現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
ニワトリも私も昔はひよっこでかわいかったとよく言われたものだ
2007年02月21日 (水) | 編集 |
名古屋コーチンのヒヨコ

OLYMPUS E-1+Super Takumar 50mm(f1.4), f1.8, 1/25s(絞り優先)



 今日はヒヨコとニワトリの話をしようと思う。突然だけど、今日はそんな気分なのだ。ヒヨコのオスとメスを一瞬で見分ける名人芸は持ち合わせてなくても、ヒヨコについて書くことはできる。
 写真は名古屋市農業センターのヒヨコ室にいた名古屋コーチンの子供だ。これがかわいいんだ。ふ化して数日後のヒナは、体に栄養が蓄えられていてまだエサは食べなくもいい。ただ、水は飲まないといけないから、水飲み場で飲むことになる。その仕草が実にキュート。小さなクチバシに水を含んで、上を向いてクククッと水をノドに流し込む動作を繰り返す。農業センターの中でもここは人気コーナーとなっていて、ちびっこから大人までかぶりつきで取り囲んでいた。
 ふ卵器もあって、じっくり待っていると卵からヒナがかえる様子も見ることができる。かえったばかりのヒナはあまり動かない。大丈夫かなと見ていると、もぞもぞと動き出す。このへんは野生を失って長い歳月が流れたことを思わせる。野鳥の世界ではこんなにのんきにしてたら外敵にやられてしまう。
 ヒナは寒さに弱いので、育雛器(いくすうき)の中は30度ほどに保たれている。この中でひと月ほどを過ごして大きくなる。農業センターの中ではびっくりするくらい大量の名古屋コーチンが飼われている。数ヶ月もすれば、ヒヨコだった頃の面影はもはやない。私も子供の頃はかわいかったんだけど。

ヒヨコを見つめるひよっこたち

 ヒヨコを夢中になって見ているひよっこたち。おまえたち、まだまだひよっこだな(ひとんちの子供だけどひよっこ呼ばわり)。クチバシが黄色いやつらめ。などという表現は、ヒヨコから来ている。
 ヒヨコの語源は、ヒヨヒヨという鳴き声に子が付いたものだと言われている。
 ニワトリの語源は、キジ(雉)が「野つ鳥」なのに対して「庭つ鳥」でニワトリになった。ちょっと意外かもしれないけど、ニワトリはキジ目キジ科に属している。
 誕生は古く、5,000年ほど前に東南アジアにいたセキショクヤケイ(夜鶏)を飼い慣らしたことから生まれたと言われている。最初は卵や食肉が目的ではなく祭祀用だったと推測されている。その後、卵や肉目的も加わり、最初に飼い慣らしたのは中国南部だったようだ。時を告げるためや、闘鶏用にも活躍した。
 日本にもかなり古くからいたようで、万葉集にも登場している。その時代は主に時を告げる役割として飼われていたという(報晨)。卵や肉を食べるようになったのは江戸時代に入ってからというから、つき合いは長いようで最近のものだったりする。
 その後、様々な品種改良が行われて、現在は観賞用も含めて120種類ほどがいるそうだ。現地のセキショクヤケイもニワトリとの交配が進んで純粋種はほとんどいなくなったとか。

大きくなってしまったニワトリ

 かわいかったヒナもわずか数ヶ月でこんな風に。目が怖いです。写真のこいつは何鶏だったか。農業センターでは様々な種類のニワトリを展示飼育していて、ちょっとしたニワトリ動物園のようになっている。共通して言えることは、みんな大きくて怖いということだ。美しいものもいるけど、それでも目つきの怖さが先に立つ。六畳一間のアパートでは同居しなくない感じだ。
 現在、日本では20種類を天然記念物に指定して保護している(伊勢地鶏、岐阜地鶏、土佐地鶏、岩手地鶏、芝鶏、鶉矮鶏、比内鶏、地頭鶏、河内奴鶏、小国鶏、蓑曳矮鶏、声良鶏、東天紅鶏、蜀鶏、蓑曳鶏、薩摩鶏、黒柏鶏、軍鶏、矮鶏、烏骨鶏)。
 それ以外にも、会津地鶏、名古屋種、エーコクなど16種類の日本鶏もいる。観賞用のオナガドリは特別天然記念物に指定されている。
 でも、比内鶏とか普通に食べてるぞと思った人もいるかもしれない。天然記念物なのに食べていいのか、と。でもそこにはカラクリがあって、食用になっているのは比内鶏ではなく比内地鶏なのだ。地鶏というのは、古くから日本のその土地にいた鶏の品種のことで、食用の地鶏は血統が50パーセント以上のものを指す。簡単に言えば、天然記念物に指定されている純粋種と他のニワトリと掛け合わせたものを地鶏として食用にしているというわけだ。これも誤魔化しといえばそうなんだろうけど、純粋種とハーフの味の違いがどれくらいのものなのかはよく分からない。意外と大きいような気もするし、ほとんど変わらないようにも思う。
 食べて美味しい鶏としては、名古屋コーチン、比内鶏、薩摩鶏が三大美味と言われている。将軍様の好物の中にも名古屋コーチンは入っていた。向こうでも飼っているのだろうか。
 卵としては、烏骨鶏(ウコッケイ)のものが美味しいとして有名だ。場合によっては1個数百円もする。これで卵かけご飯をしたら美味しいんだろうな。スーパーで売ってる白いやつは、白色レグホーンという名のニワトリの卵で、イタリア原産だ。産む卵の数が年間200個以上と多いところから主流となっている。

 ニワトリは三歩歩くともう忘れるというけど、実際はそんなことはない。意外と賢くて、飼っている人間を見分けたり、なついたりもするという。通常のヒヨコから育てたニワトリは寿命が2年ほどと短いからペットとして飼うには別れが早すぎるけど、チャボなら10年から15年も生きるそうだから、ニワトリもペットの選択肢のひとつとなる。オスは朝っぱら鳴いてうるさいけど、メスならあまり鳴かない。環境さえよければ卵も産んでくれる。3LDKくらいなら、室内飼いもできなくはない。ちょっと邪魔くさいけど。
 ニワトリが首を前後に振って歩くのは、周りに動くものがあるからなんだそうだ。ニワトリは目玉を動かせないから、首を動かすことで左右の状態を確かめているらしい。横についた両目で別々のものを見て、脳の中で処理しているんだとか。あまり正面は見えてないのかもしれない。
 ニワトリは自然の環境の中では冬場には卵を産まない。これは気温ではなく日照時間が関係している。日本でいうと、春から夏にかけてしか産まないとされる。だから、養鶏場では人工の光を当てて産ませている。
 ニワトリが先か卵が先か、これは大昔から散々議論されてきた進化の問題だ。冗談みたいだけど、学者たちは本気で考えてきた。最近になってようやく卵が先という結論に達したという。ただ、内容としてはこじつけというかもはや科学ではなく哲学の範ちゅうに入っているような気がして、すっきりしない。普通に考えれば、生きてる間に突然変化するわけではないから、産まれたときにある生き物が他の生き物になるというのは当然のことだ。ただ、突然変異の原因になったのは親にあるわけで、そうなるとその親はもはや別の種ということもできるから、話はややこしい。やっぱりこれはいつまで経っても結論の出ないものなのかもしれない。

 以上、ニワトリ・スタディーはいかがだったでしょうか。身近なようで意外と知らなかったことも多かったんじゃないだろうか。更に詳しくなってニワトリくんと呼ばれたい人は、農業センターまで足を運んでニワトリコーナーへ行ってみてください。ヒヨコから天然記念物のニワトリまで、じっくり見て学べるから。特にヒヨコの水飲みは必見。思わず自分もマネしたくなるでしょう。ただし、本当にやってみると歯医者で歯を削っている最中に歯科助手のバキュームが不十分で水がノドに詰まったときのようになるので気をつけましょう。
 ふと思いついたけど、農業センターの入口のことでカラーヒヨコを売れば売れるんじゃないだろうか。ヒヨコがあんまりかわいいんで親にあれが欲しいと駄々をこねてたしなめられた子供相手に。リバイバルで商売してみようかな。今の若い親の世代でも見たことがないだろうから、物珍しさで飛ぶように売れる予感に胸躍る。もし私がカラーヒヨコを売ってるところを見かけても通報しないでくださいね。




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