現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
江ノ電に乗って降りて撮ってまた乗るのりおりくん
2007年06月23日 (土) | 編集 |
江ノ電-1

PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-50mm(f3.5-5.6 AL), f7.1 1/25s(絞り優先)



 鎌倉といえば江ノ電もまた魅力の一つに違いない。住民の貴重な移動手段でありながら同時に観光向けでもあるという点で、都電荒川線と重なる部分がある。みんな江ノ電が大好きだ。日頃電車になんてまるで興味のない老若男女が、鎌倉で江ノ電を見るとつい写真を撮らずにいられなくなってしまう。普段は絶対に電車の写真を撮ったりしないような女の子まで、一所懸命江ノ電を狙ってシャッターを切っている。その後ろ姿は微笑ましい。けど、遠慮して後方にポジションを取っていては、江ノ電よりも江ノ電を撮る人を撮ることになってしまうのだった。
 上の場所はいくつかある撮影スポットの一つ、御霊神社前だ。電車の向こうがトンネルで、両脇にアジサイが咲いていて、絶好の撮影ポイントとなっている。みんなよく知っていて、江ノ電を狙う人が絶えることがない。運転士も日頃のうっぷんを晴らすかのように警笛を鳴らしまくり。少しでも近づいて撮ろうとするにわか鉄っちゃんと江ノ電運転士の戦いが、この場所で日夜繰り広げられているのだ。
 この車両は、1000形といわれるもので、1552号だと思う。後ろから見た姿で、車両に1552とある。江ノ電にもたくさんの種類の車両があって、電車好きはひと目見れば何形か見分けることができるのだろうけど、私はさっぱり分からないので、江ノ電好きの人のサイトを見て少しだけ勉強してみた。見分けるのはなかなか難しい。
 基本的に江ノ電は緑と黄色のツートンだけど、いろいろなカラーリングの広告車両もある。これもそうだったんじゃないかと思う。

江ノ電-2

 なんとかもう少しいい写真を撮りたいと粘ってはみたものの、待つほどに人が増えてきてこの有様に。現地の状況は伝わるけど、さすがにこれでは人が入りすぎだ。江ノ電を撮ってるんだか人を撮ってるんだか分からなくなる。
 車両は、1251号と見える。江ノ電は基本が2両編成で、どういう理由か知らないけど、前後別の車両がくっついている。これは1201+1251だったろうか。混雑時は2両と2量が合体して4両編成になったりもする。そのときは更に統一感のないバラバラな感じになったりして面白い。

江ノ電-3

 トンネル側は人気が高いからあきらめて、反対側でも一応撮っておくかとベストポジションを押さえて待ち構えていたところ、突然おっさんがフレームインしてきた。わっ、何するんじゃ! 完全に江ノ電を撮るおじさんを撮る私になってしまったではないか。
 侮りがたし写真おやじ。素晴らしき江ノ電写真への道のりは遠く険しい。
 この場所は単線で、10分間隔くらいでどちらからか電車が来る。本腰を入れて江ノ電を狙うならもっと粘ってもよかったのだけど、私たちの目的はそういうことではなかった。あきらめて先へ進むことにした。少し心残りだったけど。
 車両は平成に入ってから導入された2000形だ。2001という数字が見えるから、2001号だろう。このタイプはレトロ感よりも近代感が強い。昔からの江ノ電ファンはあまり好みではないのかもしれない。

江ノ電-4

 テレビやドラマでお馴染みの鎌倉高校前駅へとやってきた。昔から幾度となくテレビの向こう側に見ていた場所に自分が降り立って感慨深いものがあった。おお、ここがそうか、と。駅自体は老朽化が激しい無人のローカル駅で、テレビの中ほどドラマチックではないけれど、でもやっぱり嬉しかった。私の中の鎌倉高校前駅は、片岡鶴太郎が主演していたドラマ「季節はずれの海岸物語」のイメージが強い。あのドラマがとても好きだった。
 この日は、江ノ電乗り放題の「のりおりくん」というフリーパスを買った。最初、「のりおくん」と思い込んでいて、あやうく窓口で「のりおくん、ください!」と言ってしまうところだった。西川のりおの大きな顔が目に浮かんだ。
 値段は580円だから、鎌倉と長谷と往復するだけなら損だけど(380円)、たとえば鎌倉から長谷まで行って、更に鎌倉高校前駅へ行って、そこから鎌倉へ帰るとしたら650円になるから、微妙な得になる。このあたりの江ノ電の値段設定が憎いところだ。500円にすると損しすぎると踏んだのだろう。しっかり得をしたければ2回は途中下車しないといけない。この沿線で一日を過ごすなら、買って損はない。
 提携している食事処で、のりおりくんを見せると少し割引になるサービスがあったり、鎌倉文学館は50円引きになったりする。私たちは長谷寺で粗品をもらった。そのときどきで違うのかもしれないけど、くれたのは長谷寺と印刷された小さな蛍光ペンだった。のりおりくんって、いろんな意味で微妙だと思った。

江ノ電-5

 私たちが乗ってきたのがこの20形の62号だった。レトロっぽいのは古い車両ではなく、江ノ電100周年を記念して新しく導入されたレトロもどきで、実際は一番新しい。このときは4両編成で、前は何だったのか見てなかった。江ノ電について勉強したのは帰ってきてからで、当日は特に強い思い入れも何もなかったから、車両の種類まで気にはしていなかった。

 明治35年(1902年)に江ノ電こと江ノ島電鉄は、藤沢-片瀬(今の江ノ島駅)の間で開通して(3.4キロ)、2002年に100周年を迎えた。少しずつ距離を伸ばしていって、明治43年(1910年)に全線が開通した。当時は40の停留所があったそうだ。停留所というのは、路面電車の扱いだからだろう。他の鉄道会社の傘下に入ったり買収されたりと紆余曲折を経て、今は江ノ島電鉄株式会社として小田急グループに組み込まれている。
 現在は鎌倉から藤沢までの約10キロを34分かけて往復している。15の駅は無人駅も多く、単線ゆえの待ち時間などもあり、ローカル線の風情が色濃い。民家の間をすり抜けるように走り、トンネルをくぐると目の前に海が広がったり、路面電車となって車と並走したり、乗っているだけで楽しくなる電車だ。

江ノ電-6

 湘南の海と江ノ電と江ノ島と。晴れていたらここからの夕景は素晴らしい。関東の駅100選にも選ばれている。この日は残念ながら夕方から曇りになって夕焼けも富士山も見られなかった。いつかまた、いい夕焼け写真を撮りに行きたい。下校する高校生カップルなんかがいればますます絵になるだろう。
 小さく見えている車両は10形(10+50号)で、ちょっと変わっている。紺色で、ヨーロッパの山岳列車みたいなスタイルの江ノ電だ。これも新しいレトロ調で、古いものではない。チョコ電と呼ばれる茶色い電車もあったのだけど、それはもう引退してしまった。

江ノ電-7

 これは本当に古い300形の305号だ。初登場は昭和35年だから、かなり長い年月活躍していることになる。最も江ノ電らしいスタイルの電車と言えるだろうか。301、302に続いて304号も引退してしまったから、この305号にはまだまだ頑張ってもらわないと。

江ノ電-8

 乗ったのが2両と2両をつなぐ先頭の席だったので、無人の運転席を見ることができた。電車好きにはたまらんポジショニングだろう。コンピューター制御など影も形もなく、いかにも手動で走らせているというオールド感がいい。
 この席から見てると、4両つないだ江ノ電は無理があるのか、コーナーのたびにあやしく車両が左右にうねって、今にも脱線しそうだ。江ノ電はスピードを上げたら危ない。

 こんな感じの江ノ電リポートになりました。江ノ電も調べてみると奥が深くて面白い。車両もこんにも種類があるとは思わなかった。ただ、車両が何号だろうとそんなものは関係なくて、江ノ電は見て乗って写真を撮って楽しむものだ。のりおりくんで乗り放題乗って、帰りには江ノ電もなかをおみやげに買って帰ろう。
 撮影ポイントとしては、ここで登場した御霊神社前と鎌倉高校前駅前が王道となるだろう。鎌倉高校前駅手前の坂道から海をバックに踏切を通過する江ノ電というのも定番だ。腰越駅で路面電車になるところも狙いたい。
 私もまた再チャレンジしに行きたいと考えている。それと、次は藤沢から鎌倉まで全15駅制覇もしたい。できれば全部の駅で降り立ってみたいとも思う。そのときこそ私は真の「のりおりくん」の称号を得ることができるだろう。




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