現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
シュー、ウッズ、シャワポワ、ガッツ、この共通点は? 2006年10月21日(土)
2006年10月22日 (日) | 編集 |
バナナスタンドとバナナ

OLYMPUS E-1+Super Takumar 50mm(f1.4), f2.0, 1/60s(絞り優先)



 バナナを見ると反射的にガッツ石松を思い出す。たぶん、ガッツは世界でもっともバナナが好きな人間の中のひとりだと思う。「めちゃイケ」の寝起き早食い選手権では、5.2秒という世界新記録をたたき出していた。ありゃあ人間ワザじゃねぇ。目が覚めて目の前に差し出されたバナナに5秒でかぶりつくなんて、もはや思考を超えた本能だったな。
 私はといえば、昔からバナナはあまり好きじゃなかった。甘みはともかく、もごもごしていて果物にしてはジューシーさが決定的に欠けているところが気に入らなかった。一本食べるとおなかいっぱいになるのもなんだか損した気分になる。しかし、「発掘!あるある大事典」を観て、思いが変わった。あらゆる意味でバナナは体にいいことを知った私は、長年のバナナに対する偏見を取り払い、固い握手を交わしたのだった。今までごめんよ、バナナマン(それは別物)。これからは仲良くしようね。
 かつては年間2、3本だった個人消費量が、ここへきて一週間で2、3本まで跳ね上がった。体にとてもいいと分かって食べるバナナは非常に美味しく感じられる。それになんといっても頭にいいのが嬉しい。食べてから15分で効くという即効性と、2時間は効果が続くという持久性をあわせ持っているところが素晴らしい。ガッツには本当に効いているのかという疑問がわき上がるところだが、効いてあれなんだと思う。
 こうして私の生活風景の中には、バナナスタンドに引っかけられたバナナの姿が常に存在するようになったのだった。あ、そうそう、これ、バナナスタンドというんだけど知ってただろうか。前にもらって、こんなもの洒落としては笑えるけど使わねぇよなぁと思っていたら、思いがけないところで活躍することとなった。バナナは寝かせておくと、下になった部分がから傷んでくるから、こうして木になっているときと同じ状態にしておくことで長持ちするのだ。最近では100円ショップでも売ってるらしいし、フックさえあれば自分でも手作りできるから、バナナ好きを自認するならぜひとも持っておきたいアイテムだろう。

 ところで、バナナについて私たちは意外と知らないことが多いのではないだろうか? 身近な果物だけど、バナナの木は本州にはあまりないし、家庭菜園で作ってる人も少ないということもあって、案外バナナのことを知らない。どこで生まれたのか、どこで作ってるのか、どんな歴史があるのかなどをよどみなく説明できる日本人はあまりいないと思う。バナナのたたき売りも見たことないし。
 まずバナナが木になるものではなく草だというから驚きだ。知ってました? 常識? 私は今までまったく知らなかった。木の幹のように見えてる部分は茎でさえなく葉っぱで、それが何重にも渦巻き状になって木の幹のように見えているんだそうだ。高さ何メートルにもなるオバケ草だったとは。草だから一年草ごとに生えかわる。
 バナナには種がない。あれは突然変異だったというのだ。ある時、人類はたまたま種のないバナナを発見して、これはいいぞということで栽培を始めたのが始まりだと言われている。紀元前5,000年前のマレー半島でのことだ。種がないのにどうやって増えるかといえば、地下に伸びた茎から株が顔を出してそこからあらたに伸びていく。竹の子のようなものだろうか。
 バナナは熱帯でしか育てることができないので、赤道の南北30度の間でもっぱら生産されている。この地域をバナナベルト地帯という。最大の生産地がインドというのは意外だった。2位以下は、エクアドル、コスタリカ、コロンビア、フィリピンなどだから、イメージとしてはこちらの方が強い。
 世界には実にたくさんのバナナがある。大きなものは50センチのものからミニバナナまで、300種類以上のバナナがあるそうだ。ただし、果物としてではなく、イモ類のように主食として食べられているところもある。それは食用バナナといってまた別の種類なのだけど。

 マレー半島からアジアへ広がっていったバナナが日本に入ってくるには長い時間を必要とした。どうしてこんなに時間がかかったのかはよく分からないけど、日本に入ってきたのは20世紀に入ってからで、それは台湾からだった。日本では気候的に栽培できないことが遅れてきた大きな原因だったのだろう。最初はとにかく高価だった。戦前、戦中生まれの人がバナナは高級果物という思いが抜けないのは無理もない話で、戦後などは死ぬほどの病気をしなければ食べることができなかったほど幻の高級果実だった。ガッツがむさぼり食ってしまうのもうなずける。それが今では悲しいほど安くなって、地位が大暴落してしまったのをどう思ってるのだろう。いい時代になったというよりも、詰まらない時代になったなと思ってるんじゃないだろうか。なんでもたやすく手に入ることは必ずしも幸せなことではない。
 現在、日本は年間100万トンのバナナを輸入している。果物全体の輸入量が170万トンだから、輸入果物の半分以上がバナナということになる。日本に入ってくるバナナの80パーセント以上がフィリピン産のものだそうだ。エクアドルや台湾からも少し入ってきている。
 品種としては、「キャベンディッシュ」がほとんどで、「グロスミッチェル」、「モラード」、「セニョリータ」などを置いているスーパーも増えてきたようだ。子供の頃の学校給食で出てくるやつには、デルモンテのシールが貼ってあったような記憶がある。
 外国でとれた青いバナナを輸入してくるには理由があって、植物防疫法の規定で熟したバナナは輸入禁止とされているからだ。運搬の都合とかスケジュールの関係とかではなかったのか。味はやはり木になったまま熟したものの方が美味しいらしい。

 試合の途中で、外国人選手がいきなりバナナを食べ始めるシーンを目撃して、おいおい、と思ったことがある人も多いかもしれない。ゴルフのタイガー・ウッズ、F1のシューマッハ、テニスのシャワポワが食べてるのだから、根拠がないはずがない。彼らの好物がたまたま一緒だったなんていうのは考えられない。ガッツと彼らの共通点を見出すのはちょっと難しいけど。
 即効性のエネルギー源としてだけでなく、バナナは脳にもいいことが分かっている。脳のエネルギーとなるブドウ糖とセロトニンが同時に届いて、活性化して集中力も増すのだ。食べてから15分後には効き始めるということで、勉強の時やテストの前などに食べても効果が期待できる。セロトニンにはリラックス効果や精神安定効果もあるので、イライラ解消や、眠りにつく前にもいいと言われている。キレる前にバナナをいっとけということだ。冗談じゃなく、学校の1時間目の前に各自一本ずつバナナを配ったらどうだろう。
 栄養素としても、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、繊維、ミネラルなどが豊富に含まれていて、骨や歯を丈夫にしたり、粘膜を強くしたり、免疫力が上がったり、高血圧やガンの予防にもなると言われている。
 太りそうなイメージがあるけど、実際はまったく違って、脂肪分は0.1%で、ご飯茶碗半分のカロリーしかない。小腹が空いたとき、お菓子の代わりにバナナを食べれば、体にも脳にもよくで、ダイエットにもなる。

 とにかく死角のない食べ物バナナ。こんなにスーパー果実だとは私も知らなかったし、もっと宣伝した方がいいと思う。みのに電話してみるか。
 というわけで、私は声を大にして言いたい。みなさん、うちにバナナを送ってください! と。いや、送らなくてもいいからバナナを食べてください。
 私も今後は、2日に1本くらいにペースを上げていきたいと思う。車の運転やテニスやゴルフが上手くなるだろうか。ガッツ化したらちょっとイヤだな。目が覚めて5秒後にバナナをほおばるようになってしまっては人としてどうなんだと思う。
 そういえば遠足の前、必ずこんなことを先生に訊ねるお調子者がいたっけ。
「バナナはおやつに入るんですか!?」
 私が先生の代わりに答えよう。おやつに入ろうと入るまいと、嬢ちゃん、坊っちゃん、遠足にはバナナを持っていきなさい。できれば房ごとな!




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