現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
帰郷再び、それぞれの記憶をつなげて、重ねて、一つに
2007年08月25日 (土) | 編集 |
帰郷再び-1

PENTAX K100D+smc PENTAX-DA 18-55mm(f3.5-5.6 AL), f5.6 1/100s(絞り優先)



 ツレと二人、共通の第二の故郷、丹生へ里帰りをしてきた。私は10日ぶり、ツレは10年ぶりの帰郷となった。
 断片的な記憶をつなぎ合わせて重ねるために、過去をたどりながらぐるりと一周歩いた。ツレにとっては懐かしくも新鮮で、私にとっては見慣れているけど新鮮な光景に映った。
 今日はその写真を何枚か並べてみる。私たち以外の誰かにも、心のどこかにリンクする田舎風景であるだろうか。

帰郷再び-2

 この道は私の知らない道だ。見慣れた場所を違う角度から見るのは不思議な感じがする。よく知ってる場所なのに知らないところのように思えたり。

帰郷再び-3

 うちの家の庭からモクモクと白煙が上がっていた。火事かと思うほどに。でも、田舎では庭で何でも燃やしてしまうから、これを見ても驚かない。私も子供の頃、庭でゴミを燃やすのが好きだった。あの頃は誰もダイオキシンなんて言葉は知らなかった。

帰郷再び-4

 家の裏手にこんな地蔵堂があるとは知らなかった。ツレに教えてもらって初めて知った。
 勝手知ったるつもりの場所でも、道を一本入ると知らないところがたくさんある。一度も歩いたことがない道は、永遠に未知のままだ。それは街でも村でも変わらない。

帰郷再び-5

 青く澄んだ空は、10日前よりも少し優しかった。クマゼミの鳴き声が消え、ツクツクボウシが勢いを増していた。ツクツクが夏の終わりが近いことを告げる。
 期待していたカナカナの声があまり聞かれなかったのは少し残念だった。夏休みの思い出の一つに、夕方、遠くから聞こえるヒグラシの鳴き声というのがあって、あれを聞くと夏休みの終わりを思って切なくなったものだ。

帰郷再び-6

 山の向こうに日が沈んだ。放射状に伸びた光のラインがよかった。
 日暮れも初夏に比べたらずいぶん早くなった。山に囲まれた田舎は特に早い。

帰郷再び-7

 河原も夏休みの記憶として外せないものの一つだ。いつもこの川で釣りをして、泳いだ。ここの風景だけは、大昔から変わってないんじゃないだろうか。物心ついた頃からまったく変化がない気がする。
 しかし、思い出に浸ろうとしたら、蚊の猛攻にあって、2分で逃げ帰った。30年以上の思い出の重みよりも数匹の蚊の方が強かった。

帰郷再び-8

 まっすぐ伸びる田んぼの一本道。川への行き帰りに歩き慣れた道だ。

帰郷再び-9

 日暮れまで田んぼの草取りをしていたお母さんを、他で作業をしていたお父さんが軽トラで迎えに来て、家に帰っていった。今日も一日ごくろうさまなんてことを口に出して言ったりはしないだろうけど、そこには確かな思いやりを感じた。
 もうすぐ稲刈りの季節がやって来て、また忙しくなる。今年は雨が少なかったけど、暑い日が続いて、台風は来なかった。新米はけっこう期待できるんじゃないだろうか。

 日が暮れてから、空を見上げて星を探した。でもまだ時間が早く、雲がどんどん増えてきて、思ったほど見ることができなかった。そんな夕暮れの空を貫くように人工衛星の明るい光がまっすぐに横切って、山の向こうに消えた。人工衛星があんなにも明るくてはっきり見えるものだとは知らなかった。
 夜になると田舎ではやることがまったくなくなる。それこそ星を見るくらいしかない。帰る家がなければ、もう行くところもない。私たちは都会のそれぞれの家に戻ることにした。故郷における私たちは、訪問者でしかない。
 帰郷というとたいていが盆と正月で、それ以外の季節をほとんど知らない。次は別の季節に行ってみよう。桜の春か、紅葉の秋か。二人の里帰りに少し落とし物をしてきてしまったので、それを拾いに、また。




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