。甘美な響きを持つ言葉だ。遠い国から風に乗ってやってきたようなロマンチックがとまらない。ゲーム「ルナ・シルバースターストーリー」の挿入歌「風のノクターン」を思い出す。♪見知らぬ国から 海を渡って吹く風はね やさしく耳のうしろをすぎる♪ でも、郵便物は耳の後ろを通って過ぎていっては困る。ちゃんと手元に届かないと、とまどう想いを胸に生きていくことになってしまうから。 いきなりマイナーなネタから入りすぎて戸惑っている人が多いと思うけど、気にせず前に進んでしまおう。この前、丸ポスト絡みで日本の郵便について少し書いた。今日は国際郵便について勉強してみたので、そのあたりのことを書こうと思う。 エアメールや国際郵便を、日本人はどれくらい受けとるものなんだろう? 私は平均的な日本人と比べてかなり少ないような気がするけど、じゃあ周りの人間はたくさん受け取っているかといえばそんな様子もない。うちのばあちゃんいわく、「じいちゃんはシナ人と文通してた」らしいのだけど、ばあちゃん、シナ人はどうなんだと思う。私の場合、海外の文通友達もいないし、知人がひんぱんに外国旅行に行くわけでもなく、そうなると、ほんとにたまに友達が海外から送ってくれる絵はがきくらいしか外国からの郵便物を受け取るということはない。 今回の郵便は、アメリカに住んでいる日本人からオークションで物を買ったことで、期せずして国際郵便が送られてくるということになった。何を買ったかをここで発表するのはやめておこう。怪しいブツではないことだけは言っておく。 届いた包みを手にとって、これは確かに外国から届いたものなんだなと思うと、ちょっと感慨深いものがある。国内から届く荷物とはやっぱり嬉しさが違う。たとえ中身が日本でも売っているものだったとしても。
GLOBAL PRIORITY MAILというのは、ランクでいうと中間くらいの扱いということになるのだろうか。PRIORITYは優先順位というような意味だから、普通のエアメールよりも優先順位が上ということになる。たぶん、日本でいうなら通常の郵便に簡易速達が付いたようなものだと思う。アメリカから日本まで4日で、値段は約600円だった。日本のEXPACKでも500円ということを思えば、この600円はそんなに高くない。4日なら定形外郵便とさほど変わらないし。 国際郵便のシステムはかなり複雑で分かりづらい。基本的に重さなんだろうけど、荷物をどういう扱いにするかで金額にかなり差が出てくる。航空便で送るか船で送るか、急ぐか急がないかでまた違ってくるし、国によってもいろいろありすぎて分からない。郵政民営化されてるところなんかは特に。 日本から外国へ送る場合を調べてみると、思ったよりも安くもあり高くもある。とにかく重いものはバカ高い。1キロを超えると、地域によって1,500円から3,000円くらいになるし、15キロなんか超えた日には1万円とかになる。前に郵便局の窓口で順番待ちをしてるとき、大きな荷物を送ろうとしていた人が2万いくらですとかって言われているのを聞いて耳を疑ったことがあったけど、あれは冗談じゃなかったのだ。大阪のおばちゃんやおじちゃんが商売のときに言うのとはわけが違う。送り先は確か南米のどこかだった。 一方、通常のハガキなどはいたって安い。世界のどこでも70円だし、封書でも、50gまでなら160円から230円だ。これくらいなら国内の郵便物と感覚的に一緒と言ってもいい。今まで海外に向けて手紙を出したことがない私だけど、こんなに安いなら出してみたい。適当な住所に出してみようか。カナダなんかよさそうだ。そしたら返信で、カナダからラブレターが届くかもしれない。ラブレター・フロム・カナダ。 日本で普通に発売されている切手で届くというのはちょっと不思議な感覚だ。なんとなく出す国の切手を貼って出さないようないけないような気がしていた。 封書も、エアメールなら例の赤、青、白の床屋のうずまき模様みたいなのが入ったものを使わなければいけないものとばかり思っていたら、これも普通の封書でよかったのだ。もしかしたら、折り込みチラシの裏でもいいのかもしれない。 赤色で「Air Mail」か「Par Avion」と書くのは、日本の年賀状に「年賀」と書くのと同じようなものだ。
手紙を届けるということは、人が文明を持つ以前から必要に迫られていたと思うけど、その中で伝書鳩というのはかなり古くから使われていた手だったに違いない。古代エジプトでもあったと言われている。古代エジプトでは、すでに手紙を運ぶのを専門とした人もいたらしい。 郵便を最初に制度化したのは、紀元前6世紀の古代ペルシアだそうだ。こういうものはたいてい戦争が絡んでいて、それが原動力となることが多い。発明にしても、移動手段にしても、制度にしても。郵便も例外ではない。 古代ローマでも、中国は唐の時代にも、しっかり郵便制度はあったという。日本は戦国時代でもまだ早馬で運んでいたくらいだから、郵便に関しては世界で遅れていた方だろう。国土が狭いから、いざとなれば自分が出向いていけるというのもある。 しかしながら、同じく狭い国土ながら郵便というものの重要性というものにいち早く気づいて、体制を確立していったのはイギリスだった。1600年代にはかなりシステム化されていたようだ。 画期的だったのが、1832年にイギリスのローランド・ヒルが提唱した重量制と全国均一料金制度だった。1840年にはその制度が採用され、世界で初めて切手というものが登場したのだった。 これは世界で次々に取り入れられることになり、1843年にはスイス、ブラジル、1847年にはアメリカ、1849年にはフランスがそれぞれ初めて切手を作った。日本はやや遅れて、1871年(明治4年)だった。 1874年には万国郵便連合(UPU)が設立され、郵便の世界はこれによってひとつとなった。これがあるから、日本の切手でも当たり前のように外国に配達してもらえるのだ。 切手といえば面白いのは、どの国も切手には自分の国名を印刷しているのに対して、イギリスだけは国名を入れてないというのだ。日本ならどの切手にもNIPPONと入っている。イギリスはどうして入れないかといえば、この制度を作ったのはうちなんだから、入れる必要ないでしょということになるらしい。昔、駄菓子屋で買った外国の中古切手の中に、国名の入ってないものがあったら、それはイギリスの切手ということになる。
郵便にまつわるドラマは日本でも世界でもたくさんあることだろう。届かなかったラブレターや、間違いで届いた手紙から始まった恋なんてのもあったかもしれない。郵便配達にも様々なドラマがあるはずだ。ただ、そのわりに郵便や郵便配達を主題にした映画が不思議と少ない。何年か前に中国映画で『山の郵便配達』というのがあったけど、その他では『郵便配達は二度ベルを鳴らす』くらいしか思いつかない。最近では電子メールがテーマの『ユー・ガット・メール』くらいか。岩井俊二監督の『Love Letter』はよかった。韓国映画はわりと手紙にまつわるものが多い。『イルマーレ』や『天国からの手紙』、『猟奇的な彼女』でも手紙は重要なキーになっていた。 思い返してみると、私たちが学生の頃はまだいろんなところで手紙というものが活躍していた。私も中学のとき、ただひとり文通というものをしたことがあった。あれは新潟の糸魚川市の子だった。名前も忘れてないし、手紙は押し入れの奥にまだとってあるはずだ。授業中に好きな女の子から回ってきた連絡事項のような手紙も捨ててはいない。フラれた手紙も破いてはいないし、靴箱に入っていた名前のないラブレターもどこかにあるはずだ。 手紙は残るから嫌だという人もいるだろうけど、残るからいい部分もある。二度と読み返すことはなくても、引っ越しのときなどに出てきたら、それだけで懐かしくて嬉しくなる。メールも残ると思いがちだけど、やっぱり残らないと思う。PCを変えたり、OSを入れ替えたりなんかしてるうちにいつの間にかどこかへ行ってしまう。 今はこれだけたくさんのメールが行き交う時代になって、手紙はますますすたれていっているけど、この先も手紙は確実に残ると私は思う。メールは手紙の進歩したものではなくまったく別のものだから、人はまた手紙の大切さに気づいて、メールと手紙を使い分けていくようになるだろう。 こんな時代だからこそ、あえて手紙を書こう。話すのではなく、メールでもなく、手紙でしか伝えられない気持ちもきっとあるから。
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