 PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-50mm(f3.5-5.6 AL), f9.0 1/12s(絞り優先)
北鎌倉駅から円覚寺を越えて2分ほど歩いたところに、鎌倉古陶美術館がある。古い陶器に興味があるわけではないから普通なら素通りしているところだけど、「いい旅夢気分」で平泉成夫妻がここの裏庭に咲くアジサイを紹介していたので、私たちも行ってみることにした。平泉成って誰だと思うかもしれないけど、顔を見ればたぶん分かるおじさん俳優だ。脇役で滅茶苦茶たくさん出てるから。少し前に「華麗なる一族」にも工場長役で出ていた。それはともかくとして、まずは入ってみよう。
館長は趣味で鎌倉時代の陶器を集めていたらそれが昂じて脱サラして陶器の美術館を開いてしまったという人だ。鎌倉時代の陶器を系統立って展示してあるところがほとんどないということも、ここを作るきっかけになったという。言われみれば、鎌倉というのは古都にしては美術館のようなものが少ない街だ。観光地の通りに古美術店なども見かけない。私も鎌倉時代の陶器というのをあまり意識したことがなかった。 古陶美術館は古民家三棟を強引につなぎあわせたような建物となっていて、それ自体が見どころとなっている。太い梁や古い柱などにも味がある。 展示は大きなツボから茶碗などの小物までさまざまで、好きな人や専門家が見れば興味深いものなのだろう。でも、門外漢の我々にはさっぱり。巨大なツボを見て、どうやって作ったんだろうねこれ、などというすごく初歩的な会話が交わされていたのだった。大きなロクロを回したんじゃないのかなどととぼけたことを言ってみたり。 尾形乾女という人の絵などが飾られていたようだけど、そんな人も知らない。私たちの目的はあくまでも裏庭のアジサイだ。きっと同じような人もたくさんいたに違いない。
 裏庭のあじさいの小径は、文字通りの裏庭で、行き交う人とすれ違うのがやっとという狭さだ。お相撲さんお断りの立て札が必要なほど通路は狭い。散策路といったようなものではなくて、しかも順路がなくて最後は行き止まりになるのでしょちゅう人とすれ違うことになる。写真を撮ってる人がいると終わり待ちになったりもする。 ここはガクアジサイが多かった。園芸品種ではなくヤマアジサイなんだろうか。プレートがたまに出ている程度で、品種に対するこだわりというよりも趣味で好きなアジサイを集めてみましたという感じだ。
 アジサイの美しさはガクの色と形だけで決まるわけではない。小さいながら花の色によっても印象が違ってくる。薄ピンクのガクと花の紫が華やかだ。
 これはちょっと変わったアジサイだった。見ようによってはやや不気味かもしれない。アジサイもまだまだいろんな可能性があることを教えてくれる。
 つや消し紫のガクに少し惹かれた。すごくきれいというわけではないのだけど。
 お客の入りはまずまずで、みんな何らかのカメラを持っていて、思い思いにアジサイ写真を撮っていた。今はちびっ子も自分の携帯で写真を撮る時代だ。写真というのもが昔に比べて軽くなったけど、自分が興味を持つ対象を知るという意味で写真を撮ることはいいことだ。それを他の人と共有することも簡単になった。
 ここで一番気に入ったのがこれ。渋いね、君、とうならせる渋枯れの紫墨色アジサイ。ここまでくると風情を通り越して、わびさびの世界だ。お茶室にも似合いすぎるくらい似合いそう。可憐なものや華やかなものが多いアジサイの中で、この渋さは際立っていた。
 花は平凡だけど、葉っぱが変わっていた。あまり美しいとは思えないけど、こういう方向性もあるんだということを教えてくれる。葉っぱの色まで作り出せるのなら、アジサイ作りの世界は更に広がっていく。
 これまた変わったガクアジサイで、最初は緑のガクが時間とともに白くなっていく。抹茶をまぶしたみたいで面白い。
裏庭のあじさいの小径には100種類以植えられていて、珍しいものも少なくない。通路は狭くて人の流れが落ち着かないけど、坐る場所も用意されていて、けっこう満足度は高かった。平泉成夫妻の鎌倉紹介番組を観なければ、決して入ることはなかっただろう。こういうのもまたひとつの縁だ。行けてよかった。 裏庭の公開は5月から6月にかけてのアジサイのシーズンだけだ。あとは閉鎖されている。入園料は500円。陶器を見ずに裏のアジサイだけならちょっと高い。寺の拝観料でも最高300円だから。陶器に興味がある人は、アジサイとセットでお得だ。時期的にはそろそろ見頃過ぎといったところかもしれない。ここのは他のところよりも早い感じだった。今週末まできれいな状態が持つかどうか。 ツボに興味がある人もない人も、北鎌倉のちょっとした穴場アジサイスポットとして古陶美術館をおすすめします。光則寺とはまた違った種類のガクアジサイを楽しむことができますよ。
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