現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
そうだ、カエル、飼おう、と思った、東山自然動物観カエルコーナーで
2007年04月14日 (土) | 編集 |
東山動物園トマトガエル

Canon EOS Kiss Digital N+EF50mm(f1.8 II), f1.8, 0.4s(絞り優先)



 生き物は色が大切だ。ただ色が違うというだけで、その印象は大きく違ってくる。人から見て、カラフルできれいな生き物は好ましく、地味な生き物はかわいくない。ただしそれは、生き物の側からすると事情は違ってくる。好きで原色になったわけでもないのに、色がきれいというだけの理由で人間に捕まってしまう。派手な色をしてるほどより不幸になる確率が高くなるというのは、生き物にしてみたら理不尽でしかないだろう。人間も動物も、何が幸いして何が災いするかは分からない。美人がいつも幸せになれるとは限らないように。
 日本人にとってもカエルは、一般的に冴えない生き物という認識だと思う。ヒキガエル、ツチガエル、ウシガエル、トノサマガエル、どれもみんな華やかさに欠ける。唯一アマガエルはきれいだけど、他は深緑や茶色や褐色で、あまりかわいげがない。けど、世界のカエルは色も姿も多種多様で、特に暑い地域にすんでいるものは鮮やかな色をしているものが多い。ただのカエルも色付きになるだけでかわいく見えるから不思議だ。
 上の写真の赤いのは確か、トマトガエルだったと思う(プレートをメモ撮りしてないので間違えてるかもしれない)。もしそうなら、文字通りトマト色をしているからその名が付けられたということだろう。サビトマトガエルというやや濁った色のトマトガエルもいるそうだ。これはそちらかもしれない。
 マダガスカルに生息しているカエルで、でっぷりした体つきで、動きは鈍い。カエルのくせにジャンプもほとんどせず、指先の吸盤もない。たいては地中や落ち葉の下などに半分もぐってまったりして過ごす。敵に襲われると、逃げるのではなく体を膨らませて威嚇する。動くのが根っから嫌いらしい。

東山動物園アオガエル

 これはモリアオガエルだったろうか。本州と佐渡島にいて、四国、九州はいるようないないようなはっきりしていないらしい。
 指先に吸盤があって、木の上とかもスイスイ登っていく。
 地方によって個体差があって、前身が緑色一色のタイプと、目立つ褐色のまだら模様が入るやつがいる。
 と、ここまで書いて、こいつはシュレーゲルアオガエルかもしれないと思い始めた。だとしてもそれは日本固有種で、本州、四国、九州に分布している日本産のカエルだ。虹彩が黄色いのがシュレーゲルアオガエルの特徴というから、やっぱりそうだろうか。モリアオガエルなら光彩は赤っぽいらしい。
 日本のカエルなのに、名前はオランダのライデン王立自然史博物館館長だったヘルマン・シュレーゲルから取られている。シーボルトが日本で収集した生き物を研究した動物学者だったそうだから、その中にこのカエルも入っていたのだろう。
 昔から馴染みのいわゆるアマガエルは、ニホンアマガエルが正式名で、これもよく似ている。カエルもけっこう種類が多くて見分けが難しい。
 昔は雨上がりの学校帰りによくアマガエルなんかを見たけど、最近は道を歩いていてもカエルなんてまったく見なくなった。カエルが自由に暮らす空き地は、街中にはもうなくなってしまった。

東山動物園ベルツノガエル

 こいつは笑った。ものすごいでっぷりした体つきで、巨体の関取みたいなベルツノガエル。これは後ろ姿だけど、前から見てもそのふてぶてしさは他のカエルを圧倒する。
 カエル好きの間では知らない者がいないほど有名だそうで、飼っている人も多いという。外で嫌なことがあっても家に帰ってきてこいつを見たら吹き出してしまって、いい意味で脱力感に襲われそうだ。
 アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル南東部あたりにいるやつで、発見者の名前であるベルと、頭にツノ状の突起があるところから名づけられた。
 体色と模様は個体差が大きくて、必ずしも緑色ではなく、赤っぽいのや褐色っぽいのもいる。一体いったい違う体をしてるところもペットガエルとして人気が出た要因のひとつとなっているようだ。
 これだけの体をしていたら重たくて動けないだろうと思いきや、太ったゴールキーパーのように意外にも動きは素早い。普段は葉や泥の下でぬーぼーとしていて、目の前を何かが通りかかると瞬間的に飛びかかって食ってしまう。でっかい口でとりあえずくわえてみて、食べられないと分かったら吐き出す。食べられるものなら何でも食べる。昆虫やトカゲ、ネズミの他、小鳥や小動物、ときにはヘビまで食べるというからすごい。動くものは全部エサと思っているらしい。飼う時は、自分が食べられないように気をつけなくてはいけない。うかつに前に手を出すとパクっといかれるかもしれない。
 活発に動くのは雨季で、乾季の間は地中で休眠する。食べるか寝るかなので、そりゃあこんな体にもなってしまうというものだ。

 カエルをペットとして飼うというのは、これまで考えたことがなかったけど、そんなにおかしなことではない。熱帯魚以上トカゲ未満、友達以上恋人未満のペットとして、女の子をうちに呼んでもたぶん大丈夫だ。は虫類よりもひかれないと思う。
 種類によっては飼育はそれほど難しくないようだし、そこそこ年数も生きる。じっとしていてもその姿はおかしみがあって愛着もわきそうだ。鳴くといっても1匹や2匹ならそれほどうるさいということもないだろう。田舎のウシガエルの大合唱とか違う。
 日本産のカエルなら今でも田んぼへいけばいそうだし、外国産は外観がペットにふさわしい。高いものは驚きの値段なんだろうけど、そのあたりは熱帯魚でも同じだ。水槽も小さいものでいいし、掃除や水替えも熱帯魚よりずっと楽そうだ。なんか、ちょっと飼ってみようかという気になってきた。いきなりベルツノガエルはきつそうだから、もっと小型でかわいいのがいい。トノサマガエルとかもやめておこう。
 まずはもう一度東山動物園の自然動物館で世界のカエルをじっくり見てくることにしよう。前回はざっと流してしまって、名前も確認してなかった。次は飼うことを前提に、お気に入りを探す。
 青柳の「かえるまんじゅう」のふたをくり抜いたお面を頭にかぶせて、ゲロゲーロと鳴きながら東山自然動物館のカエルコーナーの水槽にはりついているかえるクンがいたら、球児? と問いかけてみてください。そうだよ、好児と答えたら、それはまず間違いなく私です。カエル談義に花を咲かせましょう。


名古屋名物代表は味噌カツにしとこまいと名古屋人は言うだろう
2007年04月14日 (土) | 編集 |
手のべとんかつうめだ

SH505iS(携帯カメラ)



 いくつかある名古屋の名物料理の中で、何か一つ代表選手を選べといわれたら、多くの名古屋人が味噌カツを推すんじゃないかと思う。ひつまぶしは食べ方が変わっているだけでうなぎ自体は珍しいものではないし、味噌煮込みうどんは所詮うどんでうどんは名古屋名物じゃない。きしめんは名古屋人自体がそんなに好きではなく、手羽先や天むすは代表としては存在感が弱い。エビフライなんてタモリが勝手に言ってるだけだ。そこへいくと味噌カツは完全に名古屋・中部圏特有のものだし、何より普通に美味しいというのが代表選手として恥ずかしくない。
 しかし、味噌カツは名古屋においては名物ではない。そんな特別扱いのものではなく、当たり前の食べ物として家庭レベルで浸透している普通の食べ物だ。もちろん、カツにソースをかけて食べることもある。でも、それと同じくらいの意識で味噌もかける。ただし、味噌といってもみそ汁を作る時に使うようなあんな味噌ではない。味噌カツ用の味噌ソースがスーパーでもコンビニでも売っているので、それをかけて食べるということだ。豆腐やおでんなどにもその味噌ソースをかけて食べる。要するに、味噌カツが浸透してるというよりも、カツにかける味噌ソースが調味料のひとつとして完全に定着していると言った方が正しい。

 そんな名古屋人は外食で味噌カツを食べるかどうかといえば、けっこうはっきり分かれる気がする。よく食べる人もいれば、外では食べたことがないという人もいるだろう。名古屋は家庭料理志向が強い土地で、外食をしない人は全然しないから、そういうことになる。食べる機会といえば、よそから遊びに来た人を連れて行くときが多い。
 味噌カツ屋といえば、なんといっても「矢場とん」が一番有名だ。行ったことがなくても、どこにあるか知らなくても、その名前だけはみんな知っている。ガイドブックにも必ず載る店だから、他県から名古屋に来たことがある人も知っている人が多いかもしれない。味噌カツを食べようと調べていると、まず最初に出てくる。
 そこでまず最初の選択をしなければいけない。矢場とんにするか、矢場とん以外にするか。矢場とんは創業60年の老舗だし、ずば抜けた有名店には違いないのだけど、評価は二つに割れるのだ。絶賛する人もいるし、そうじゃない派というのも確かに存在する。ひとつには味噌ソースがしゃびしゃび系で、カツの上にかけてあるというより味噌ソースの中にカツが沈んでいるような状態なので、衣のサクサク感が失われていて嫌だという人も少なくない。味噌ソースは大きく分けてしゃびしゃび系とドロリ系があって、家庭用のものはドロリ系なので、しゃびしゃびに馴染みがない名古屋人も多い。あとは有名店ゆえに行列ができてしまうというのも難点ではある。
 今回、私とツレはあえて矢場とんをはずした。良くも悪くも矢場とんは本命で、最初にそっちへ行ってしまうと、それが名古屋の本場の味噌カツと思い込んで、それ以上追求する気持ちをなくしてしまいそうな気がしたから。まずワンクッション、他の店で試したあと、矢場とんへ行って食べて比較した方が味噌カツのなんたるかがはっきり分かるんじゃないかと。
 そこで選んだのは「手のべとんかつ うめだ」だった。テレビで紹介されたり、ネットの口コミなどでもなかなか評判がいい店だ。場所は覚王山日泰寺近くの通り沿いで、駐車場も用意されている。

 店の名前にもなっている手のべというのは、ヒレ肉のスジを叩いて切って柔らかくしたものをいう。食べているときも、厨房の奥でトンカントンカントンカンと肉を叩きまくっている音が響いていた。キミは鍛冶屋かとツッコミたくなるほどに。
 叩きに叩いたかいがあって、肉はかなり柔らかい。箸で切れるトンカツというキャッチフレーズに偽りはない。私は柔らかいのが好きだからこれは好みだったけど、歯ごたえがなさすぎて面白くないと感じる人もいるだろう。
 味噌ソースは、ここもしゃびしゃび系で、適度な甘さとまろやかさで嫌味のない美味しさだった。ソースもかかりすぎてないので、衣のサクサクもそれほど失われてはいない。シャキシャキのキャベツとのマッチングもいい。ここなら初めて味噌カツを食べる名古屋人以外の人を連れていっても間違いはないと思う。
 値段は1,300円くらいだったろうか。肉のサイズによっても前後するけど、味噌カツとしてはまずまず平均的な価格だろうか。ヒレ肉ということで少し高めかもしれない。
 やっぱり店の味噌ソースは、パックで売ってるものとは違う。肉も違うし、値段なりの美味しさはある。
 他にも「叶」や「石川」などの有名店もあるけど、基本的にトンカツがある店なら味噌カツもあるから、あえて有名店に行く必要もないかもしれない。ホントかウソか、愛知県内で味噌ソースを扱っていないトンカツ屋は一軒もない、という話がある。

 ちょっと不思議なのだけど、味噌カツ元祖の店というのは私の知る限り名古屋にない。ひつまぶしにしても、味噌煮込みにしても、天むすなどにしても、たいてい発祥店があったり元祖争いをしていたりするのに、味噌カツに関してはそれがない。矢場とんも昭和22年創業というから、最初期から味噌カツを始めた店だろうに、うちが発祥などとはうたっていない。いつ、誰が、どの店で始めたのかは、ほとんどの名古屋人が知らないんじゃないだろうか。
 戦後、飲み屋のカウンターで酔った客が、串カツを面白半分に、どて鍋の味噌に浸して食べたらそれが美味しくてたちまち評判となって、そこから味噌カツが生まれたという話がある。でもこれはちょっと作り話っぽい。
 味噌カツの味噌は、豆味噌から作っている。味噌は大きく分けて4種類あって、大豆と米と発酵させて作るのが米味噌、大麦を加えるのが麦味噌で、大豆のみを発酵させるのが豆味噌となる(もうひとつは混合した調合味噌)。この中で愛知の昔からの名物である八丁味噌は豆味噌になる。徳川家康も豆味噌が好物だった。こういうベースがあったからそこ、この地方で味噌カツが生まれたのだろう。
 最初に味噌カツを店で出したのは三重県津市の「カインドコックの店カトレア」だったという説がある。それが本当なら、名古屋じゃないじゃん。
 味噌ソースは単に豆味噌を薄めたものではなくて、鰹ダシや砂糖などの他に店によっていろいろなものをブレンドして作り上げている。店の味を家で作るのは難しい。
 食べたことがない人はすごく濃くてくどいんじゃないかというイメージを持っているようだけど、実際はそんなことはなくて、思っているよりもずっとまろやかで好ましい甘さに感じると思う。甘みが旨味に直接つながる味だ。キワモノ系などではなく、味噌田楽なんかよりはずっとさっぱりした味だ。
 名古屋地方において味噌カツは完全に市民権を獲得して、専門店や家庭のみならず、学食でも、弁当屋でも、コンビニ弁当でも、当たり前の顔をしてメニューに加わっている。名古屋のモスバーガーでは、「モスライス味噌カツバーガー」が一般メニューとして存在している。期間限定のお遊びとかではなく。コンビニのカツサンドももちろん、味噌ソースだ。

矢場とんビル

 大須にある「矢場とん本店」は、2005年に5階建てのビルとなった。まさか路地奥の食堂だった味噌カツ専門店が、自社ビルを建てられるようになるとは、店も客も思いもしなかっただろう。勢いづいた矢場とんは、東京進出も果たし、2004年には銀座に店を構えるまでになった。更に関東のみならず関西進出も狙っているという。調子に乗って、コンビニで「ナビスコ矢場とんみそかつ風味ポテトチップス」まで出してしまったが、味が薄いと評判はもうひとつのようだ。
「矢場とん」の名物はなんといっても、黒豚わらじかつ(1,600円)だろう。江守徹の顔くらいデカイらしい。少食の私では半分も食べられそうにないけど、いつかおなかぺこぺこのときに挑戦してみたい。
 ここは意外と値段も安い。スタンダードなロースカツは735円だし、みそかつ丼も1,050円だ。この値段の安さも名古屋で人気になった要因だろう。
 やっぱり、名古屋で味噌カツといえば、「矢場とん」で一度は食べてみないことに始まらない。もし行くことがあったら、熱々の鉄板に載ってくる「鉄板とんかつ(1,365円)」をいってみたい。味噌ソースが鉄板でジュージューいいながら香ばしくなるのを想像したら食べたくなってきたではないか。矢場とんのやつめ。
 ぜひ、名古屋に来た際は、味噌カツを試してみてください。食わず嫌いにしておくのはもったいないですから。そして、いつでも私におごってくれてもいいんですよ。
 よい子のみんなは、8月10日の「矢場とんの日」には、矢場とんへ行って味噌カツを食べよう!




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