 PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-55mm(f3.5-5.6 AL), f8 1/10s(絞り優先)
アジサイ鎌倉紀行の最後は、本編に入りきらなかった写真を並べて番外編として振り返ってみる。 最初は御霊神社。長谷駅と極楽寺駅の中間あたりに位置していて、長谷寺であぶれてしまった人や、その行き帰りのついでに寄る人でけっこうな賑わいを見せていた。裏にちょっとしたアジサイの小径もあって、その情報をあらかじめ得ていた人も多かったのかもしれない。鳥居のすぐ前が例の江ノ電撮影の絶好のポイントとなっているから、それで有名というのもありそうだ。 私たちが行ったときはちょうどお昼時で、境内では大お弁当大会が開かれていた。団体客のおじさまおばさまが地面に坐って、みんなで弁当を広げて食べていた。鎌倉は外でお昼を食べられるところが少ないから、多少強引でも食べられるところは人気のお昼スポットとなる。神社だろうと寺だろうとかまっちゃいられない。私たちも、ここで持参のケーキランチとなったのだった。
御霊というのは、祖先の霊を祀るという意味と、怨霊を鎮めるという意味があって、日本各地に御霊神社がある。 ここは源氏が鎌倉の地を治める以前からあった古い社で、平安時代にこの地の有力者であった大庭、梶原、長尾、村岡、鎌倉の関東平氏五家の霊を祀るために建てられたのが始まりだそうだ。のちに武勇で名を馳せた鎌倉権五郎景政だけを祀るようになって今に至っている。別名を権五郎神社(ごんごろうじんじゃ)ともいう。 景政は後三年の役(1083年)に16歳で源義家に従って出陣して、左目に屋が刺さったにもかからずそれを自分で引っこ抜いて戦ったという武勇伝が残っている人物だ。そのため、ここは目の病気や厄除けにご利益があるとされている。 本殿には景正夫妻と梶原景時の木像が安置されていて、景政の命日である9月18日には、お面をかぶって神輿の前を練り歩く面掛行列というお祭りが行われるそうだ。 境内には景政が持ち上げたという景政の力石や、樹齢350年以上という立派なたぶの木などがある。
 本殿の裏手にあるアジサイの小径は、名所となるほどではないけど、それなりにアジサイは揃っていた。ここはオーソドックスなものが多くて、アジサイの基本ってこうだよねと初心に戻れる場所だ。鎌倉にあっては、個性のないのが逆に個性的なアジサイスポットといえるかもしれない。 このアジサイの向こう側にあったベンチで私たちはお昼を食べた。もし御霊神社へ行くようなことがあったら、本殿裏のベンチを見て、オオタはここで昼飯を悔いやがったのかと、私のことを思い出してください。
 古陶美術館の中。作家の作品の展示だけでなく、小物類の販売もしている。興味のある人には楽しいところだろう。鎌倉みやげにもなりそうだ。でも、ツレは巨大なツボに、私は右に写ってる鎧兜に心が奪われていた。
 円覚寺の前にある白鷺池(びゃくろち)。木々に覆われ、緑を映す水面も夏模様。春は桜が咲き、秋はモミジの赤に染まり、冬は凍りつくのだろう。 かつては円覚寺の境内にあったこの池も、横須賀線の開通によって分断されて外になってしまった。横須賀線は境内の中を横断して走ってることになる。よく円覚寺がそれを許したものだ。 開山である無学祖元が鎌倉にやって来たとき、鶴岡八幡宮の神の使いが白鷺に姿を変えてこの地に案内したという伝説から名づけられたという。今は人通り、車通りが激しくて、シラサギがのんびりたたずむような雰囲気はない。
 名月院近くでソフトクリーム売り場に人が並んでいた。何気なく見てみると、「バニラ 紫いもソフト あじさいソフト(ミックス)」という看板が目に入った。あじさいソフト? それも御当地ソフトなのかと興味を惹かれて、買って食べてみることにした。しかし、どう考えてもこれはバニラと紫いもソフトのミックスだ。どうしてバニラと紫いもを合わせたらあじさいになるのか? 見た目の紫色から来ているとしたら恐ろしく強引なこじつけだ。そもそも、あじさいには香りらしい香りはないし、あじさい味というのも想像がつかない。だから作ろうにもあじさい味なんて作れるはずがないのだ。そんな子供だましの手にまんまと乗せられる私たちはなんてお人好しなんだろう。でも、あじさいソフトを食べたという事実は動かない。確かに私たちは食べた、あじさいソフトと称するソフトクリームを。 紫いもソフトというのは各地にある変わり種ソフトの定番のようで、そんなに珍しいものではないようだ。確かにお芋っぽい味がした(決してあじさい味ではなかった)。 鎌倉でも「いも吉館」という有名店があって、私たちが買ったのもその店の支店だったかもしれない。別の店では、抹茶と紫いもをミックスした自称あじさいソフトも売っているらしい。今度はぜひそれも食べてみよう。食べた人の話によると、完全に抹茶味が勝っていて紫いも味はどっかへ飛んでいってしまっているらしいけど。
 名月院はとてもちゃっかりしている。商売上手だと思う。本殿裏にあるハナショウブ苑は前日で終わりとサイトに書かれていたからあきらめていたら、丸窓の向こうに大勢の人が歩いている。あれ、おかしいね、もう終わったはずなのにねなんて言いながら近づいてみると、期間延長して開いてた。ハナショウブはもうほとんど終わりましたが風情をお楽しみください、なんて書かれた札が立っている。なんだ粋なはからいで無料開放してるのかと喜びながら入っていこうとしたら、しっかり500円取っていた。取ってやがったか! 係の人の、「入るには500円かかります!」という呼び込みとも警告ともつかない呼びかけで、しばし列が滞る。なんだ500円もするんだといって引き返す人あり、500円かぁと迷う人ありで、私たちは結局入ることにしたのだった。せっかくここまで来たんだし、あきらめてたら開いてたしってことで。これもなんか、完全に明月院の上手い商法に乗せられた感がある。限定ものやレアと言われるとつい買ってしまうのと同じような心理戦に負けた。 明月院ってのは、拝観料を払った上に、丸窓の茶室にあがるにはユニセフの募金をしなくてはいけなくて、裏のハナショウブ苑を見ようとすれば更にお金がかかってしまう。お寺を見るのに1,000円オーバーはちょっと厳しいものがある。ポッキリのはずの店がポッキリじゃなかったみたいな感じ。 それでもまあ、ハナショウブはまだけっこう咲いていたからよしとしよう。
 鎌倉高校前駅手前の踏切を渡って階段を下りると、目の前には七里ヶ浜の海岸と湘南の海が広がっている。左の出っ張りが稲村ヶ崎で、その向こうに見えているのが三浦半島だ。振り返って右手には小動岬があって、その向こうには江ノ島が浮かんでいる。 夕方近くになって空が雲ってしまったのは残念だったけど、湘南の風は気持ちがよかった。少し肌寒い中、ポツリ、ポツリと人出もあった。夏になればここも海水浴客が大勢訪れるのだろうと思いきや、波が荒くて遊泳禁止になっているんだそうだ。海水浴客は由比ヶ浜海岸や材木座海岸に行くようだ。その荒い波を求めて一年中サーファーがやって来る。日本の渚百選にも選ばれている。 小動岬から稲村ヶ崎までの3キロが七里ヶ浜で、この間の距離が7里だったことから七里ヶ浜と名づけられたんだとか(正しくは、七里ガ浜と表記するらしい)。稲村ヶ崎から向こうが由比ヶ浜ということになる。
 鎌倉の夜は早い。観光客は夜までいないようで、下手したら5時くらいに閉まってしまう店がけっこうある。通常の20時、21時くらいまで営業している店は少数派だ。そして、鎌倉では何を食べればいいのかよく分からない。せっかくだから鎌倉でしか食べられないような鎌倉名物を食べたいと思うのだけど、それがどうも思い浮かばない。鳩サブレーでは夕食にならないし、鎌倉ハムを砂浜のたき火で焼いてかぶりつくなんてわけにもいかない。鎌倉の夕飯はいつも悩む。 このあと私が極度のハライタに襲われたこともあって、ガイドブックに載っていた長谷の「麻心magokoro」という店に行ってみることにした。入ってみると予想外にジャズの生演奏が行われているところで、狭い上に至近距離の演奏で会話もままならない。えらいところに入ってしまった。 ハライタの私は、麻心オリジナル麻の実入りカレー(1,000円)、ツレはシラス定食(1,200円くらいだったかな)を頼んだ。それがなかなか来なくて、結局20分くらい待っただろうか。カレーを一から作ってるのか、まさかご飯を今から炊き始めたのか、もしかしてシラス漁に出たんじゃないのかなどとウワサをして時間を過ごす。店のメニューを見たら、「スローライフ、スローフード」と書かれていた。なるほど、それで出てくるのもスローだったのか。 ヘルシー指向ということでカレーはかなり不思議な味だった。マイルドというか、辛さが足りない。五穀米ってのも体にはいいとしても、私は白米を食いたいぞ。ノーマルなメニューがないので、けっこう人を選ぶ店かもしれない。店内もなんというのか、変わった雑貨や民族楽器などが並んでいる不思議空間だ。ひょうたんがスピーカーになってたり。窓際の席は目の前が由比ヶ浜なので、ロケーションは悪くない。
 食べ終わった頃にはすっかり日も暮れて、今回のアジサイ鎌倉も終わりとなった。前回は由比ヶ浜から鎌倉駅までとぼとぼ歩いていって、残りの体力を完全消費してしまったので、今回はそんな無謀なことをせずに長谷駅まで戻って江ノ電で帰った。のりおりくんもしっかり元を取って、悔いはない。東京までは、終電の泥酔客のようにぐったり寝込みながら戻った我々であった。 ゴールデンウィークに続いてアジサイの鎌倉も見て回ってもういいだろうということにはならない。まだ回れてないところも残っているし、紅葉の鎌倉も心惹かれるものがある。秋は海岸線の夕焼けも見事だろう。江ノ電もまだ撮りきった手ごたえがない。江ノ島もたっぷり半日はかけて味わいたいし、鎌倉源氏のゆかりの地巡りもしなければならない。またきっと行こう、鎌倉。 というわけで、これで鎌倉編はおしまい。
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