現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
鳥の人のお仲間を増やしてカモ対決する夢を見る 2006年11月16日(木)
2006年11月17日 (金) | 編集 |
カモのいる川風景

OLYMPUS E-1+SMC Takumar 300mm(f4), f5.6, 1/200s(絞り優先)



 渡り鳥になんで渡るのかと訊いても答えは返ってこないだろう。渡りに意味なんて必要なのかと逆に問い返されるかもしれない。渡り鳥が何故渡るのか? それは生きるために他ならない。命を繋ぐために、年に二度、自らの命をかけて彼らは渡る。別に旅が趣味というわけではない。
 11月も半ばになって、ようやく近所の川にカモたちが戻ってきた。今年の秋は暖かくて到来が遅れていたけど、どうやら順調に戻り始めたらしい。年が明ければすっかり風景の一部となって興味もなくなるカモたちも、この季節だけはありがたくもあり、愛おしくもある。よく帰ってきたね、おかえりなさいと優しい気持ちになる。3月くらいに見かけると、まだいたのか、早く帰りなよとさえ思うのに。
 まずはコガモとオナガガモたちが戻ってきていた。これからはどんどん数も種類も増えていくことだろう。紅葉の季節が終われば、カモや冬鳥たちが被写体の主役となる。日本の季節というのは本当に上手くできている。
 この冬の私の目標は、ひとりでも多く野鳥野郎と野鳥ガールを増やすことだ。ひとりぼっちの野鳥初心者として去年一年を過ごし、今年はお仲間を増やしたい。お仲間じゃなくても、少しでも野鳥に興味を持ってもらえたら嬉しく思う。野鳥の世界は、踏み込んでみるととても魅力的な世界だから。ただし、探鳥会とかに私を誘わないでください。私が目指しているのはそういうことではないので。

 今日はまったく野鳥のやの字も知らない人のために、野鳥の種類と渡りとはなんぞや、というところから書いてみたい。野鳥のやは野球の野という字を書きます(そこからかい!)。要するに自然に生きている鳥は基本的に野鳥となり、ハトもカラスもスズメも野鳥で、これらを捕まえることは法律で禁じられている。ハトの子供が落ちているのを見かけても、見て見ぬフリをしなくてはならない。とはいえ、それを見捨てるようでは人としてどうなんだと思う。私も子供の頃拾って育てて巣立ちさせたことがある。あれが法律違反だと言われてしまうと困る。なので、そのあたりは曖昧にしておきたい。
 鳥は春に生まれて秋に死ぬ昆虫みたいに思ってる人はいないだろうか。もちろんそんなことはない。大きく分けると、夏鳥、冬鳥、旅鳥、留鳥、漂鳥、迷鳥などとなる。
 カモなどは冬鳥で、春になるとシベリアなどの大陸に渡っていってあちらで子供を産んで育てて、寒い冬になると暖かい冬の日本へと渡ってくる。夏鳥は逆で、春に日本にやって来て子育てをして、寒くなる秋にはもっと暖かい南へと渡っていく。旅鳥は、渡りの途中で日本に立ち寄るやつらで、漂鳥は日本国内を渡る鳥をいう。迷鳥は本来来るはずのない日本に迷い込んでくるやつで、留鳥は一年中日本にいる鳥たちのことだ。
 季節によって見かける鳥の顔ぶれが違うのはこんなことが起こってるからなのだ。私もおととしまではまったく知らない世界だった。
 普通の人にもお馴染みのツバメなども、あんな小さな体で何千キロもの距離を飛んで渡りをする。冬になるとのんきな顔をして池や川で浮いてるカモたちも、実はみんな偉大なる旅人たちなのだ。パンの耳を投げてお世話をしてるような優越感に浸っている場合ではない。
 カモの多くは冬鳥で、留鳥のカルガモをのぞいて大部分はシベリアやカムチャツカ半島などから飛んでくる。長く厳しい旅だ。途中で脱落するものも出る。だから、冬の間しっかり食べて、体に脂肪をたくわえなくてはならない。見ていると常に何か水中をさぐってる彼らは、必ずしもいつも腹ぺこというわけではなく、必要に迫られて食べているという面もある。すごく食い意地が張っているとかそういうことでもない。
 カモとひとくちに言ってもその種類は多い。40種類ほどが日本で確認されていて、その中で毎年のようにやって来るのは20種類ほどだ。しかしこの区別が難しい。カモに限らず鳥の見分けが初心者にとって苦痛でもあり楽しみでもある。見分けられないともどかしく、分かるようになってくると楽しくなる。難しいのは、オスとメスで模様が違うのと、季節によって羽の色が変わったりするからということもある。ただ、ついうっかり日常会話の中でエクリプスなどという単語がポロリと出てしまうと鳥の人と分かってしまうので、そのへんは注意が必要だ。まだまだ世間の鳥の人に対する目は温かいとは言えないところがある。首から双眼鏡をさげて森を歩いてると小学生の群れが駆け寄ってきて、わー、お兄ちゃん、カッコいい双眼鏡持ってるね、ぼくにも鳥をのぞかせてよ、なんていう光景が展開されることはまずない。
 最初の第一歩としては、マガモ、コガモ、オナガガモあたりを覚えて、次のステップとして、ホシハジロ、キンクロハジロ、ハシビロガモあたりに進んでいけばいいと思う。トモエガモとヨシガモを遠くから肉眼で区別できるようになってしまったら、それはむしろ進みすぎかもしれない。私もついていけない。

 渡り鳥たちは、どうやって渡っていく場所を知るのだろう、ということは昔からいろんなことが言われてきた。太陽の位置で方角を知るのだとか、夜は北極星を見て決めるとか、風向きや地形、地磁気を感じるなどいろいろな説がある中、今のところ決定打はない。まだ誰も渡りのメカニズムを完全には解明できていない。
 多くの渡り鳥が去年過ごした同じ池や川に戻るというデータもある。漠然と日本列島を目指してきていたらそんなことにはならない。やはり彼らの中には何らかの確信があって飛んできているのだろう。違うところに着いてしまうのは、偶然なのか意識的なのか、そのへんもよく分からない。鳥にもいろいろな性格のやつがいるだろうから、A型カモとO型カモとでは行動が違ってくるということもあるのだろうか。
 本能と言ってしまえばそれまでだけど、これは本当に不思議だ。思考によるものなのか、記憶によるものなのか、もっと深いところで何かが見えているのだろうか。少し関係ない話として、近年伝書鳩が巣に帰る確率が極端に落ちているという話を「トリビア」でやっていた。あれは携帯電話などの電磁波の影響が大きいのではないかということだった。だとしたら、渡り鳥たちもそんな影響を受けている可能性はある。やはり目から入ってくる情報ではなく、体でダイレクトに感じる波動のようなものを鳥たちは受信してるのではないだろうかと私は思う。それは親から子へと、遺伝子を通じて伝えられているのかもしれない。

夕暮れの中の姉妹

 ピンクの夕焼けの中を駆ける姉妹。私の隠し子、ではない。ちょっといい風景だったので撮らせてもらった。大きくなっても、こまどり姉妹のように仲良くするんだよ。決して叶姉妹やヒルトン姉妹のようになっちゃいけないよ。名古屋だから、浅田舞・真央姉妹を目指すのもいいかもしれない。更に目標は高く、きんさんぎんさんだ。
 私はといえば、ギターならぬカメラを持った渡り鳥となり、いつの日か、マイトガイと呼ばれたい。そして、あなたはエースのジョーだ。カメラを持って川原で決闘しよう。カモ対決。どちらが連写でカモをたくさんブレずに撮れるか。ヒロイン由紀役の浅丘ルリ子も募集してます。
 けど、そんな三人組ってどうなんだ? という素朴な疑問がわき起こる。大きなカメラを持ってはしゃぎながら川のカモを撮ってる男ふたりと女ひとり。対決はなるべくひと目のないところで行った方がよさそうだ。




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