 Canon EOS Kiss Digital N+EF 55-200mmII(f3.5-5.6), f5.6, 1/100s(絞り優先)
何度か見かけたことがある、きれいな色と奇妙な形をしたこの花。ずっと名前が分からなかったけど、やっと判明した。アメジストセージという名前だった。分からなかったのは、野草や園芸種の花ではなく、ハーブ(亜低木)だったからだ。ハーブは種類も多いし、図鑑も持ってないので私にとっては一番の難敵と言える。 原産地は、メキシコから熱帯アフリカにかけてで、そこからメキシカンブッシュセージとも呼ばれる。またの名を、サルビア・レウカンサ。できれば名前はひとつに統一して欲しいぞ。覚えるのが大変だから。 サルビアの一種で、セージと名前がついてるわりには薬にも食用にもならないという。サルビア(salvia)は、ラテン語の治療(salvare)や健康(salxeo)から来ていて、多くはハーブとして薬用になるのに、これは美しく咲くことを優先したらしい。ドライフラワーやポプリとする人も多いようだ。 紫色のビロードのような部分はガク片で、その先についている薄紫のものが花だ。触ると手触りがいい。 店では鉢植えなどでも売っていて、そのときはそれなりに小さくまとまっておさまっているけど、外に植えるとこんなふうに自由奔放に大きく咲く。さすがメキシカンといったところか。ただし、香りはない。 放っておいてもよく咲いて手がかからない。なのにどういうわけか、花言葉は家族愛。夫婦愛は手がかかっても家族愛は手がかからないということなのか。 「あしかがフラワーパーク」では、このアメジストセージが2万本も植えられているそうだ。写真で見たら見渡す限りが紫のじゅうたんになっていた。あれはすごい。近くだったら見に行きたかった。
アメジストセージというのはいい名前だ。この花色に合っている。日本では紫水晶と呼ばれ、水晶の中でも人気が高いアメジストは、2月の誕生石であり、水晶ということで日本の国石でもある(日本の国石は真珠と思っている人が多いようだけど実は水晶なのだ)。 アメジスト(あるいはアメシスト)は、ギリシャ神話からきている。あるとき、酒に酔っぱらった酒の神バッカスが、憂さ晴らしのために次に通りかかったやつに自分のトラを襲わせてやれと思いついて、そこに通りかかったのが信心深いアメシストだった。驚き逃げまどうアメジストと追いかけるトラ。しかし、それを見ていた月と狩猟の女神アルテミス(ダイアナ)が、アメシストを純白の石に変えた。そのあまりの美しさに一気に酔いが覚めたバッカスは、ごめんよ、メンフラハップと言いながら(それは言ってない)飲んでいた赤ワインを石にそそぐと、それは美しい紫色の宝石に変わったのだった。でもこの話、全然ハッピーエンドじゃない。アメシストはトラに追われて怖い思いをして、更には石にされてしまったのだから、踏んだり蹴ったりだ。 アメジストというのは、ギリシャ語の酒に酔わないという意味のアメタストスから来ている。そこから、アメジストをつけていると酔わないという言い伝えが生まれ、20歳の誕生日に贈ったり、新婚さんにプレゼントしたりすることが多くなったそうだ。そもそも紫という色は高貴な色であり、精神を落ち着かせるという心理的な効果もあるから、いろんな意味で酔い覚ましにいい。 水晶がアメジストのような紫になるのは、二酸化ケイ素にわずかな鉄分が混ざることでなる。大きな結晶ができるまでに100万年以上かかるとも言われている。紫が濃いほど貴重で高い。ただし、合成と天然の区別がつきにくいそうなので、選ぶときはやや注意が必要かもしれない。あと、日光に長時間当てると色あせてしまうというのも残念であり、神秘的でもある。
 PENTAX istDS+Super Takumar 50mm(f1.4) これもよく見かけるのに名前が分からなかったもののひとつだ。分かってみれば、そうそうそうだったと思う、ペチュニア。言いにくような覚えやすいような微妙な名前。ペチュニア・ヘルツェゴビナなどと続いてくれた方がかえって覚えやすいような気がするのは気のせいだろうか。 民家の花壇やプランターなどで見かける機会が圧倒的に多いことを、今更ながら思い出す。いろんな色のものや形もものがあるものの、どれも共通性があるから仲間だと分かりやすい。基本的には、ピンク、赤、白、紫、青あたりが多いだろうか。絞りや二色咲き、八重咲きなどもある。 原産は、南米アルゼンチンのラプラタ河流域だそうだ。発見されたのは大航海時代で、コメルソンというフランス人がウルグアイの首都モンデビデオで発見したのが始まりと言われている。ただ、原種はもっと地味で小さなもので、1830年代にイギリスで、アキシラリスとインテグリフォーリアというふたつの原種を掛け合わせることで様々な品種が生み出されるようになった。 その後世界に広まり、日本では第二次大戦前に坂田という人が作り出した八重咲きが、世界のペチュニア愛好家たちを驚かせたんだそうだ。現在でも、日本のペチュニアは世界のトップだという。 語源は、ブラジル原住民の言葉でタバコを意味する「ペチュン」から来ている。花がタバコの花に似ているからとか、花をタバコに混ぜて吸っていたとか、そんなことも関係してるようだ。 別名は、ツクバネアサガオ(衝羽根朝顔)。確かにちょっとアサガオにも似ている。品種名は、シリーズ名と色の名前が合体していて、バカラブルーとか、ボンフリーパープルなどとなる。そこまで覚えて区別できるようになれば立派なペチュニア野郎となれるだろうけど、それほどの情熱をペチュニアに傾けることはできそうにない。 花言葉は、あなたといると心が和む。女の人にそう言われたときの男は、喜んでいいのか嘆くべきなのか、ちょっと迷うところだ。 アメジストセージの束を背中にしょって、耳にペチュニアを差せば、家族愛に包まれつつ人の心を和ませる癒し系の男となれるかもしれない。私はイヤだけど、誰かやってみてください。道行く人は逃げても、その姿を見た私の心は和むでしょう。
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