現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
お上りさんによるお上りさんのための羽田空港の歩き方指南
2007年08月23日 (木) | 編集 |
羽田空港ターミナル-1

PENTAX K100D+TAMRON 28-200mm XR(f3.5-5.6), f6.3 1/15s(絞り優先)



 羽田が国内線で、成田が国際線という、ぼんやりとした認識はあった。どっちがどっちか分からなくなったときは、成田離婚という言葉を思い出すことにしている。そうだ、そうだ、成田が外国行く方だ、と。
 羽田空港は、東京23区の南東のはずれにある人工の埋め立て地だ。多摩川を挟んですぐ南は神奈川県川崎市になる。都心からはやや遠いものの、成田に比べればずっとましだ。成田は遠すぎる。あんなところしか土地がなかったのか。
 基本的に国内線のみだけど、小さな国際線ターミナルもあって、近場の外国への路線はある。それと、政治家などのVIPが政府専用機などで公務で外国に行くときも羽田が使われる。こちらの方が近いのと、警備しやすいということがあって。
 現在でも羽田は日本最大の空港として機能している。国内線がメインでも発着数、利用者数とも国内最大となっている。確かにターミナルは人でごった返しているし、滑走路の飛行機も混雑していた。いろいろ問題も山積みで、騒音問題という難問を抱えつつ、今後も拡張していく方向にあるようだ。

 羽田空港は、1931年8月25日、日本初の国営民間航空機専用空港、東京飛行場として誕生した。当時はまだ戦前で民間の航空機も少なかったということで、利用数は少なかった。
 戦中は軍事用として利用され、戦後は当然のごとくアメリカ軍のものとなった。日本人は立ち入り禁止となり、米軍が空港の拡張工事をする際は、近隣住民に48時間以内の立ち退きを命令する傍若無人さだったという。この地域の守り神だった穴守稲荷も移され、あとには穴守稲荷の大鳥居だけがぽつんと残った。これだけは撤去しようとするたびに工事中の事故が起きて、結局そのまま残されることとなったのだった。
 日本に一部が返還されたのが1952年で、そのとき東京国際空港と名前が改められた。全面返還は1958年のことだった。
 1955年に新しくできた旅客ターミナルは、たちまち東京の新観光名所になったそうだ。新しい空港ができると旅行もしないのに大勢の人が観光目的で押し寄せるというのは昔も今も変わらない。愛知にセントレアができたときは旅行者が入れないくらい観光客で大混雑した。
 1978年、あまりにも発着数が増えすぎてさばきれなくなったため、新東京国際空港開(成田国際空港)を作って、海外便はほぼそちらに移っていった。
 その後も何度も増改築を繰り返して現在に至っている。ビッグバードという愛称は、1993年に国内線のターミナルが第1旅客ターミナルビルに移転したとき以来で、2004年12月には第2旅客ターミナルビルが新たに完成した。
 と、軽く歴史を振り返ったところで、そろそろターミナル内をうろついてみることにしよう。これから羽田空港へ行こうと考えているお上りさんに贈る、これがビッグバードだ。

羽田空港ターミナル-2

 飛行機に乗るときは北ウイングか南ウイングかは大切になるけど、観光の場合はどちらから行っても違いはない。店舗の顔ぶれが違うくらいだ。ただし、ターミナル内は相当広いので、どこへ行っていいものやら見当がつかないことがある。困ったような顔で上を見上げてキョロキョロしていると、どこからともなくお姉さんが近寄ってきて、何かお困りですかと声をかけてくれる。私たちのように。いや、大丈夫ですと強がってみたものの、完全にお上りさんと思われたな。迷ったときは、とりあえず恥ずかしがらずにターミナルマップを入手して見てみた方がいい。あるいは、素直にお姉さんに救いを求めるか。空港の中心で、誰か助けてくださいと大声で叫んでみるという手もある。
 ビルは地下1階から6階の展望デッキまであって、各フロアーにはそれぞれ店舗などが入っている。衣食住なんでも取りそろえられているので、その気になれば空港から一歩も出ずに生活することは可能だ。銀行も郵便局もある。お金は持ってるけど家はないという場合は空港に住むのが快適でよさそうだ。羽田は24時間運用可能空港なので、頑張ればできるかもしれない(たぶん無理)。

羽田空港ターミナル-3

 6階展望デッキと、更にもう一段上の屋外にまで出ることができる。暑い日は暑く、風も強いし、飛行機臭いけど、備え付けの椅子があったり、見学者に対する受け入れ態勢は整っているので、気兼ねなく近くで飛行機を眺められる。見学者も思ったよりも多かった。デートコースとしても定着してるらしい。子供を連れて行けばきっと喜ぶだろう。親にとってこんな安上がりな行楽地はなかなかない。
 撮影は金網に空けられた穴にレンズを入れて行うことになる。しかし、建物の前に出っ張っている部分も邪魔になって、思い通りのポジションは取れない。夢中になってレンズを左右に振ってると、マウントの根本からバキッと折れたりするかもしれないので、くれぐれも気をつけない。ここから右へ行った方は視界が開けているので、止まっている機体を撮るには問題ない。ただ、離陸はここからずっと左に行ったところで、そちらで撮ろうとするとやっぱりままならない。

羽田空港ターミナル-4

 ある程度写真を撮ったところで満足することにして、次に第2ターミナルに移動した。昨日も書いたように、無料巡回バスが出ている。
 新しくできた方ということで、何か目新しいものがあるのかと思ったけど、第1とそれほど変わらない印象だった。
 ちなみに、第1はJALメインということでシンボルカラーが赤で、第2はANAメインでイメージカラーは青になっている。
 第2の方が店が閉まるのが早かったと思う。夕飯を食べようとしたら、どこも早々に閉店していて見つけられなかった。それ以前に、どこで何を食べればいいものやら、さっぱりイメージがなくて、探すにも探せなかったと言った方がいいかもしれない。空港へ行くときはある程度予習が必要かもしれない。おみやげ屋も早々に店じまいしていて、結局もう一度第1まで戻る羽目になった。

羽田空港ターミナル-5

 第2ターミナルの展望デッキはこんな感じになっている。こちらの方がより見学者を意識した作りになっていて、椅子だけでなく、テーブル付きのオープンデッキや、軽食店なども完備している。暑さ寒さよけの室内通路も用意されているのは嬉しい心遣いだ。
 デートにはこちらがオススメだ。遠くに観覧車や打ち上げ花火なんかも見えたりして、雰囲気もいい。
 昼間の撮影は第1と第2とどっちが向いているのかはよく分からなかった。第2の方が少し近いけど、障害物は多い気もした。

羽田空港ターミナル-6

 第2は早じまいだったので、第1で夕飯を食べることにした。最初、2階の「チャオ」というカレー専門店で食べるつもりでいたら、20時で閉まってしまっていた。失敗した。
 あちこち探し回ってようやく「ブルースカイ カフェレストラン」というのが開いてるのを見つけて、なんとかここに入った。軽食屋のような感じで、夜の22時30分まで開いている。半分セルフサービスで、テイクアウトもできる。

羽田空港ターミナル-7

 私はシンプルにカレーを、ツレはオムハヤシライスを食べた。どちらも平均点くらいには美味しかった。値段もそこそこだし、軽く食べるならここは悪くない。
 空港だから本格的な食事というわけにもいかないけど、各種食事は揃っている。あらかじめ何を食べるか決めておくか、調べてくるかした方がよさそうだ。その場で急に何か食べようとなったとき、どの店に行っていいのかとまどってしまうから。

羽田空港ターミナル-8

 おみやげは、羽田空港限定「空とぶでかドラ」だ(東京ばな奈)。標準レンズと比べてもこの大きさ(20センチ)。1個400円で、ふわふわで味も美味しいので、おみやげに最適だ。話のネタとしてもインパクトがある。小さめの子ドラもあるけど、やっぱりでかドラで決まりだ。学校や会社の昼ご飯のとき、これをおもむろに取り出して食べ始めればたちまち人気者になるだろう。

羽田空港ターミナル-9

 行きも帰りも結局、京浜急行に乗った。小松未歩の「東京日和」に出てくるように、天空橋からモノレールに乗りたかったのだけど、ロマンチックな名前とは裏腹に、単なる地下駅だったのであえて行くこともないかと思ってしまって。特に行きはしながら水族館からの流れだったので、京浜急行でそのまま行けたから。
 電車賃は妙に高い。品川から天空橋までは230円と普通なのに、次の羽田空港駅まで行くと400円になってしまう。工事費がそれだけかかっているということなのか。天空橋でいったん外に出て、そこから羽田空港までの切符を買うと150円なので、20円浮かすためにそうするというせこいテクニックもある。
 羽田空港まで歩いていけるか、というのがときどき話題になる。かつて「水曜どうでしょう」で、歩いて外に出られるかというのがあって、そのときは出られないということだったけど、実際に実験した人がいて、結論としては徒歩でも出入りできるというのが正しいようだ。天空橋から途中車用のトンネルの歩道などを歩きつつ、1時間半くらいかかるそうだけど。
 羽田空港は、行ったことがないという人は充分観光地として楽しめるので、ぜひオススメしたい。飛行機に詳しくなくても、飛行機撮影は思いのほか楽しいし、ターミナルの中は見所もけっこうある。デートなら夕景から夜景にかけてがいい。
 私は富士山が見える時期にもう一度行きたいと思っている。旅行で羽田から飛行機に乗る予定は、ない。


お上りさんは羽田空港へ行って飛行機に乗らず写真を撮る
2007年08月23日 (木) | 編集 |
羽田空港の飛行機-1

PENTAX K100D+TAMRON 28-200mm XR(f3.5-5.6), f9 1/500s(絞り優先)



 この前初めて羽田空港へ行ってきた。旅行のためではない。人を出迎えるためでも、誰かを見送るためでもなく、観光に。
 これはけっこう恥ずかしい告白かもしれない。六本木ヒルズへ行ってきたとか、浅草寺へ行ったとかよりも更に度の強いお上りさん度を示す行為だから。地方出身者でも東京に住んでいる人なら、照れくさくて観光で羽田空港へは行けないかもしれない。ヒコーキ野郎は別として。これもお上りさんの特権というものか。私なんか、ちっとも恥ずかしくないもんね。羽田のターミナルで喜んで写真を撮ってるのが私たちだけだったときは、ちょっとまずいかなとは思ったけれど。
 展望デッキまで登ってしまえば大丈夫。飛行機見学のお仲間がたくさんいるから、もう恥ずかしがることはない。思う存分飛行機を撮りまくればいいのさ。ここには羽田空港に観光で来ている人間を笑う者はいない。
 今日は羽田空港前編ということで、飛行機編をお送りしたい。飛行機には何の思い入れも知識もない私だけど、飛行機撮影は思いがけず楽しいものだった。時間帯が夕方から夜にかけてということもあって、なかなかいい雰囲気でもあった。

羽田空港の飛行機-2

 まずは第一ターミナルの方から。展望デッキは無料で登ることができて、飛行機見学者のための椅子なども用意されている。なかなか気が利いている、、飛行場ってやっぱり一種の観光地でもあるのだなと少し安心する。飛行場側も見学者をあらかじめ想定してるということだから。
 この日は夏休みの日曜日ということもあって、カップルや家族連れなどで賑わいを見せていた。一眼で写真を撮っている人もいたけど、それは少数派だった。本格的な写真撮りは日中ということか。

羽田空港の飛行機-3

 撮影は障害物が多くてけっこう苦しいものがある。安全対策のためのネットも、写真という点では邪魔以外の何ものでもない。ネットには撮影用と思われる穴が開けられているのだけど、その穴はレンズを入れると左右に振れないくらい小さい。バズーカ砲なら入らない。直径10センチ四方くらいだったろうか。どこまで穴を空けると危険なのかは分からないけど、せめて15センチ四方は必要だ。下のコンクリートの部分に乗って撮れる上のところにも穴を空けておいて欲しかった。
 レンズは単焦点では自由度が低すぎて飛行場では扱いづらい。デジでも300mmくらいの望遠ズームがよさそうだ。400mmクラスのレンズになると穴に入らないおそれがある。キヤノンの白レンズもここでは宝の持ち腐れになりそうだ。

羽田空港の飛行機-4

 飛行場での撮影で一番楽しいは、やはり離陸のときだろう。ふわっと浮いた瞬間を捉えられると嬉しくなる。けど、穴からののぞき見撮影なので、必要以上に難易度が上がってしまうのがもどかしい。自分の好きな位置で狙えないし、機体の種類や操縦士のクセによって離陸ポイントがかなりずれるから、あらかじめ構えた場所で浮かび上がるとは限らない。
 このときはわりとひんぱんに離陸してくれて何度かチャンスがあったけど、途中からピタリと飛ばなくなってしまった。どの滑走路を使うかとか、時間割はどうなのかなど、飛行機や飛行場に関する知識が全くないので、事情が掴めなかった。風向きによっても使う滑走路や角度が変わるのだとか。
 それでも、うまくいったりいなかったりするギャンブル的な楽しさもあって、ツレと二人ではしゃぎながら写真を撮っていた私たちは、どこからどう見てもお上りさんだったに違いない。途中からは人目も気にせず夢中になって撮っていた。

羽田空港の飛行機-5

 これはいいタイミングで撮れた。できればもっと前方から飛び立つところを撮りたかったところだけど、そんなにこちらの都合よくはいかない。もっと前の方にいくと、今度は建物の手前部分の出っ張りが障害物になってうまく撮れないのだ。
 この位置からはちょうど富士山が見える方角のはずだ。冬の晴れた日は富士山をバックに離陸する飛行機の写真が撮れるんじゃないだろうか。真冬はしかし、吹きさらしのこの場所はさぞかし寒かろう。
 羽田空港に出入りする飛行機撮影スポットは空港だけじゃない。周辺の浮島公園、京浜島つばさ公園、城南島海浜公園などでも撮れるそうだ。距離は遠くなっても障害物がなければ撮影にはよさそうだ。気合いの入った飛行機好きはそれぞれお気に入りのスポットを持っているのだろう。

羽田空港の飛行機-6

 向こうに見えているのが新しくできた第2ターミナルだ。こっちの方が見てる限り、激しく発着陸を繰り返していた。ANA、ANDO、SNAなどが入っている(第1ターミナルはJALやJTAなど)。
 どっちがどうなのか、初めて訪れたのでよく分かってないまま、今度は第2の方へ行ってみることにした。歩いていくのは距離があるから大変で、電車で行くのも面倒だ。地下にある動く歩道という手もあったのだけど、私たちはターミナル前から出ている無料巡回バスを利用した。頻繁に出てるし、飛行機を利用しない観光客も区別せずに乗せてくれるので、遠慮せず乗ってかまわない。

羽田空港の飛行機-7

 最後にもう一度挑戦して、なんとか狙ったシーンを撮ることができた。ちょっとズームしすぎて、ぎりぎりしっぽが切れたのは残念。
 この角度なら、もっとアップにして、後ろを通る東京モノレールと絡めて撮ると面白い写真になりそうだ。その両者がちょうどいい位置で出会う瞬間を捉えるためには相当粘らないといけないだろうけど。

羽田空港の飛行機-8

 第2ターミナルに移動し終えたときは、すっかり日も暮れていた。夜の飛行機撮影は、はっきり言って無理だ。50mmレンズに交換して、絞り開放f1.4でISOを800くらいにしても、この暗さではシャッタースピードが稼げない。機体を止めて写すのは不可能だろう。流し撮りするにしても1/20秒程度では現実的じゃないと思う。ツワモノなら可能なのだろうか。いずれにしても、飛行機の離陸速度はけっこう速い。
 第2ターミナルの展望デッキも、撮影事情は第1とさほど変わらない。しっかり金網が張られているし、穴の大きさも位置も同じだ。滑走路までの距離はこちらの方が少し近いかもしれない。手前の障害物も似たようなものか。一つこちらの特徴としては、ガラス張りの室内から眺められるというのがある。暑さ寒さを避けつつ見物するにはいい。
 方角は東京の臨海地域で、遠くにはお台場、葛西臨海公園、ディズニーランドがある。この日は打ち上げ花火が小さく見えた。あれはディズニーのものだっただろうか。
 オープンテラスのようなものあり、空港デートにはこちらの方が向いている。飛行機にまったく興味がない彼女でも、夜の空港というのはなかなかロマンチックだから、おすすめできる。

羽田空港の飛行機-9

 ANAのピカチュウバージョンがあった。おお、これは撮らねば。機体の知識がないので、目に付くものといえば広告ものやキャラものしかない。通の人なら、あれは747で、こっちが777、あそこには767があるぜ、なんていう楽しみ方ができるのだろう。私にはジャンボとエアバスの区別さえつかない。見分けることができるのは、プロペラ機とそうじゃない飛行機くらいのものだ。電車もそうだけど、世の中には飛行機に異常に詳しい人たちがたくさんいる。好きこそものの上手なれの言葉通り、自分が好きなものは勉強するつもりがなくても知識が身につくものだ。私も乗り物はどれも嫌いじゃないけど、そういう方向には気持ちが向かわなかった。車についても、学生時代の走り屋カーの時代で知識が止まっている。

 飛行場は面白い。想像してたよりも5倍は楽しかった。飛行機撮影は難しくもあり挑戦のしがいがあって燃えるし、ターミナルの中は一大ショッピングモールのようになっていて買い物や食事も楽しめる。空港という場所がある意味では非日常的な場所で、訪れる人たちの浮き立った気持ちが空港内に満ちていて、それが心地いいのかもしれない。高揚感が伝染する。
 成田は遠いけど、羽田なら東京都内で交通の便もいいから、東京観光のコースに組み入れるのは充分可能だ。お上りさんが観光気分で行くのも場違いではない。私が身をもって証明した。断言してもいい、羽田空港は観光地だと。
 次回はお上りさんのための羽田空港の歩き方を紹介しようと思う。ビッグバード・ターミナル編につづく。




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