現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
今年の花フェスタは個人的にピンクバラ・イヤーだった
2007年06月05日 (火) | 編集 |
花フェスタバラ-1

PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-50mm(f3.5-5.6 AL), f5.6 1/12s(絞り優先)



 花フェスタはいつ行っても撮るものがありすぎてかえって撮れずに終わる。被写体が無数にあるようでいて実際にはさほど多くない。たとえばそれは、人で溢れかえる街中を撮るのに似ている。人混みという被写体があって、中には目につく人や絵になる瞬間があっても、撮るべきものがたくさんあるわけではないのと同じだ。公園にバラが20種類あったら全部撮っておこうとなるかもしれないけど、7,000種類あると途中から感覚が麻痺してきて何を撮っていいのか分からなくなる。バラを撮るという行為そのものに飽きると言った方がいいのかもしれない。色や形が違ってもバラはバラだ。被写体としての変化は少ない。
 そんなわけで今年も家に帰ってきてメモリを見たら、撮ったバラの種類はわずかに15種類だった。ここまで少ないとは自分でも驚きだ。もう少し撮っていたつもりだったのに、バラ以外のものが多かった。
 もう一つ驚いたというか特徴的だったのが15種類中9種類がピンクのバラだったということだ。突然ピンクのバラが好きになったのか、何かピンクに惹かれてしまう精神状態だったのか、自分でもよく分からず自覚症状はなかった。特に深く考えることもなく、これいいなと思って撮ったバラの多くがピンクだったというだけだ。ピンクを求める傾向って心理的にはどうなんだろう。
 なにはともあれ、今日はピンクバラ・デー。あなたがピンクのバラばかり撮るから今日はピンク記念日。明日から私のことをミスター・ピンクマンと呼んでください。

 上の写真は今回のお気に入り、「ミスひろしま(ミスヒロシマ)」。広島バラ園で作られたという以外くわしいことは分からない。ネットにも情報はほとんどない。ミス広島の誰かに捧げられたものなのか、単に広島で作られたというだけなのか。淡いピンクのバラが広島の女性のイメージなのかどうかはやや微妙なところだけど、これはいいバラだと思う。もっとメジャーになってもいい。

花フェスタバラ-2

 これまた清楚なピンクバラだ。清楚さの中に可憐さもある。1986年イギリス作出の「ダブ(Dove)」。名前がよくない。ダブと聞けばアイ・ワズ・ゲイのガブを思い出すし、Doveというと化粧品みたいだ。日本語表記としてドウブとする場合もある。Doveというのは鳩のことで、そこから転じて平和や純潔、愛情などといった意味合いを持つ名前のようだ。それにしてもちょっと名前が残念だ。もっといい名前ならもっと人気が出てただろうに。
 花単品としてはきれいだけど、咲き方がごちゃごちゃしてやや気品に欠けるところがある。そのあたりもイギリス女性っぽいと言えば言えるかもしれない。

花フェスタバラ-3

 同じピンクでもこちらは鮮やかさが特徴の「マガリ」。多花性ということで爆発的に咲いていた。フランスの作出ということでお国柄が出ている。フランスの生意気なティーンエイジャーの女の子たちみたいだ。でも、賑やかなだけで嫌味はない。鮮やかなピンクは元気にしてくれる。

花フェスタバラ-4

 世の中には何種類くらいの色の名前があるのかは知らないけど、自分の知識の中で何色と表現したらいいのか分からない色のバラがある。これなんかがそうだ。ピンクといえばピンクだし、オレンジとも言えなくもない。だからオレンジっぽいピンクとしか言いようがない。美術の専門家はズバリ何色か言えるのだろうか。
「エディ・ド・マルティネリ」。1958年フランス。プレートにはそう書かれていた。ネットで検索しても出てこないから、表記が少し違っているのかもしれない。

花フェスタバラ-5

 このバラの形どこかで見たことあるなと思って、今日思い出した。そうだ、ヴィックスドロップのエヘン虫だ。あののど飴、もう何年なめてないだろう。今度ノドがイガイガしたら久しぶりになめてみよう。口の中にあの飴の味がよみがえった。
 1996年京成バラ園芸作出の「いちばん星」。菅原文太の一番星とは関係ない。あ、でも、あの役名は星桃次郎だ。思いがけないところでピンクがつながった。

花フェスタバラ-6

 少し変わり種のピンクバラ「ポールズ・ヒマラヤン・ムスク」。1916年イギリス作出というから古い。花が小ぶりで、咲いている姿は日本のサトザクラみたいだ。花びらが散る様子も桜に近いものがある。バラとひとくちに言ってもその姿は実に多様だ。バラらしくないバラもたくさんあって面白い。
 最大で10メートルまで伸びて、一度に数千個の花を咲かせることがあるんだとか。花フェスタでもフェンスに絡みついてすごい勢いで咲いていた。

花フェスタバラ-7

 1976年イギリス作出の「プレイボーイ」。日本人の感覚でいうとこの色がプレイボーイを表してるようには思えないないのだけど、元々地味なイギリス人はこういう明るい色がプレイボーイのイメージなのだろうか。
 これをピンクバラに入れるのは少し無理があるかもしれないけど、赤とオレンジと黄色の入り交じった色は、ときにピンクに近くなる。咲き進むとだんだん色を変えていく。
 バラはヒラヒラの多いほどきれいと思われがちだけど、こういう一重にもいいバラがたくさんある。プレイボーイもファンが多いようだ。

花フェスタバラ-8

 オレンジ・ピンクの「スーヴニール・ド・アンヌ・フランク(スーブニール・ド・アンネ・フランク)」。アンネ・フランクの形見と名づけられたこのバラは、ベルギーのバラ育種家ヒッポリテ・デルフォが、アンネたちが隠れ住んでいた家の近くに咲いていたバラを元に新種を作って、アンネの父親に贈ったものといわれている。
 日本でも『アンネの日記』が広く読まれていると知ったデルフォは、1972年に10株日本に送ってくれた。しかし、そのうちの9株は枯れてしまって、残った1株から挿し木して増やしたものが全国に広まっていったという話も残っている。
 こういうエピソードがあるバラの方が思い入れができるから好きだ。

花フェスタバラ-9

「ラヴィンダ(ラビンダ)」。オランダ作出(2003年)のバラはちょっと珍しい。ただそれは日本に入ってきてるのが少ないというだけで、オランダ国内ではバラ作りがけっこう盛んのようだ。私たちが見たこともないようなバラもいろいろあるんだろう。
 咲くと紫色が強くなるけど、つぼみのうちはピンクバラだ。咲いている主役のバラとまわりの脇役のつぼみのバランスがいい。バラはやっぱりつぼみが残る7分、8分咲きくらいが一番美しい時期だと思う。咲ききってしまうと品がなくなる。

 ピンクのバラ9種類、こうして並べて見てみると、ひとつひとつ色も形も雰囲気も違っていることにあたらめて気づく。名前だけ違う同じバラというのはない。バラ作りに魅せられた人が一生の仕事にしようと思う気持ちが分かる気がする。バラほど多様性に富んでいて、世界共通の花というのは他にない。国によって好みは違えども、素晴らしい新種を作り出せば世界の人が感心してくれて愛されるバラになる。バラは音楽や映画よりもあっさり国境の壁を越える世界の共通言語的な存在かもしれない。
 この3年間でけっこうな種類のバラを見たつもりでいても、まだまだ全体の数パーセントにすぎない。なにしろ世界には登録されているものだけで3万5,000種類以上のバラがあって、毎年どんどん新種が増えていっているのだ。花フェスタの7,000種類くらいで驚いていてはいけない。
 まだもう少しバラの季節は続いて、秋バラもある。今シーズンはもうこれでいいやだなんて思わずに、引き続きバラを追いかけていきたい。少しでもたくさん見て、お気に入りを見つけていこう。写真もなるべく撮った方がいい。撮れば調べるし、名前も覚える。バラの名前に異常にくわしい男が世間的にどう評価されるのかは分からないけど、バラの違いが分かる男に私はなりたい。




プロフィール

オオタ(マサユキ)

Author:オオタ(マサユキ)
ブログランキング・バナー(FC2)
ブログランキングに参加してます
Dry&Wet(ホーム)



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する