現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
海に暮らす多様な生き物のことを教えてくれた名古屋港水族館に感謝
2007年07月06日 (金) | 編集 |
名古屋港水族館の魚たち-1

PENTAX istDS+Super Takumar 50mm(f1.4), f1.4, 1/40s(絞り優先)



 いい顔してるなぁ、クエ。じろりとにらんだ目が執筆中を邪魔された松本清張みたいだ。先生、調子はいかがでしょうか、と話しかけたくなる。あ? まあまあだ、なんて返事が返ってきそう。
 ゆら〜っとゆったり泳ぎながら目だけキョロキョロさせて辺りをうかがうクエさん。魚なのになんとも表情が豊かで、見ていると笑えてくる。クエとしては特に深い考えで泳いでいるわけではないのだろうけど。
 西日本から東シナ海あたりのさほど深くない海底でのんきに暮らしている。群れは作らず単独で、昼間は岩陰などでぼぉーっとして過ごし、夜になると獲物を求めて巣の近場をうろつく。そして、寝ている魚やイカなんかを大きな口で丸飲みにして食べる。
 大きいものは1メートル以上になるそうだ。高級魚で市場ではほとんど出回らないため、釣り人の憧れの的ともなっているらしい。食べるとフグより美味しいんだとか。一度くらいは食べてみたい気もするけど、その前にフグを食べたことがないので(食べて死ぬような可能性のあるものは食べたくない)、私にはフグより美味しいかどうかの判断はできない。

名古屋港水族館の魚たち-2

 海のギャング・ウツボが水中から空に向かって吠えるようにじっと動かない。見るからに悪そうだ。凶暴さが顔に出ている。けど、目はつぶらでちょっとかわいい。鳥なんかの目の位置からするとずいぶん前のほうの中途半端な位置にある。ここの方が海では都合がいいんだろうか。
 ウワサに違わず性格は凶暴で、鋭い歯で人間の指くらいは簡単に食いちぎる。捕らえた獲物は決して離さない。こちらから向かっていかなければ襲ってくることはほとんどないだろうけど、濱口まさるさんは海でよく捕まえて食べている。あれは危険すぎる。よい子はマネしてはないけない。食べてみるとけっこう美味しいらしいのだけど。
 日本の南側から台湾にかけての暖かい海に彼らはいる。昼間は岩場などに潜んでいて、夜になると獲物を求めてうろつき回る。タコが好物らしい。

名古屋港水族館の魚たち-3

 ヒラヒラの派手な衣装を身にまとったハナミノカサゴ。よく似たミノカサゴとの違いは、ハナの方が顔などのトゲトゲが多いところだ。縞模様もこちらの方が派手で、やや大型になる。
 このヒラヒラは飾りなどではなく、毒を持っているというアピールだ。毒性が強くて刺されるとけっこう危険だそうだ。美しいものには棘があるというのはハナミノカサゴにも言える。
 こいつも夜行性で、昼はぼんやり休んで過ごす。昼間に狩りをするには衣装が派手すぎるかもしれない。夜みんなが寝静まっているところを襲って飲み込んでしまう。
 生息域は日本の南からインド洋、太平洋にかけて。

名古屋港水族館の魚たち-4

 これまたでっかくてゆったりと泳ぐ魚だ。ナポレオンフィッシュ。ナポレオンは小男だったのになんでこんな大きな魚がナポレオンフィッシュなんだろうと思ったら、頭の形がナポレオンがかぶっていた帽子に似ているからなんだそうだ。日本名は、メガネモチノウオという。これは、目の後ろの黒い線がメガネをかけているように見えるところからきている。この個体は、その線がちょっと薄かった。
 日本の南からインド洋、太平洋にかけて広く分布するベラの仲間で、最大2メートルにもなる。泳ぎはゆったりだから性格もどっしり構えていると思いきや、意外と縄張り意識が強くて心が狭い。仲間が入り込んでくると怒って追い出したりする。肉食で、小魚や甲殻類などを食べる。こちらは昼行性で、夜は岩陰などでお休みする。

名古屋港水族館の魚たち-5

 エイはサメの仲間だ。白と黒のカラーリングを見ると、なるほどサメと一緒だと思う。軟骨魚類と呼ばれる種類に属する。
 白いおなか側の二つの穴は目ではなく鼻の穴だ。匂いに敏感らしい。口の下にある左右に並んだ穴はエラだ。目は背中側の横の方についている。
 特徴的なのが泳ぐためのヒレと長くて細い尾っぽだ。サメと違って基本的に性格はおとなしいのだけど、アカエイのように稀に背ビレに毒を持っているものがいる。オーストラリアの動物博士スティーブ・アーウィンは、2006年にアカエイに胸を刺されて命を落とした。電気を持っているシビレエイなんてのもいる。
 世界には約530種ものエイがいるそうだ。多くは海底で貝などを食べて生きている。淡水に生息するやつもいる。

名古屋港水族館の魚たち-6

 カクレクマノミ。こいつは撮るのに苦労した。サンゴに隠れたり出たりちょろちょろして落ち着きがない。映画『ファインディング・ニモ』のモデルになったのがこいつだ。
 奄美大島より南の太平洋から東部インド洋にかけて生息している。すっかりおなじみの熱帯魚だ。
 ハタゴイソギンチャクなどのイソギンチャクを家として家族で共同生活を送っている。
 これも雄性先熟型の雌雄同体魚で、オスからメスに一部が変化する。卵の世話などもオスの方が熱心にやる。ニモの話もそうだった。

名古屋港水族館の魚たち-7

 写真では大きさが伝わらないのだけど、巨大な貝だった。1メートル近いこの貝はオオシャコガイだ。重さは数百キロになるそうだ。
 エサはプランクトンからだけでなく、貝についた藻の光合成から生まれた養分をもらって栄養にしている。海の中では様々な形の共生がある。
 日本では名古屋港水族館にしかいないんだとか。

名古屋港水族館の魚たち-8

 底にいて動かないこの毒々しい生き物はなんだろう。ウミウシというやつだろうか。定かではない。
 もしウミウシというのだとしたら、世界では3,000種類以上もいるんだそうだ。知らなかった。海の牛なんて聞いたこともなかった。頭の先端に一対か二対の触角を持っていて、それを牛の角に見立てて名づけられたようだ。
 毒を持っているやつが多く、食用には適さない。この体を見て食欲はわかない。

名古屋港水族館の魚たち-9

 お触りコーナー(タッチタンク)にいる生き物たち。ナマコ、ヒトデ、ウミウシ、ムラサキウニなどがいて、ちびっ子たちに触られ放題で無抵抗。見ていると気の毒になる。ストレスで長生きできそうにない。近くにはボランティアの係員が3、4人は見張っているのだけど、子供たちの暴挙を完全に食い止めることはできない。
 ちらっと触ったナマコやウニは、少し固めでヌメっとした不思議な触感だった。

 名古屋港水族館の魚編は今回で終了となる。まだまだたくさんの生き物たちがいたのだけど、全部は撮りきれなかった。次回に持ち越しだ。
 今回はいろんな生き物がいることを実感できたのが一番の収穫だった。海にいるのは分かりやすい魚ばかりじゃなかった。地味な生き物たちも進化の過程を懸命に生きている。これまで勝ち残った優秀な生物たちだ。見た目がグロテスクでも、コミカルでも、生き残ったものが勝ち。生き残れなかったら負けとなる。
 それにしても海の多様性というのは今さらながら驚異だ。ここ数年、野草や虫や動物たちについて少しずつ勉強しているけど、今後は海の生き物にももっと目を向けていこうと思った。名古屋港水族館、ありがとう。また行きます。


砂と共に暮らす海底の地味な生物たちも生きているんだ友達なんだ
2007年07月06日 (金) | 編集 |
地味魚名古屋港水族館-1

PENTAX istDS+Super Takumar 50mm(f1.4), f1.8, 1/80s(絞り優先)



 名古屋港水族館で何が一番面白かったかと訊かれたら、砂の上をはいずり回っていた地味な生き物たちと私は答えるだろう。これでもかと次から次へと繰り出される地味な生物の連続に、だんだんヘラヘラ笑いが止まらなくなってくる。猫ひろしのギャグに唖然としつつ、そのうちなんだかヘンに面白くなってくるような感覚だ。地味な生き物の魅力は大人だけじゃなく子供にも意外と伝わるようで、ちびっこたちも水槽の前でけっこう盛り上がっていた。もっと動けと叫びながらガラスをガンガン叩いたりして。おいおい、叩くなよ。
 砂水槽には、シロギスやクロウシノシタなどの地味な魚の他に、ヒトデとか何か分からない生き物たちが半分砂に埋まったまま動かない。イシガレイなどは、ときどき思い出しようにもぞもぞと移動するだけで、あとは砂底でぬーぼーとしている。何を考えているのか、何も考えてないのか。悪ガキがガラスを叩いたくらいではビクともしないのだ。

地味魚名古屋港水族館-1

 これはかなり見つけやすい方のイシガレイだ。もっと深く砂に埋まってるのは、動かない限りほとんど分からない。ほぼ砂底と一体化している。
 こいつはまだ子供なのだろう。食用にもなるくらいだから、成魚になればけっこう大きくなるはずだ。海では日本や朝鮮半島あたりの浅瀬で暮らしている。淡水にも入り込むことがあるそうだ。
 砂に潜るのは、自分が食べられないように身を隠すというよりも、ハンターとして獲物に姿を見られないようにという意味合いなのだろう。小さな甲殻類やゴカイなんかを捕まえて食べている。
 シロギスもこれはまだチビだ。だいたい20センチくらいになって、釣り人のターゲットにもよくなる。日本国内の広い範囲に分布している。
 こいつがなんで砂水槽に入れられているかというと、シロギスも身の危険を感じると砂に潜る習性があるからだ。水槽の中ではそれほどの危険はないだろうからめったに潜ったりはしないだろうけど。

地味魚名古屋港水族館-3

 別の砂水槽にいたマゴチという魚。太平洋からインド洋あたりに生息していて、こいつもあまり動かない。一生の間に動く範囲はかなり狭そうだ。
 しかし、こう見えてけっこう凶暴で、甲殻類や魚なんかを大きな口を開けて丸飲みにしてしまう。いいものを食べているせいもあってか、なかなか美味しい高級魚とされている。ただ、獲れる数が少ないからあまり魚屋などでは見かけないはずだ。料亭とかで出てくるそうだけど、そんなところとは縁がないので、一生私は食べずに終わりそうだ。刺身にしたり天ぷらにしたりすると美味しいらしいのだけど。
 雌雄同体魚で、最初は全部オスとしてスタートして、大きくなったものがメス担当となって卵を産む。同じ雌雄同体魚でも逆のパターンもある。

地味魚名古屋港水族館-4

 テナガエビ。これまた地味だ。およそ彩りというものがない。世界は地味な生き物に満ちているということを名古屋港水族館は我々に教えてくれる。海水魚といっても派手な色をしていたり元気に泳ぎ回っている魚ばかりではないのだ。
 名前の通り手が長い。すごく細くて頼りない。こんなきゃしゃな手で何か掴めるのかと心配になるほどだ。でも手が長いのはオスだけで、メスの手は短い。正確にいうと手ではなく、はさみ脚だから、足が細いということになる。
 野生のものは見たことがないけど、日本の河口付近や池なんかにもいるそうだ。ただ、小エビのときは川を下って海で過ごす習性があるらしい。近年は水質の悪化でだいぶ数を減らしているようだ。
 食用の川エビといえばこのテナガエビを指すことが多い。

地味魚名古屋港水族館-5

 また砂に潜ってるし。ヒラアシクモガニ、おまえもか。こんな赤い体をして中途半端な潜りではあんまり意味がないんじゃないと思いきや、こいつは水深200から300メートルという深い海の底にいるやつで、太陽の光が弱い海底では赤色は黒っぽくなってカモフラージュになる。だから、これで充分隠れていることになるのだろう。
 ヒラアシは平べったい足で、クモガニというのは姿が蜘蛛に似ているからだろう。
 それにしても、海の底には見たこともないいろんな生き物がいるんだとあらためて思い知るのであった。

地味魚名古屋港水族館-6

 水槽の底にゴミのかたまりが落ちてるぞと思ったら、ゴミをいっぱい身にまとったカニだった。
 毛むくじゃらの体に、そこらにあるものを何でもくっつけてしまわずにはいられない性質を持っている。海の藻屑を背負うことからモクズショイ。ボロは着てても心は錦なのかもしれない。
 自分ではいろんなボロを身にまとってカモフラージュしてるつもりのようだけど、ものによってはかえって目立ってしまう結果となる。何が目立って何が目立たないかまでは判断できないらしい。水槽では実験的に毛糸やスポンジのくずをくっつけさせていた。実際の海では藻なんかをくっつけてるそうだけど。

地味魚名古屋港水族館-7

 身動きもままならないような狭い水槽の中で不機嫌そうな顔をしていたタカアシガニ。うう、ここは狭くてかなわん、と言ってるようだった。何しろ足を広げると4メートルにもなるような世界最大のカニだ。快適に過ごしてもらおうと思えばちょっとしたプールくらい必要になる。
 日本の周辺の海底深く、最高800メートルの深海で静かに暮らしている。
 生きた化石といわれるほど昔からいるカニで、駿河湾などではそこそこ獲れるから名物となったりもしてるようだけど、全体的な数は少ないので今後は保護される方向に向かいそうだ。深海であまり動かないカニだから美味しいのかどうか。

地味魚名古屋港水族館-8

 自分で撮った写真なのに、一瞬何が写ってるんだろうと分からなかった。よく見たら、エビの上にエビが乗ってる写真だ。ああ、そうそう、こいつらいたなと思い出した。
 下にいるピンクと水色のがニシキエビで、上にいるのがシマイセエビだ。手がストライプ模様になっている。
 関東以南からインド洋、太平洋の暖かい海にいる伊勢エビの仲間で、珊瑚礁や砂の海底で生きている。見るからにまずそうだけど、実際まずいらしい。水色のエビって食卓向きではない。
 かなり巨大になって、最大60センチ、5キロにもなるそうだ。見栄えがよくて大きいから水族館だけでなく観賞用としても飼われたりしている。
 シマイセエビは名前の通り縞のある伊勢エビで、これも食べられているようだ。ただ、こいつも暖かい海を好むので、本物の伊勢エビよりも味は落ちそうだ。暖かい海でだらりと暮らしてる魚介類は身の締まりがない。

 こうして地味な海の生き物を並べてみると、あらためて水族館らしくない顔ぶれだなと思う。けど、こう次々に繰り出されると、だんだん楽しくなってくる。最初薄味と思った料理があとから深みのある美味しさだと気づくように。この水族館はマニアックだけど面白い。特に砂ものが充実している。ここには紹介しきれなかったものもいるので、ぜひ自分の目で見てみて欲しいと思う。イシガレイ探しとかもけっこう盛り上がる。
 名古屋港水族館は子連れではなく大人同士で行った方が楽しめるところかもしれない。子供は一ヶ所に集中しなくてどんどん先へ行こうとするから落ち着いて地味生物を観察できない。ひと目見て派手できれいな熱帯魚だけでなく、地味な中にも海の生物の奥深さがあることを知ると、水族館はもっと楽しくなる。動物園より深い。
 とはいえ、次回はもう少し派手目の海の生き物を紹介したい。さすがに地味なだけではマニアック水族館になってしまって一般人が置いてけぼりになってしまう。ある程度は見栄えのいいものも取り揃えておく必要がある。大きいものや優雅なものや笑えるものなんかを。
 それにしても地味生物展示水槽は楽しかった。今度名古屋港水族館へ行くときはここをメインに見学したいと思っている。




プロフィール

オオタ(マサユキ)

Author:オオタ(マサユキ)
ブログランキング・バナー(FC2)
ブログランキングに参加してます
Dry&Wet(ホーム)



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する