現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
日本一の彼岸花名所を侮りすぎていた我々が目にした激混み巾着田風景
2007年09月27日 (木) | 編集 |
曼珠沙華と人々-1

PENTAX K100D+TAMRON SP 17-35mm(f2.8-4)



 連休初日の23日、私たちは少し早起きをして、埼玉県日高市にある彼岸花の名所、巾着田(きんちゃくだ)へと向かった。池袋から西武池袋線の黄色い電車に乗って、最寄りの高麗駅(こまえき)に到着したのが午前10時30分。うひょ、こりゃ混んでるなぁ、というか激しく混んでますよ。アジサイのときの北鎌倉駅並ではないですか。びっくり仰天。前の日に新聞に載ったからちょっと混んでるかもね、などとのんきにしゃべりながら軽い気持ちで出向いていった我々は、ここで事態の深刻さを初めて知ることとなる。まさかこれほどの人混みとは想像もしていなかった。あとから知ったところによると、朝っぱらの6時くらいからすでに大勢の人が訪れていたんだとか。それは恐れ入りましたと謝るしかない私たちであった。
 しかも悪いことに雨が降り始めてきた。天気予報では午後から天気が崩れるということだったからあえて午前中に行ったのに、予想は外れた。おかげで雨の中での悪条件での撮影となり、靴もパンツもドロドロになった。私の風邪ひきの要因もここにあったのだ。
 なにはともあれ、ここまで来てしまったからには引き返すわけにもいかない。傘は二人で一本の折りたたみ傘しかなくても雨天決行だ。ゾロゾロと続く人波に従って私たちも現地を目指すことにした。

曼珠沙華と人々-1.5

 田舎のローカル線の駅も、この時期ばかりは新宿駅を超えるような混雑となる。焦って撮った私の写真も傾きがち。そんな人数を想定して作られてないから大渋滞となるのは当然のことだ。昔は私も人混みが苦手だとか言っていたものだけど、最近はそんなことも言っていられなくなった。どこ行っても混雑に巻き込まれてしまうものだから、すっかり慣れてしまった。悟りの境地に達したと言ってもいいかもしれない。何故混むのか? それはみんな見たいものが一緒だからだ。仕方がない、みんな仲良く見ようではないか。前が詰まって動かなくなったら動くまで待とう。靴を踏まれてもいえいえ大丈夫ですよ、気にしないでください。もはや仏になる日も近いか!?
 駅の構内からも全面的に彼岸花を押し出していることがうかがえる。電車も池袋から直通のレッドアロー号という特急を臨時に走らせている。私たちの乗った西武池袋線はぎりぎり満席という程度だったけど、特急は早くから満席になっていたようだ。
 何しろ巾着田の彼岸花は日本一ということになっている。かつては数万本程度だったものを地元の努力で100万本まで増やして宣伝を打った結果、今では期間中だけでも30万人以上が訪れる立派な観光地に成長した(年間では80万人)。
 おかげでかつては無料だった自生地も、今では周りを取り囲んで入場料200円を徴収するようになった。駐車場は1回500円と抜かりはない。もちろん普段はタダの場所だ。こういうシステムは当たり前といえば当たり前なのだけど、なんとなくしてやれた感があってチェッとか思ってしまう。仏への道のりは遠い。

曼珠沙華と人々-2

 今回も写真が多くなってしまったので、2回に分けることにした。一回目の今日は、彼岸花とそれを取り巻く人々というテーマで写真を集めてみた。これだけ大勢が見に来てるのだから、人が入ってない写真を撮るなんて無理なこと、それならいっそのこと人がたくさん入った写真を撮ってしまえというのが私のスタイルだ。人が占める割合を半分くらいまで増やしてもいい。人が撮りたいというわけではないけど、人がそこにいて自分も同じ空間にいて、みんなでその場を共有してる感じが写せればいいなと思っている。
 今回はTAMRON SP 17-35mmという広角レンズの試し撮りも兼ねていた。PENTAXデジは1.5倍換算だから、24-52mmと超広角から標準の画角となる。これだけ広角に特化したレンズだと表現の幅が狭くなってしまうのはしょうがないところだろう。他にもレンズを持っていったのだけど、雨降りでレンズ交換もままらなかった。レンズとデジを濡らさないようにするだけで精一杯で。雨は途中から本降りになってきた。

曼珠沙華と人々-3

 普通の人は自分が撮ろうとするところで前に人が立っていると、ああー、邪魔、とか思うんだろうけど、私の場合はこりゃラッキーと思う。特にそれがカップルだったりすると格好のターゲットとしていただきになる。
 ただ、ここまで人の割合が多いと何を撮りたかったのか伝わりづらくなる。これはちょっとやりすぎた。

曼珠沙華と人々-4

 ここでもなかなかの機材を見せていただいた。白レンズ、赤帯、高級デジの数々。三脚のゴツさが気合いの表れだ。頭を叩かれたら気絶くらいでは済まないような大きな三脚を持ってる人も多かった。
 私はもちろん、今回も三脚はなしだ。あんな邪魔なもの、とても持ち歩く気になれない。雨降りとはいえ、昼間の明るさならK100Dの手ぶれ補正で充分止まる。
 画質でいえばEOS 20Dの方が上だからここぞというときではあちらを使いたいところなのだけど、手ぶれ補正がないとブレ失敗ボツ写真の割合がどうしても増えてしまうのが難点だ。17-85mmのISレンズは高い割には写りが見合わないしF値が暗い。
 
曼珠沙華と人々-5

 500メートルほどの間に彼岸花が密集するように群生している中、やけに人が固まっている地点がある。こういうところは魚がよく釣れるポイントと一緒で、撮りどころである可能性が高い。撮る場所に迷ったら、一番人が集まっているところに行けば、大きく外すことはないものだ。
 気合いカメラの人々の背後に回ってみると、なるほどねと深く納得するものがあった。この日のこの場所が、まず間違いなくベストポジションだった。みなさん、よく見てる。

曼珠沙華と人々-6

 別の角度から見ると、こんな感じになっていた。自分が濡れるなんて気にもとめず、カメラだけビニールなどをかぶせて脇目もふらずに撮っていた。見習うべき姿勢なのかどうなのか、私としては迷いどころだ。私は自分でも充分自覚しているけど写真に対する姿勢が甘すぎる。粘りがないし、必死さが全然足りない。もっと執念というものをもって撮ってもいい。人目なんて気にしちゃいけない。いい写真を撮るということは、ある意味では自分を捨てることでもある。いや、これは冗談ではなく捨て身の覚悟が決定的な一枚につながることはよくあることだ。電車を撮るならひかれてもいいくらいの心意気で臨まないと。彼岸花なら、のめり込みすぎて群生に頭から突っ込んで人に救助されるくらいの勢いが欲しい。

曼珠沙華と人々-7

 雨の中、河原に座ってお昼を食べる人たち。これもなんだかすごいなと感心してしまった。昼ご飯への執念を見た。
 ここは屋根のある場所がほとんどないから、雨が降るとどうしようもなくなる。晴れていたら河原でも土手でも食べたり休んだりするところはたくさんあるのだけど、観光地としての整備が整ってない。この時期限定とはいえ、気持ちよく迎え入れて帰ってもらうにはまだいろいろと改善の余地がある。駅から現地へも徒歩10分と書いてあるけど、あの混雑の中ではとてもじゃないけど10分じゃ着けないし、大回りすぎるからなんとかできないものかとも思う。今後は花の数を増やして日本一がどうこうよりも、施設的な部分にお金を使った方がいいだろう。単純計算して、30万人から200円で6千万円プラス駐車代金が入っているのだ。

曼珠沙華と人々-8

 雨の中、厳しい彼岸花撮りとなったけど、雨で緑色がきれいだったのでマイナスばかりではなかった。彼岸花は強い日差しを浴びると白く飛んでしまうから、日差しはないくらいでちょうどいいかもしれない。花の持つイメージとしても、あんまり明るくて健康的すぎるのも似合わない。
 広角レンズは使い勝手はいいものの、広く入るからどうしても欲張ってしまいがちになる。望遠側が35mm(52mm換算)までしかないというのも面白みに欠ける。やはり広角の本命レンズはSIGMAの17-70mmになるだろうか。高倍率の18-200mmなどは便利だけど画質的にやや物足りなくなる。むしろ同じTAMRONで評判のいい28-75mmを標準レンズにして、広角が足りないときだけ広角レンズに交換するという方が、結果的に写真はよくなりそうな気もする。超広角というのは自分と対象との距離が遠くなりすぎる。
 2回目の次回は、人があまり入ってない彼岸花写真編になる。今回とあまり変わり映えはしないのだけど、現地の様子が伝わるといいなと思っている。
 つづく。




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