 PENTAX K100D+Super Takumar 50mm(f1.4), f5.6, 1/15s(絞り優先)
昨日(11日金曜日)、ふいに思い立って東山動物園へ行こうかとサイトを見てみたら、ちょうどその日から3日間、ナイトZOOという夜間営業をやっているという。そりゃいい、こんな機会はめったにないからぜひ行っておかなければと、夕方少し遅めに東山へ向かった。 東山動物園も入場者数を旭山動物園に抜かれたことでようやくこのままじゃいけないと思ったようで、去年あたりから本格的な再生計画を立てて、様々な試みを行うようになった。ちょうど開園70周年ということもあって、ライオンを間近で見るためのワ〜オチューブや、キリンを上から見られる見晴台、カンガルー広場の通路など、あらたな施設も増設された。これはけっこう評判になって、ここ最近入場者数も盛り返しつつあるようだ。園全体が老朽化していて付け焼き刃でしかないのだけど、それでももう少しなんとかしなければという姿勢には共感する。数年後には本格的に作り直す計画も進んでいるようなので、楽しみにしたい。 今回のナイトZOOというのも再生計画の一環で、今年で3回目になる。これまでは応募者の中から限定で見学できるというものだったのが、今年初めて誰でも入れる一般公開の形をとった。時間も去年までは日没までだったのを、今年からは夜の8時半まで延長することになった。 いろいろな点で初の試みということで動物園側もまだ手探り状態だったんじゃないだろうか。宣伝ももうひとつ行き渡っておらず、私も偶然知らなければ知らないままで終わっていた。動物園側としては、あまり派手な宣伝を打って大挙して押し寄せてきたらどうなるか分からないという不安があって、控えめにしたのかもしれない。それで、今年成功したら来年からもっと本格的に呼ぶつもりということも考えられる。 私が入園した4時すぎは、本当に今日ナイトZOOがあるのかと思うほど閑散としていて心配になったほどだった。普段の動物園より空いていた。でも、さすがに6時になる頃には人も増え始めて、暗くなり始める7時には大勢の人が入ってきた。普段は5時前までの動物園に暗くなってから人が増えていく様子はかなり違和感があった。
 暗くなり始めると、あらかじめ設置してあった赤色灯があちこちで点り始めた。動物たちにあまり刺激を与えない光なのだろう。せっかく夜の動物園の雰囲気を味わってもらうためのイベントに明るい白色灯を点けてしまっては意味がない。しかし、この先、動物園は異様な赤の世界となっていく。赤い光に照らされた動物のシルエットがうごめく様子は、夜行性とかどうこう以前にかなり不気味なものだった。 写真をまともに撮るのはまるで無理だ。当然フラッシュは禁止だし、光は赤だし、動物の動きは活発になるし、三脚なんか立てても意味がない。K100Dの手ぶれ補正で自分の手のブレは止まっても、動物が動く被写体ブレは止まらない。レンズも明るいのは50mmのf1.4で、これでは動物園じゃ役に立たないし、高価な望遠レンズといってもせいぜいf2.8だから、かなり高感度にしないと動物は止まらない。たとえちゃんと撮れたとしても、赤い光の中の動物は絵にならない。夜の動物園は撮るものじゃなく見るものだった。 ライオンたちは、ワ〜オチューブにいくら人が行列を作ろうと、暗くなろうと、赤い光に照らされようと、ビクともしない。相変わらずのんきな顔で座り込んでいるだけだ。ヒョウやトラなどは夜になってかなり動き回っていたのに、さすが百獣の王の貫禄と言うべきか、普段とちっとも変わらないライオンなのであった。広場の中を駆け回って、ワオ〜ンと吠えてくれるくらいのサービスが欲しかったけど、それは無理な注文というものだ。
 PENTAX K100D+Super Takumar 300mm(f4), f5.6, 1/4s(絞り優先) この8月、東山にやってきたスリランカゾウの子象も、さっそく赤色灯に照らされていた。いきなり何事かと不安に思ったんじゃないだろうか。まだ環境に慣れてないということで午前と午後それぞれ1時間のお披露目だったはずだけど、この日ばかりは特別に夜まで外に出されていた。スリランカ人っぽい係員の人が数人付き添っていたから、やはり心配だったのだろう。いきなりこんなイベントに当たった子象たちにとっては災難だった。 東山はゾウには縁が深い動物園だから、この2頭も長生きして人気者になってくれるといいなと思う。
 夜の動物園といえば動物たちの鳴き声も見所というか聞き所だ。赤い光のケージに人だかりができていて何事かと思ったら、サルが大声でわめき散らしていた。ワオーとか、ギャオーとか、ウォーとか、それはもうちょっとしたジャングル状態で、真っ暗で人がいなければ魂が震え上がるような恐ろしい叫び声だった。もしかしたら、ここが一番夜の動物園を体感できる場所だったかもしれない。 昼間は牙を抜かれたようにおとなしい動物たちも、夜になると野生が目覚める。深夜の動物園はかなり怖いであろうことが想像できた。実際問題、すべての檻が開いていたとしたら、人間はその中で一晩生き延びられないだろう。動物園というのは実は非常に危険な場所だということを思い出さずにはいられなかった。
 私の好きなコビトカバも、暗くなると急にアクティブになった。狭い水槽を行ったり来たりして落ち着かず、しまいには赤い光めがけて突進したりもしていた。三脚に固定したライトを倒そうとしていたから、よほど興奮していたのだろう。動物たちも何が起こったのか理解できなかったに違いない。普段なら寝床の室内に入れてもらえる時間になっても外に閉め出された格好になっているものが多かった。 一方で夜になるとお眠の時間になるやつらもいて、クマなどは猫のように腹を出してひっくり返って寝ていた。鳥も夜は寝る時間だ。そういう動物のところは赤い光も当てていないから、見ることはできない。 コアラはさすがに夜になるとだいぶ動いていた。昼間はほぼ寝てるだけだから、動くコアラを見られるのは貴重だ。
 赤い水面から顔の一部を出して泳ぐカバさん。動物園でのカバは昼間も起きて動いているけど、野生のものは昼間は休んでいて夜エサをとりにいく。だから、どちらかといえば夜行性ということになるのだろう。このカバさんも昼間より泳ぎが速かった。 このあと更にカバさんの写真を撮ろうとしたら、赤い光がバシャっと音を立てて消えてしまった。トラブル発生。配線が切れたのか、ヒューズでも飛んだのか。光が消えて真っ暗になった動物園はさすがに心細い。特にカバがいるあたりは奥で人も少ないから危なかった。私は何度も行っていて地形を知ってるからいいけど、初めての人が閉園近くになって道に迷っていたら閉じこめられかねない。昨日、今日と、そんなことはなかっただろうか。
 動物園の裏の人気者、カピバラさん。体長メートルを超える世界一大きなネズミだ。 カピバラさんもいたってマイペースで、トコトコトコと歩き回ったり、エサを食べたり、奥に引っ込んだり、普段と変わらない姿を見せていた。光を気にしてる様子もなく、いつもより人が多いこともまったく意に介していないようだった。世界一という称号を持つと肝が据わるのだろうか。 カピバラさんは夜も人の気持ちを和ませてくれるやつだった。
 これはトナカイ。真っ赤なお鼻どころか、全身真っ赤に染まってみんなの笑いもの、でもないけど、やっぱり赤すぎるだろうこの光、とは思った。夜撮った写真のすべてが血塗られた映像みたいになって自分の写真なのに怖い。せめてもう少し穏やかな色のライトはなかったんだろうか。このあたりは来年に向けて課題として残ったんじゃないか。
 アルパカさんは、我関せずとばかりに、向こうを向いたまま誰が通っても知らんぷりだった。夜になって眠たかったのかもしれない。8時を回ったところで私もぼちぼち帰ることにした。4時から4時間、ほぼ歩きっぱなしで、写真もたくさん撮った。もう満足だ。 夜の写真はほぼ駄目だったけど、夕方たくさん撮れたのが収穫だった。いつもは5時閉園で4時には主な動物が室内に入ってしまうから、夕陽に照らされた動物の写真がほとんど撮れない。それが今回は撮れてよかった。たくさん撮ったので、また紹介していきたい。
夜の動物園開放というのは、とてもいい試みだ。初の一般公開ということで動物園側も動物も大変だっただろうけど、ぜひ来年以降も続けて、夏休み恒例のイベントとして定着させて欲しい。 入園料は普段と同じ、大人500円というのも良心的だ。あるいは、昼の部と夜の部を分けて別料金にしてもいいのかもしれない。 ただ夜の動物園といっても、8時という宵の口だから、昼とはまったく別の様相を呈するというほどではない。深夜の動物園に忍び込んだようなスリリングなものを想像して行くと拍子抜けする。夜行性の動物の活発度が3割り増しになるくらいのものをイメージしていけばいいだろう。 まあしかし、これは貴重な体験には違いないわけで、実質的な面白さよりもめったに見られない世界を見ることができるという物珍しさという部分で価値がある。 昨日から始まって13日日曜日まで3日間限定なので、近くの方はぜひ足を運んでみてください。夜の写真は最初から期待せずに、夕方5時から日没までの時間帯がオススメです。最終日の日曜は人が多いから思うように撮れないかもしれないけど。 東山以外にも全国の動物園で同じようなイベントをしてるところがあるはず。私はいつか、富士サファリパークのナイトサファリに行きたい。老体のインテグちゃんがライオンに囲まれて動かなくなっているのを見かけたら、誰か助けてください。
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