現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
美味しい肉じゃがを作る男になるための第一歩となった肉じゃがサンデー
2007年10月01日 (月) | 編集 |
肉じゃがサンデー

PENTAX K100D+smc Takumar 50mm f1.4



 今日のサンデー料理は、肉じゃがを作るためのサンデーだった。あとの2品はあとから付け足した脇役で、主役はあくまでも肉じゃがと最初に決めていた。
 というのも、少し前にテレビで美味しい肉じゃがの作り方というのをやっていて、見たら自分もぜひ作ってみたくなったのだ。それは今までの常識とは反するやり方だったので興味を引かれたのだった。
 記憶が少し曖昧なのだけど、その作り方はこうだ。

 まず乾燥昆布を用意する。おいおい、そこからかいと思うけど、たまたまずっと前に贈答でもらって使い道がないまま棚の中で深い眠りについていた昆布があったので、こいつに日の目を見させてやることにした。分量がよく分からないまま長いやつを一枚入れた。あとになってこれが思いがけず膨張して失敗の要因になるのだけど、この時点では当然気づくはずもない。
 鍋に水を入れて、そこにしばらく昆布を浸けておく。1時間でも一晩でもいいらしい。とりあえず今日は適当なところで火を入れることにする。ここでまず最初のポイントとして、火を強くして沸騰させないというのがある。中火くらいで鍋の水に細かい水泡が出るくらいの状態で(80度弱)30分ほど煮る。
 昆布を取り出して、少し火力を上げる。ここでかつお節の削りを一握り一気に投入する。ここでもぐらぐら煮立たせずに3分ほど火を入れて、火を止める。まだかつお節は取り出さない。しばらくしてかつお節が底に沈んだら完成だ。こし器かクッキングペーパーでかつお節をこしながら別の鍋に移す。かつお節を入れたまま長く置くと、旨みがかつお節に染みこんでしまうので注意が必要だ。
 いわゆるこれが一番だしというもので、味噌汁や吸い物などに向いているといわれる。先ほどの昆布とかつお節に新しいかつお節を加えてもう一度だしを取ったものが二番だしだ。これは煮物などに使われる。
 さて、ここからいよいよ肉じゃが作りに入るわけだけど、このとき第二のポイントがある。それは、材料を炒めないというものだ。一般的に肉じゃがは油で炒めてから煮込んでいくとされているのだけど、この作り方は炒めない。炒めると旨みが油で閉じこめられてしまって煮汁にしみ出しにくいというのがその理由だ。
 というわけで、切り分けたジャガイモ、ニンジン、タマネギ、豚肉は、だしの中に直接投入して煮込み開始となる。
 材料や分量、味付けはレシピによってかなり差があるので、最終的には自分の好みということになると思う。基本はジャガイモ(大)1個につきだし汁1カッププラス半分で、ジャガイモ3個ならタマネギ1個、ニンジン1本、豚肉80g、しょう油4、酒2、みりん2、砂糖2、とこんな感じだろうか。
 調味料は最初に入れてしまって、あとは落としぶたをして中火で15分から20分くらい煮込んでいく。ここでもあまり強火にして沸騰させない。
 そして三番目のポイントは、いったん冷ますということだ。食材は冷めていく過程で汁を吸い込むという性質を利用する。一晩置いたカレーやシチューが美味しくなるというのと同じ原理だ。だいたい2時間くらい置くといいといっていた。
 最後に食べる前にもう一度温め直して、ようやくできあがりとなる。いやはや、時間のかかる肉じゃがだ。結局4時間くらいかかった。趣味じゃないとやってられない時間だ。忙しい主婦向きの肉じゃがではない。やるなら昼ご飯を作るとき、ついでに仕込みをやってしまうくらいじゃないと間に合わない。
 で、肝心の味はどうかというと、こんなに頑張った割には成功したとは言えないモヤモヤ感が残った。どうやら最初の昆布だしの段階がよくなかったらしい。だしとしての昆布味が後味として口の中に残ってしまった。だしが出過ぎたのか、昆布を煮る時間が長かったのか。味付けも、もう少し砂糖やみりんの甘みを抑えて、しょう油を強くするべきだった。
 でも、味の染み方としては申し分なかったから、もっと上手くやれば普通の肉じゃがよりも美味しいものが作れる予感はあった。普段から肉じゃがを作り慣れている人が、このやり方で作ってみると味わいの違いがはっきり分かるのだろう。手間と時間はかかるけど、美味しい肉じゃが作りのためには試してみる価値があると思う。

 残りの2品は付け足しで、簡単にできるものを選んだ。そっちの方が美味しそうじゃないかなどと言ってはいけない。作る手間が10倍くらい違うのだから。
 手前は、マグロのあぶり焼きの山芋がけだ。
 マグロの切り身(生食用)をスライスして、軽く塩、コショウを振る。それを、しょう油、酒、みりんを混ぜたものに浸けてしばらく置いておく。
 あとはフライパンで軽くあぶるように焼くだけだ。しっかり焼くと固くなるので半生くらいでいい。
 山芋はすり下ろして、だし汁としょう油を加えて混ぜ合わせる。それをマグロのあぶりにかけて、最後にたっぷり長ネギの刻みを乗せれば完成だ。
 焼いたマグロとも山芋のすり下ろしは相性がいい。とても美味しいし、ボリュームアップにもあるから、メインのおかずにも昇格できるくらいだ。
 奥は、ナスとツナのチーズ焼きだ。
 ナスを輪切りにして、しばらく水に浸けておく。取り出して塩、コショウを振って、フライパンで焼く。
 別のフライパンで、タマネギの刻みとツナ缶を炒める。そこへたっぷりのマヨネーズを加えてよく混ぜる。
 焼いたナスの上にタマネギツナを乗せて、その上にナスを重ねる。最後にとろけるスライスチーズを乗せて、フライパンにフタをして蒸し焼きにしていく。チーズが溶けたらできあがりだ。
 今回、これがやや異質で他の2品とのかねあいを悪くしてしまったのだ。単品で食べる分には申し分なく美味しいから、これは洋食メニューにあわせるべき料理だった。

 肉じゃがなんてちょっと料理ができる人なら誰でも作れる簡単なものじゃないか、なんて思っていた。けど、これがなかなか奥が深いものだと今回で思い知った。普通の肉じゃがなら確かにたいていの人は作れるけど、美味しい肉じゃがを作るのはそう簡単なことではない。美味しいチャーハンが作れたら中華料理人として一流だといわれるように、美味しい肉じゃがを作れたら和食料理人として一級品といういい方ができるかもしれない。
 こういう基本的な料理をすると、自分がいかに料理の基本が身についていないかがよく分かる。味付け、火加減、切り方、どれもオレ流でいい加減なやり方をしているから、それではなかなか上達はしない。行き当たりばったりでその場限りの料理では、経験や知識として蓄積していかない。毎回料理ノートを作るくらいの緻密さが必要だろう。それと、同じ料理を作らないというのも積み重なっていかない要因となっている。
 肉じゃがは今後も折に触れて再挑戦していきたいと思っている。いつか得意料理は肉じゃがですと堂々と言えるようになれるといい。プロフィールにも書けば高感度アップ間違いなしだ。って、私は誰にそれをアピールすればいいんだ? 肉じゃがが得意な男が向かうべき道が見えない。でも、いい。人生、何がどこで役に立つか分からない。美味しい肉じゃがが作れることが何かの突破口になるかもしれない。
 肉ジャガーオオタと呼ばれる日は近い。




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