現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
何もないけどいつも少しだけ贈りものをくれる岩屋堂第一弾は水風景
2007年09月13日 (木) | 編集 |
岩屋堂水風景-1

Canon EOS 20D+Canon EF50mm f1.8II



 行っても大したものがないと分かっているのに、ある一定期間が過ぎるとなんとなくまた行きたくなる場所がある。私にとって岩屋堂はそういうところの一つだ。これまでに10回近く行って、これという収穫があったためしがないのに、次こそは何かあるかもしれないと思ってしまう。で行ってみるとやっぱり特に何もない。ここはタイミングや相性もよくないのに、何故か引き寄せられるのは、向こうで誰かが私を呼んでいるのだろうか。
 今日もまた、大きな驚きも喜びもなく、いつもの風景を見て、いつもと同じところから写真を撮って帰ってきた。期待した鳥や虫との出会いもなく。だいたい岩屋堂はこんなものだという納得感を持って。
 けど、帰ってきて写真を整理したら、思いがけずたくさん撮っていた。あまり自覚のないままパチパチシャッターを切りまくっていたらしい。枚数が多くなってしまったので、2回か3回に分けることにした。
 第一弾は水風景編。岩屋堂を流れる島原川は特別美しい流れというわけでもないけど、それなりに変化はあって面白い。

岩屋堂水風景-2

 入り口に近い方は水量が少なくて穏やかな流れになっている。ここは増水しやすくて危険な川なのかもしれない。小さなダムがいくつも設けられていて、流れをコントロールしている。このあたりも増水したあとが残っていた。最近降った雨と台風の影響だろう。
 季節的には今は面白くない。春なら桜や野草が咲き、秋なら紅葉も見られるけど、今は野草さえもほとんど咲いてない。
 前に一度、このあたりでカワセミを見た。キセキレイもよく見る。けっこう珍しいカワガラスもいるというのだけど、夕方なんかでは見ることはできない。本気で見たければ朝っぱらから出向いていかないと。

岩屋堂水風景-3

 駐車場近辺。右に見えてるのは桜の木。いつ植えたのか、ここのものはまだ小さい。
 川を探したけど鳥の姿は見えず。見たものといえば、ルリタテハ蝶くらいだった。蝉はまだ元気に鳴いていた。ツクツクボウシだけでなく、出遅れたヒグラシの声も聞こえていた。

岩屋堂水風景-4

 夏休みシーズンになると、川のこのあたりをせき止めて天然のプールが作られる。普段は訪れる人もめったにないような寂しい場所も、夏と秋の紅葉だけはそれなりに賑わいをみせる。近場の行楽地としてこのあたりの人にはなかなか人気のスポットだったりする。私はその時期は近づかないようにしている。人が多いし、いつもは無料の駐車場がにわかに有料となってしまうから。
 万国旗というのが昭和の行楽地を思わせる。なんで学校の運動会に万国旗だったのだろう。その因果関係がいまだによく分からない(運動会が始まったのが明治時代で、時代は文明開化と国際交流だったからその勢いで、という説があるようだ)。

岩屋堂水風景-5

 更に上流にさかのぼると、川の様子はだんだんワイルドさを増していく。橋を一つ越えただけで突然渓谷風になるのが面白い。これが島原川本来の姿だったのだろう。
 このあたりは紅葉で赤く染まると絵になる場所だ。今年は秋にもう一度訪れることになるだろうか。

岩屋堂水風景-6

 もともと川というのはこれが普通だったのに、街中のコンクリートで固められた間を行儀よく流れている川を見慣れているせいで、こういうのが新鮮に映る。川らしさというのはこういうことなんだと思い出す。水の勢いの力強さというものもあらためて感じた。
 川にしろ海にしろ、人間の生体リズムと動く水というのはシンクロするものなのだろう。人間の体の70パーセントが水分だし、人には水が必要なのだ。飲むだけでなく、水のリズムやエネルギーを感じるということも大切なものなんじゃないだろうか。

岩屋堂水風景-7

 白濁した水が生き物のようだ。生命力を感じる。
 小さなダムでもこれだけの力強さがある。最初にダムをエネルギーに変えられると思いついた人は偉かった。
 けど、そのおかげでダムによる自然破壊も進んだ。自然の恵みを絵ながら自然と共存していくというのは難しい。

岩屋堂水風景-8

 最近は日没が早くなって私の行動時間も短くなった。6時を過ぎるともう暗くなってしまう。ここは山に囲まれた場所だから、街よりも早い。やっとこれからというときに光を失ってしまった。暗くなったらここで撮るものはない。真っ暗になる前に帰ろう。

岩屋堂水風景-9

 今日一番の収穫は、この色だった。これがなければ、ホントに何もないまま帰ることになっていて、もう行くのはやめておこうと思ったかもしれない。一つ、素敵な贈りものをもらった。こういうささやかなときめきがあるから、またのこのこと私は岩屋堂へ行ってしまうのだ。まったく何もなければそう何回も行くものではない。写真に関しても、行けば一枚か二枚は印象的なものを撮らせてくれる。それ以上ではないのだけど。
 岩屋堂が好きか嫌いかと訊かれると、うーんとうなって、嫌いではないと答える。いいところかよくないところかと問われれば、なんとなく笑ってごまかしたくなる。一度行ってみればいいんじゃないかなぁと、少し思わせぶりな答え方になるだろう。私が特に好きなのは、昭和のうらぶれた観光地風情を残すところだ。半分死に体になっているけど完全には眠ってないぎりぎりな感じがいい。
 そのあたりのことを第二弾で写真と共に紹介したいと思う。昭和は遠くなりにけり、それでもどっこい岩屋堂は平成の時代に生きている編をお楽しみに。
 つづく。




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