現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
ミュージアムを見ない瀬戸蔵は牛肉の入ってないすき焼きを食べるみたいなもの
2007年04月18日 (水) | 編集 |
瀬戸蔵-1

OLYMPUS E-1+SIGMA 18-50mm(f3.5-5.6 DC), f9, 1/10s(絞り優先)



 2005年の愛・地球博を機に、瀬戸の街も化粧直しをして小綺麗になった。日本各地だけでなく世界からのお客さんを出迎えるのにふさわしい玄関口にしようと、道路や街並みは整備され、いくつかの新しい建物もできた。「瀬戸蔵(せとぐら)」もその中のひとつだった。
 気がつけばあれから早2年の歳月が流れた。その間、何度も前を車で通りながら一度も入ったことがなかった瀬戸蔵に、今回初めて入ってみることにした。万博からもう2年も経ってしまったんだという感慨を抱きながら。
 以前この場所には、昭和34年に建てられた瀬戸市民会館があった。ちょうどそれが老朽化したということで、あらたに建て直されたのが瀬戸蔵だ。けど、瀬戸蔵って一体何かと問われると私は答えに困ってしまう。瀬戸の陶器作りや瀬戸電関連を展示した有料のミュージアムがあるということだけは知っていたものの、それ以外に何がどうなっているのかは入ってみるまでまったく知らなかった。
 瀬戸市そのものを博物館に見立てた「せと・まるっとミュージアム」構想の拠点として作られた市民のための複合文化施設というのだけど、そんな漠然とした情報では今ひとつイメージが掴めない。要するに市民会館なんですよと説明されたら、はぁと言って何となく納得するしかないものかもしれない。産業観光と市民交流を支援するための器といえばそうなのだろう。
「瀬戸蔵」という名前は、瀬戸のいろいろなものが詰まった蔵のようなものということで、公募によって決められたそうだ。

 エントランスに足を踏み入れると、まずは高い吹き抜けのホールにあっと驚く。田舎者なら100パーセント天井を見てしまい、カメラを持っていれば10人のうち7人は写真を撮ってしまうに違いない。たいていの人は、初めて入ったときは口を開けて見上げてしまうことだろう。
 しかし、贅沢な空間といえばそうだけど、こんなに無駄スペースを作ってしまったら、瀬戸が丸ごとギュッと入るのは無理なんじゃないかと、いきなり入口から嫌な予感をさせる。
 この空間はパティオ(中庭)といい、ぐるりと回りながら登っていく階段をコリドール(回廊)というらしい。なんて、ハイカラな。でも、階段で上がると無駄に歩かないといけないから市民から文句が出そうな気がする。
 本体は4階建てということになるのだろうか。立体駐車場もあわせると5階建てということになるかもしれない。
 1階には瀬戸物を売る店や食べ物屋、案内所などがある、2階と3階に目玉の瀬戸蔵ミュージアムや、つばきホール、交流ラウンジ、会議室などが入っている。4階は多目的ホールなどだ。
 ざっと見た感じとしては、これは観光施設ではない。今回はミュージアムに入らなかったのだけど、それ以外としては見どころはあまりなく、イベントなどで市民が活用するための施設という色合いが濃い。1階では公開イベントのようなことが行われていたり、映画が上映されたりしていたようだけど、他県の人が瀬戸の魅力を知るために訪れるようなところではなさそうだ。
 店舗は、食事所と瀬戸物などを売ってる店の2軒しかないのも寂しいところ。商業施設という性質のものではないにしても、瀬戸の魅力が詰まった蔵という名前にしては蔵の中身に乏しい。

瀬戸蔵-2

 瀬戸は近年、招き猫の街としても認識されるようになってきていて、近くには招き猫をたくさん集めた「招き猫ミュージアム」というのもできた。瀬戸物で作られた猫たちがたくさんいる。
 写真は、「瀬戸蔵セラミックプラザ」の店内の様子で、食器やガーデニング用品などが売られている。けっこう安いものもあるようなので、せとものを買う目的の人がのぞいてみる価値ありだ。

 瀬戸蔵ミュージアムは、せとものに関する展示や、瀬戸駅を再現したり、古い瀬戸電の車両などが保存されているそうだ。大人500円はやや微妙な値段設定か。あまり興味のない人にとっては、ついでに見てみるかとなりづらい値段だ。300円なら入ってもいいけど500円出してまでという人も多いと思う。一般的に、せとものを詳しく勉強してみたいという熱い思いを抱いている人はそう多くないし、昔の瀬戸電に頬ずりしたいと願ってやまないという人は更に少ない。
 とはいえ、9時-18時の年中無休というのは立派だ。意気込みが感じられる。私も近いうちに一度入ってみようと思っている。そのときは、瀬戸電のシートで飛び跳ねてはしゃぎたい。

瀬戸蔵-3

 1階のエントランスでは、瀬戸みやげや陶器などのワゴンセールが行われていた。
 つばきホールでは、ミニコンサートや講習会などが開かれる。美輪明宏や志茂田景樹、假屋崎省吾、藤岡弘、花田勝氏なども訪れたようで、通路には多くの有名人のサイン色紙が展示されていた。有名ラーメン店みたい。
 少し古めの映画も上映されることがあるようで、500円ということだから、観たい作品であれば利用価値はある。
 4階では展覧会やパーティーなども催されるようだ。

瀬戸蔵-4

 2、3、4階にはそれぞれ屋外に出られるオープンデッキがあって、更に一番上には展望室がある。これはそこからの風景だ。高さは30メートルとそれほどではないものの、周囲に高い建物がないので、瀬戸も街をぐるりと見渡すことができる。
 ガラス張りなので写真撮影には向かないけど、夜景もそれなりに楽しめそうだ。ただし、明かりはさほどではなく、名古屋の中心も遠いので、派手さはない。一番ギンギラは写真にも写っているパルティせとになるだろう。
 瀬戸蔵自体は、たぶん夜の9時半くらいまで開いていたはずだ。
 駐車場は1時間まで無料で、その後1時間につき100円と良心的だ。
 瀬戸電の尾張瀬戸駅から少し離れていて、徒歩5分くらい。

瀬戸蔵-5

 いつもあの建物が気になっていた。瀬戸川沿いにある風情のあるたたずまい。何か老舗の店なんだろなと思っていたら、江戸末期創業の和菓子屋さんだそうだ。名前は「川村屋賀栄」。
 名物の瀬戸川饅頭(105円)というのを食べてみたい。こし餡というのが私の好みだ。酒素蒸しというのはアルコールが苦手な私でも大丈夫だろうか。

瀬戸蔵-6

 この日(15日)はちょうど、陶祖まつりが行われいて、昼間は神輿が出たりして盛り上がりを見せていた。道ではお馴染みの陶器販売も行われていて、けっこうな人出だった。
 秋のせともの祭りはもっと大規模で、ものすごい人になるのだけど(毎年50〜60万人)、春は知名度も低くてさほどではない。それでも、今年で46回目になる陶祖まつりは、2日間で8万3千人が訪れて大盛況だったようだ。去年が3万6千人だったというから、今年は特に多かったことになる。天気もよかった。秋は必ず雨が降る祭りということでも有名だ。
 鎌倉時代に、この瀬戸の地で陶器作りを始めた藤四郎(加藤四郎左衛門景正)に感謝をささげるというのが陶祖まつりの趣旨ということになっている。けれど、客はたいてい、安い陶器を見つけるためにやって来る。3割引から5割引くらいというのもあるようだけど、そんなに安いという印象はない。
 その他、「来る福招き猫まつり」というのも、秋の風物詩として定着しつつあるようだ。瀬戸全体が招き猫だらけになる10数日間は、全国から招き猫ファンがやって来る。今年は私もちょっと見に行ってみようと思っている。

 それで結局、瀬戸蔵ってどんなところだったのと、まだ行ったことがない人に訊かれたとき、私はどう答えればいいのか今でも迷う。肝心のミュージアムに入ってないから、半分も分かってないのだろうけど、とりあえず市民会館プラスアルファのところかなくらいしか答えようがない。見どころはやはり、ミュージアムと展望室くらいしかないと思う。陶器を買うにしても、表に専門店がたくさんあるから、あえてここに入るまでもない。あとは、階段をぐるぐる回りながら登るとかか。
 興味のあるイベントを見たり参加したりするために行く場所ということか。市民会館はそういうところだ。観光施設を期待してして行くと、拍子抜けしてしまいそう。
 それでも、個人的にはどういう施設か分かったのは収穫だった。これからは前を通るたびにどんなところなんだろうなと思いを巡らせなくても済む。次回は必ずミュージアムに入って、また中の様子をお伝えしたい。せとものの招き猫のひとつも買ってもいい。
 瀬戸蔵第二弾、瀬戸蔵はミュージアムに入ってなんぼ編につづく。




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