 PENTAX istDS+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f7.1, 1/800s(絞り優先)
♪遠のいてくお台場の海は まぶしい西陽に乱反射して♪ 小松未歩が「東京日和」の中でこう歌ったお台場に降り立ったとき、夕焼けの感動ではなくあまりの極寒ぶりに我々は涙することになった。一体何事ですか、この寒風は。顔が痛いですよ、ここ。名古屋を出てきたときは春の陽気だったのに、お台場はシベリアだった。中学生以来、耳当てが欲しいと本気で思った私であった。花粉症の鼻水も凍る寒さ。人もまばらな人工海岸おだいばビーチには寒風が情け容赦なく吹き荒れ、眠ったら死ぬ八甲田山状態。ここでは絶対、針の穴に糸は通せなかっただろう(あえてここでそれをする必然性はまったくない)。ここは冬向きのスポットではないと確信するまで5分とかからなかった。
お台場へ行こうと思ったのは、観光客としては当たり前とも言える心理だ。それに間違いはない。ただ、お台場で何をしたいとか何を見たいとかがなかったため、とりあえず行ってみるだけ行ってみたお台場の印象はやや漠然としたものとなった。お台場はひとつの大きな街で、小さな人工島などではない。お台場へ行こうというのは、たとえば六本木へ行こうとか原宿へ行こうというのと同じくらい曖昧なものだ。それはたいした下調べをしなかった我々にも問題があるのだけど、お台場自体にも問題がないとは言えない。お台場といえば何を連想しますかという問いを考えてみると分かる。多くの人はフジテレビとか昔の台場とかレインボーブリッジとかになるだろう。でも、それらを自分の目でじっくり見たいかと訊かれればそれほどでもないというのが実際のところではないだろうか。結局、お台場って何よという問いに対する明確な答えを私は手に入れられなかった。ただ、いくつかよかったところや見つけたオススメはあったので、今日はそのへんを漠然と紹介したいと思う。
 お台場への交通手段といえばやはり、ゆりかもめが一般的だろう。無人運転の新交通システムで、ゆらりゆられて新橋から15分ほどで台場に到着する。ぐるりと遠回りしているのが邪魔くさいといえば邪魔くさいけど、初めて訪れるときは東京湾と周囲の高層ビル群などが見られて楽しい。値段は310円だからまずまずか。 ゆりかもめつながりでお台場のユリカモメ。親子がエサをまいていて、それに群がり集まっていた。おこぼれにあずかろうと、砂浜にはオナガガモやキンクロハジロたちが待ち構える。東京の野鳥はどこでも本当に人慣れしている。オナガなど触れるくらいまで近づいても逃げない。野鳥が全部鳩並み。 寒くなければもっとじっくり鳥見もしたかったけど、立ち止まると寒さに負けてしまうので歩き続ける。もはや手の感覚がない。
 お台場といえばフジテレビ。どういうつもりでお台場なんかへ移ったのか知らないけど、今の観光地としてのお台場があるのはフジテレビの影響がすごく大きいのは間違いない。そのフジテレビも移ってそろそろ10年になる。ただ、同じ1997年にできたニッポン放送2004年に有楽町へ移転してしまった。 それ以前のお台場は、13号埋め立て地と呼ばれていて、観光地などではなかった。1995年に誘致するはずだった世界都市博覧会が中止になって、いったんは開発も止まりかけたことさえあった。 しかし、最近では開発もめざましく、これからどんどん発展していくのだろう。高層マンションなども建っていたから、こちらに住んで都心に通うというのもありだ。電車一本で30分以内で中心までいけるというのはいい。2002年のりんかい線の全線開通や、ゆりかもめの豊洲までの延長もあって、ますます便利になりつつある。 石原都知事がここに国営のカジノを建てるって話はどうなったんだろう。ぜひやればいいと思うけど。 フジテレビは今回入らなかった。丸い展望台もいつか機会があれば登ってみよう。
 唐突に自由の女神。でも、ドラマ好きの私にはお馴染みの自由の女神。大好きだったドラマ「With Love」で登場したあれだ。あのときはちょうど、フランスから本物の自由の女神が貸し出されていた時期だったから(1998年年4月から1999年5月まで)、ドラマの中では本物が写っていたのだろう。現在のはレプリカだ。好評だったもんだから、本物が帰った後、フランスに頼んで直接型取りさせてもらってレプリカを作ってしまった。サイズは本物と同じ高さ11メートル(重さ9トン)だけど、これが意外と小さい。ミニチュアサイズ? と思ったくらいだった。完成は2000年。 女神の後ろに見えてるのがレインボーブリッジ。長さ918メートルの吊り橋だ。歩道があって歩いて渡れるとは知らなかった。1キロくらいなら記念として歩いてみてもいい。タダだし。 橋の間、右寄りには東京タワーが見えている。夜になると明るいオレンジに光ってその存在感を増す。
お台場はもともと、江戸時代末期、黒船に乗ったペリーの船を追い払うために砲台を作った場所だというのは有名な話だ。お台場というのは、砲台場が訛ったものだと言われている。なので、ここ以外にも砲台があった場所はお台場と呼んでも間違いではないことになる。 現在は第三台場だった場所が公園として整備されいて歩くことができるようになっている。写真でいうと、レインボーブリッジの手前に見えている小島のようなのがそれだ。駅からは遠いので歩くとけっこうかかりそうだ。第六は離れ小島になっていて上陸することはできない。東京湾の野鳥たちのオアシスとなっているようだ。それ以外の台場は埋め立てられてしまって残っていない。 全部で数十あった砲台は結局使われることはなかったものの、それを見たペリーは引き返して横浜まで行ってしまったから、まったく役に立たなかったということはなかった。あってもなくてものちの展開は変わらなかったと思うけど。
 いわゆるお台場と呼ばれる埋め立て地は、臨海副都心と呼ばれていていて(またの名をレインボータウン)、台場、有明、青海の3つのエリアに分かれている。 施設としてはいろいろあって、いちいち説明するととりとめがない。中心になるのは、「デックス東京ビーチ」ということになるのだろうか。ショッピング、食事、レジャーなどの複合施設で、シーサイドモールとアイランドモール、東京ジョイポリスで構成されている。 私たちが行ったのは、昭和30年代、40年代の昭和が再現されている「台場一丁目商店街」やミニ香港タウンの「台場小香港」あたりだった。そのへんはまたあらためて紹介したいと思っている。 いろいろな車が集められていて試乗もできる「MEGA WEB」や、「アクアシティー」、「船の科学館」、「ビックサイト」、「大江戸温泉物語」などなど、その気になればここだけで一日充分楽しく過ごすことができる。 ただ、ある程度下調べして目的を持っていかないと、どうしていいものやら身を持て余してしまうということになりがちなので、準備が必要だろう。特にデートや、家族連れのお父さんは、行き当たりばったりで行くと評価を著しく下げることになりかねないので注意が必要だ。 ゆりかもめもいいけど、もう少し暖かくなれば水上バスや屋形船などもよさそうだ。 もし帰りが夜になったら、ゆりかもめで新橋方面へ引き返さずに反対の豊洲へ向かうコースを強くおすすめしたい。できれば最後尾の車両の一番後ろの席を陣取りたい。なるべくならひとりよりもふたりの方が望ましい。欲を言えば、それは同性同士ではなく異性同士の方が更にいい。 遠ざかるお台場の夜景が目の前180度に広がり、それはもう素晴らしく美しいのだ。あちこちのタワーにも登っていろいろなところから夜景を見たけど、ゆりかもめから見た東京の夜景は他のどこよりも贅沢に思えた。そのときこそ、寒さではなく感動で目の前が少し滲んだのだった。
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