現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
アイボクとコスモスと逆光の馬とまだ見ぬジェラートと 2006年10月27日(金)
2006年10月28日 (土) | 編集 |
コスモス畑の親子

OLYMPUS E-1+Super Takumar 135mm(f3.5), f5.6, 1/160s(絞り優先)



 愛知牧場のコスモスが満開を過ぎたという話を聞いて、ちょっと焦って出かけていった。花はなんでも満開過ぎよりも満開前の方が美しい。桜でもユリでもコスモスでもそうだ。
 行ってみると、やはり出遅れを感じた。かなり枯れ花が目立ち始めていて、もう遅いのや、と明石家さんまのモノマネをしてみたけど誰も耳を傾ける人はいない。若手のカップルやちびっ子を連れたお母さんの世代にはもはや元ネタが分からないだろう。寂しさを紛らわすために心の中でチャチャチャを歌ってみた(ニッポン、チャチャチャではない)。
 とはいうものの、少し離れてみればまだまだ充分に咲いている。離れて望遠で撮ると一面ピンクに染まって見えた。ちょうどいいところに若いお母さんと少年二人がいたので、入ってもらった。ややシャッターチャンスを逃してしまって少年たちの入りが甘かったのが残念だ。
 コスモスの群生って、いつももうひとつだと思う。なんというか、雑然としていて、落ち着かない。ヒマワリを見習えとは言わないけど、もう少しお行儀よく揃って咲いてくれないだろうか。けど、陽気なメキシコ育ちにそんなものを要求しても無理というものか。きっと、メキシコの高原ではこんなせせこましくじゃなく、もっとみんなてんでバラバラ思いおもいに咲いているのだろう。いつか見たい、メキシコに咲く野生のコスモスを。日本で咲いているコスモスよりも、私はきっとメキシコで咲くコスモスを愛すると思う。

 江戸末期に初めて日本にやってきたコスモスは、明治になって一般に出回るようになり、秋に咲く桜のようだということから秋桜と名づけられた。中国でもやっぱり秋の字が入って「秋英(しゅうえい)」と呼ばれる。
 属名のCosmosは、秩序や調和などを意味するギリシャ語のKosmosから来ている(対義語はカオス)。のちに転じて宇宙の意味にもなった。どこらへんが秩序なのかといえば、どうやら花びらの様子が整然としてるというのでそう名づけられたようだ。言われてみれば、コスモスの花びらはきれいに整っているものが多い。
 ただし、キク科の花ということで、コスモスの花びらは中央にたくさんかたまって咲いている小さいやつだ(筒状花)。外側の花びらは、花弁の1枚が大きく発達したもので、舌状花と呼ばれる。
 コスモスの花びらは何枚ですか? という無邪気な質問にはどう答えればいいのか迷うところだ。子供相手に、コスモスは頭状花というグループで、5枚の花びらを持った筒状花が中央にたくさん集まっていて外側の舌状花は8枚なんだぞ、分かったかい、などとくわしく説明したら泣き出してしまいそうだし、女の子がコスモスの花びらで恋占いをしてるとこに、おいおい、やるなら筒状花も全部やらないとダメだぞ、なんて説教したら嫌われるに決まってる。考えようによっては、コスモスというのはけっこうややこしい花なのだ。
 しかし、そんな人間の事情とは関係なく、コスモスは丈夫で長持ち、種を風に乗せて運び、落ちたところでけっこうたくましく生きていく。早咲きと遅咲きがあって、7月から12月くらいまで咲いている。そのあたりも、日本情緒ではないものを感じる。日本に馴染んでるけど、やっぱりメキシカンだな、と。そう、コスモスは政井マヤなのだった。

逆光の馬と女の人

 コスモス畑から動物ふれ合いゾーンへ移動する途中、このシーンに出会った。ファインダーをのぞきながら、ああ、なんて美しい、とため息が出た。こういうのが写真の幸せだと思う。ほんの数秒のことで、このときこの場にいたのは私ひとり。もちろん私は目で見ても感動したのだけど、これを言葉で説明することはできなくて、写真に撮れば人に見せてあげられて共有することができる。逆光の馬も、彼女も、人馬の関係性も、本当にきれいで素敵だった。ありがとう。ぼくぁ、幸せだなぁ。

 愛知牧場は、東名三好ICの近くの日進市にある。入場も駐車場も無料ということで、ここはいつ行ってもけっこうな賑わいを見せている。というか、やたらと駐車が多い。中にはそんなに人数がいないのだけど。
 メインは動物たちとのふれ合いコーナー。特に小さな子供連れで行くのがオススメだ。触ったりエサをあげたりする楽しさは子供だけではなく大人でも充分味わえる。
 乗馬というとクラブに入会して高いお金がかかるというイメージがあるけど、ここは気軽に体験できるコースがあるので、ちょっと試しに乗ってみたいという人にはいい。45分コースで5,250円とか、手綱を引いてもらってトラック1周1,000円なんてのもある(子供はもっと安い)。
 菜の花、ヒマワリ、ケナフ、キバナコスモス、コスモスなどの立体迷路もここの名物となっていて、各季節にそれぞれ楽しさがある。
 欠点というか弱点を挙げるとすれば、カントリーの香りがかなりきつめだというところだ。私は嫌いじゃないけど、都会育ちのお嬢を初デートに誘う場所ではないと思う。
 結局、今回もまた、牧場特製ジェラートを食べることができなかった私。今年のアイボク行きはたぶんこれで終わりだから、次は来年の菜の花のときか。そのときまでなんとしてでも生き延びなくてはならない。ジェラートを食って死ね、の意気込みでガンバって生きていこうと思う。




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