現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
純昭和遊園地シートレインランドで心も体もリラクゼーション
2007年07月21日 (土) | 編集 |
シートレインランド-1

PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-55mm(f3.5-5.6 AL), f6.3 1/125s(絞り優先)



 日曜日の夕方。季節は初夏で、天気は曇天。人もまばらで閑散とした遊園地は、けだるい空気に満ちていた。手持ちぶさたの係員と、居心地悪そうなカップル、そして3人親子がひと組。名古屋港シートレインランドは不思議な異空間と化していた。そこにうっかり足を踏み入れた私たちは、ひどく場違いなところに迷い込んだようでとまどった。
 誰も乗っていない観覧車は、ただ当てもなくぐるぐると音もなく回り続けている。

シートレインランド-2

 無人のメリーゴーランドも動きを止めたまま、深い眠りについている。歓声と笑顔に包まれていた幸せな頃の夢を見ていただろうか。
 回らないメリーゴーランドは、ただの大きな置物でしかない。

シートレインランド-3

 JAFの会員割引を駆使して一人600円のところを500円で観覧車に乗る私たち。苦しい経営状況に追い打ちをかけるむごい仕打ちだ。
 上から見ると、ポツリ、ポツリと訪れる人が見えて安心する。それにしても、これは日曜日の夕方の遊園地風景ではない。あまりにも人が少なすぎる。維持費と人件費の方が売り上げを大きく上回るに違いない。大丈夫なのか。それとも、時間帯によってはもっと賑わっているのだろうか。

シートレインランド-4


 遠くに見えている色のある街並みがイタリア村だ。高いところから見ると、イタリア村が名古屋港の中でいかに場違いかよく分かる。地上から見るとこれほど違和感はないのだけど。
 シートレインランドとイタリア村はけっこう離れている。名古屋港水族館が写真でいうと右手にあって、3つを巡るとなると移動距離がけっこう出てくる。今更もっと凝縮して欲しいなんてのは無理な注文だけど、このあたりにも名古屋港再開発計画の行き当たりばったりさがよく出ている。愛・地球博で使い終わったゴンドラをここに持ってくればよかったのに。話題にもなるし、移動も便利になっただろうに。

シートレインランド-5

 名古屋駅との距離感はこんなところ。超高層ビルがこれだけ小さく見えるということは、やっぱりけっこう遠い。地下鉄なら30分くらいだろうか。車だと道路状況を考え合わせると1時間近くかかる。ロケーションの悪さも名古屋港が観光地として発展しなかった原因の一つだろう。名古屋駅の裏手あたりにあれば、相乗効果で今頃もっと賑わっていたはずだ。名古屋の景気の良さも、名古屋港までは届かなかった。
 シートレインランドは、もともとJRの貨物駅跡に作られた遊園地で、ちょっと驚くことにJR貨物が経営している。母体がしっかりしてるからなんとか営業を続けていくことができてるのだ。独立採算ではとても持たない。
 名前のシートレインランドというのは、海のシーと列車のトレインから来ているんそうだ。さっき初めて知った。どこからトレインが来たんだろうと不思議だったけど、これで納得した。
 この日は残念ながら雲に覆われていて遠くまで見渡すことができなかった。晴れた日は、伊勢湾や鈴鹿山脈まで見渡せるそうだ。でもここはやはり夜がいい。名古屋の夜景がきれいだろう。
 それにしてもこの観覧車、妙に怖い。下がスカスカなのに加えて、中で人が移動すると怪しく揺れるのだ。二人が同じ側に座ると傾くし。高所恐怖症の人は失神しそうだ。

シートレインランド-6

 この遊園地は、どこをとっても昭和の香りがする。かつてデパートの屋上にあったミニ遊園地のテイストそのままで、アトラクションを見ながら歩いているだけでもひどく懐かしい。乗り物はどれも300円くらいで、子供なら喜ぶかもしれないけど、今時の中学生のデートにも使えない。逆に、昭和に子供時代を過ごした大人が訪れると、楽しめるというか受ける。ああ、こういうの、あった、あった、と。もちろん、狙いでそういう演出にしているわけではない。天然の営業で昭和なのだ。21世紀の日本でこの味は大変貴重なものだと思う。
 名古屋港へ行ったらついでに行くのではなく、ぜひここを目指して行ってもらいたい。癒される以上に脱力感を伴って、ほのぼのとした優しい気持ちになれるだろう。あるいは切なさに胸が熱くなって、涙で前が見えなくなるかもしれない。


名古屋の本質を知りたければ名古屋港イタリア村へ行けばいい
2007年07月21日 (土) | 編集 |
イタリア村-1

PENTAX istDS+smc PENTAX-DA 18-55mm(f3.5-5.6 AL), f4.5 1/125s(絞り優先)



 イタリア村は二度目だった。名古屋港水族館へ行った日、セットとして行った。積極的なリピーターとしてではない。けど昼間としては初めてだから、ちょっと楽しみではあった。昼の顔と夜の顔と、両方を見て初めてイタリア村へ行ったと言うことができる。
 イタリア村に関しては以前書ききってしまったので、あれ以上付け足すことはあまりない(ブログ内検索するとページに飛びます)。今回は写真を中心に、前回とは違う部分を紹介したいと思う。

 まずは花馬車から。これは前回撮ってない。あのときはクリスマスイブの夜に花火を見に行ったから、もう花馬車は終わっていた(日没まで)。
 600円という微妙な金額を払うと花馬車に乗ってイタリア村の周囲を一周してくれる。パッカン、パッカン、アスファルトに蹄の音が響いてのどかな気分になる。時々馬が興奮して突然ヒヒーンといなないて狂ったように走り出したりしたら面白いだろうなと思う。想像すると楽しそうだ。しかし、そういう種類のアトラクションではないからそんなことは起こらない。今度行くときは、ニンジンの束を背中に背負ってイタリア村の周りを歩いてみようかと思う。おそってきたら力の限り逃げてみよう。イタリア村の中に。

イタリア村-2

 今回のイタリア村行きの目的は二つあって、一つは週末の花火で、もう一つがジェラートを食べることだった。まずは食べるためのテーブルと椅子を確保して、店で買ってきて、さあ写真を撮ろうと思ったらもう溶けてきましたよ。うひょー、こりゃ大変だ。この日の名古屋は暑かった。待ったなしのドロドロ状態。ヒャーと悲鳴を上げながらソフトを撮る私たち。手はネチョネチョだし、テーブルはビチャビチャだし、写真なんか撮ってる場合じゃなかった。撮ったあと大急ぎで食べたから、ゆっくり味わうこともできなかった。なんてこった。コーンにしますかカップにしますかと店員さんに訊かれて何も考えずコーンを選らんで、おかしなこと訊くなぁとそのときは思ったけど、あれはこういうことだったのか。夏場はカップを選んだ方が無難だ。

イタリア村-3

 前のカップルはしっかりカップでジェラートを買っていた。やるな、上級者だなと思った。コーンでダラダラに溶けてくるアイスと闘ってる私たちを見て、あいつらやらないな、ド素人だなと誰かに思われていたのだろうか。
 ゴンドラが行き交う運河沿いでのんびり座ってイタリア村を眺めるひとときは、なかなか心地いい。サンマルコ広場を模した鐘楼の鐘が鳴る。ゴンドリエーレのイタリア人が陽気に歌を歌いながらゴンドラを漕ぎ、カップルや家族連れが通りを歩く。うん、悪くない。これで天気がよくて涼しければ最高だ。このときは暑すぎて、前に訪れたときは寒すぎた。次は季節を選びたい。

イタリア村-4

 イタリア村ができた当初の混雑もおさまって、週末でものんびり過ごせるようになったイタリア村は、今がちょうどいい頃合いなんだと思う。もっと時が経つと、今度は寂しくなりすぎるおそれがある。今はほどよい混み具合が高揚感と居心地のよさのバランスを上手く作り出している。入村料金なんてのも取られなくなったし、何も飲み食いせず買い物もしなければお金はかからない。電車賃か駐車場代はかかるけど、それがイヤなら歩きか自転車で行けばいい。家から弁当持参でも大丈夫だ。
 ショップに関しては、最初から何も買う気がない私なのでよく分かってない。イタリア産にこだわって、ファッションや雑貨、食品なんかも品揃えしてるそうだから、イタリア好きの人は満足するんじゃないだろうか。仮面舞踏会のマスクなんかも売っている。
 当然といえば当然の話だけど、こういう複合施設はお金を使えば使うほど楽しめる仕組みになっている。使わないと充分には堪能できない。ただし、ゴンドラも乗って、花場所も乗って、ランチを食べて、洋服を買って、クルージングなんかして、夕飯まで食べてしまえば、けっこうな散財になるので注意が必要だ。ほとんどお金を使わない私たちからするとイタリア村はお金のかからないところという印象だけど、子供が多い一家で遊びに行くとけっこうダメージを受ける場所かもしれない。ちょっとした遊園地並みにお金がかかる。水族館や展望台なんかを組み合わせると、こりゃお父さん、大変だ。

イタリア村-5

 花火が始まる7時45分まではまだ時間があったので、少し離れた場所にあるシートレインランドへ行って、7時半頃戻ってきた。シートレインランドというのがまた強烈な純昭和遊園地で笑えたのだけど、それはまた別の機会に紹介することにしたい。まずは花火を見に行こう。いい感じに日が暮れて夜となった。
 イタリア村のデートは夕方から夜にかけてがいい。朝一から行ってしまうと、夜まで間が持たない。となると、やはり水族館とのセットがいいということになるだろうか。

イタリア村-6

 7月と8月(12日まで)は毎週末、イタリア村のサンマルコ広場で小花火大会が開催される。無料観覧できて、簡易座席も用意されるから、座って見たい場合は7時半の開場前に並んでおいた方がいい。ただし、花火大会自体に過度の期待をしてはいけない。市販されている打ち上げ花火の豪華版くらいに思っておくといい感じで楽しめるだろう。
 花火大会が開演すると、まずはイタリア人が登場してきて、全員でカンツォーネを合唱するところから始まる。入り口で手渡された歌詞カードを見ながら、ヤンモ、ヤンモ、ンコッパ、ヤンモ、ヤ、フニクリィ、フニクラ、フニクリィ、フニクラァー! と大声でわめかないといけない。歌ってないと、そこ、歌ってない! などと指摘されたりする。さすがイタリアン、ラテンの血が騒ぐのか。
 ひとしきり盛り上がったところで、ようやく花火が打ち上がる。ヒュ〜、ドーン! ヒュルルル〜、バチバチバチ、おお〜、などと言いつつ、みんなで花火を見上げる。わー、きれいー! マクロスみたいー、とかなんとか言いつつ花火大会は進んでいく。

イタリア村-7

 そして、5分後、ちょっと派手めの花火が上がって、突然沈黙が訪れる。え? もう終わった? 早っ! 観客はとまどいつつ、アンコールもなく、そこで花火大会はお開きとなる。みんな納得できない感じでゆるゆると席を立ってゾロゾロ出口へ向かい始める。その様子を見て、ホントに終わりなんぁ、と納得する。毎週末あるから100発はないと思ったけど、30発くらいで終わってしまうとは思わなかった。まあ、でも、見られたからよしとしよう。短い時間だったけど、一足早い花火も満喫できた。
 名古屋の本格的な花火大会は明日、7月21日の名古屋港花火大会だ。これが3,600発と名古屋市内では一番規模が大きなものということになる。毎年大勢の人が詰めかけて、ものすごい混雑となるそうだ。今年はタイミングが合わずに行けないから、また来年にかけよう。次は三脚を持って行って三脚花火野郎となってみたい。

イタリア村-8

 帰る前にイタリア村の中にあるピッツェリア「デュエ レオーニ」でパスタを食べた。イタリア村でイタリア人が作るパスタやピザだから大変美味しいに違いないと思っていくと、これまた拍子抜けとなる。日本人の寿司職人が握る寿司がどれも無条件で美味しいわけではないように、イタリア人が作ったパスタが必ず美味しいと決まっているわけではない。黒人なら全員リズム感が良くてダンスも上手いと思い込むのが間違いなように。
 食べたパスタに関しては平均点以上だとは思うけど、オーソドックスなメニューだし、超絶美味しいというわけではない。ピザに関しても評判はまずまずそれなりのようだ。行楽施設に入っている店に本場のレストラン並みの味を求めるのも酷というものだろう。イタリア村の中にも値段の高い高級店っぽいところがあるから、そっちは値段に見合った美味しさなのだろう。

 イタリア村にイタリアと同等の質を求めてそれが得られないからといって批判するのは間違っている。イタリア村はイタリアをモチーフとした複合商業施設であって、イタリアそのものを再現してるわけではないのだから。日本の、しかも名古屋という土地にあるイタリア村というものを楽しむつもりで行かないと楽しめない。ここはイタリアではない、名古屋港イタリア村なのだ。本物のイタリアやヴェネチアを知っている人ほど楽しめないというのは、皮肉なのか理にかなっているのか。
 薄っぺらい感じが否めないイタリア村だけど、名古屋港にこれが出来たことはとても意義のあることだった。これでようやく、水族館、遊園地、南極観測船などの施設とあわせて一日たっぷり楽しめるところとなった。ここはここである意味もう完結した。東京や横浜のベイアリアと対抗しようなんて夢物語は追わなくてもいい。名古屋は名古屋らしく泥臭く行こうよと思う。名古屋人ならここのよさをきっと理解してくる。
 栄や名駅よりも、名古屋港こそが最も名古屋らしさが出ているところと言えるかもしれない。県外の人が名古屋の本質を知りたければ、名古屋港で一日過ごしてみればいい。もう行ってきた人ならきっとそれを感じてくれたと思う。そう、名古屋ってああいうことなんですよ。




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