 Canon EOS 20D+EF 50mm f1.8 II
伊良湖のタカ渡り編最終回は、タカでも恋路ヶ浜でもない伊良湖の周辺紹介となる。 渥美半島の先端、42号線と259号線が合流したところに、フェリー乗り場と道の駅「伊良湖クリスタルポルト」がある。道の行き止まりでもあり、船旅の始まりでもある場所だ。その駐車場に車を置いて、てくてく15分ほど歩くと伊良湖岬灯台が見えてくる。確か600メートルという標識があったと思うけど、それよりも遠く感じた。恋路ヶ浜から歩いた方が近かったかもしれない。 伊良湖は何度か訪れているけどここまで歩いたのは初めてだなと思っていたら、家に帰って古い写真を見たら大昔にこの灯台の前で写っている若き日の自分の姿があって驚いた。まったく忘れていた。そういえば行ったような気がしないでもない。写真を見ると土がむき出しの荒れた海岸といった風情で、今とは全然違っている。上の写真のような遊歩道が整備されたのはそんなに昔のことではさそうだ。歩きやすくはなったけど、逆に情緒がなくなったようにも感じた。 それにしてもフナムシのすごいこと。一歩歩くごとに目の前を左右にザザァーとフナムシが散っていく。ロマンチックな気分で女の子を連れて行くと、思いがけないマイナスポイントになりかねないので注意が必要だ。
伊良湖岬灯台ができたのは昭和4年、この地方の海路の要所であり、潮流が速くて暗礁が沖まで続いている難所でもある伊良湖水道をゆく船の安全を守るために建てられた。高さは15メートルとさほど大きくない。 当時はアセチレンガスを光源にしていたそうだ。電化になったのは昭和35年のことだった。古い割に白々としているのは、平成14年にお色直しをして塗り直されたからだ。青空の日は真っ白な灯台が海と空に映えるのだろう。 現在は山の上の方に伊勢湾海上交通センター(平成15年)という灯台兼船の管制塔のようなものが建っていて、こちらがメインの施設になっている。上から見たらさぞ見晴らしがいいだろうけど、一般は立ち入ることができない。 伊良湖岬灯台は、日本の灯台50選のうちの一つとして選ばれている。平成10年、50回目の灯台記念日に全国の応募と一般投票で50の灯台が選ばれたんだそうだ。普通の人はそんなことが行われていたことなどちっとも知らなかったと思うけど、きっと灯台マニアの人たちはここぞとばかりに力一杯自分の好きな灯台に投票したのだろう。一般人はお気に入りの灯台なんて持っていない。 愛知県から選ばれたのは伊良湖岬だけで、三重県は神島灯台、菅島灯台、安乗埼灯台、大王埼灯台と4つ入っている。この中のどれかに行ったはずなのだけど、どれだったか覚えていない。静岡の御前崎灯台は何年か前に行ったときのことをよく覚えている。風の冷たい寒い日で、50円だったか150円だったかを払って、一人で登ったのだった。水平線を見ると地球が丸いのがよく分かるといううたい文句だったけど、強風でコンタクトが飛びそうになってしっかり見ることができなかった。 灯台50選を制覇するのはまず無理にしても、機会があれば他の灯台も見てみたいと思う。
 岩に波が当たって波しぶきがあがるのを見て、わー、東映だ、東映だと言って喜んでしまうのは私たちだけではないはずだ。タイミング良く撮ろうとするとなかなか難しい。 東映のあのシーンは、千葉県銚子の犬吠埼なんだそうだ(もしくは海鹿島とも)。現在使われているものは4代目なんだとか。変わっているとは気づかなかった。正式名称は「荒磯に波」。東映は昔のヤクザ映画の印象が強い。
 岩の上に鳥が一羽。最初ヒヨドリかと思ったけどそれにしては黒すぎる。ツグミっぽいけど、こんな時期こんなところにツグミはいない。クロツグミもいるのは林か山だ。となると、イソヒヨドリだろうか。光が弱くて羽の色がはっきりしない。メスかもしれない。50mmレンズから望遠に付け替える時間がなかった。 イソヒヨドリとするなら、こういう海辺にいるのが自然な姿だ。ピョンピョンという跳ね方もツグミっぽかったらたぶんそうじゃないかと思う。名前は磯のヒヨドリとなっているけど、実際はツグミの仲間だ。磯にいるヒヨドリに似た鳥ということで名づけられた。紛らわしい。 大きさは23センチくらいとヒヨドリよりやや小振り。オスは背中が濃い青色で腹がオレンジをしている。メスは地味な褐色ながらうろこ状の模様がきれいだ。 ユーラシア大陸からアフリカにかけて広く分布していて、日本では海岸に多い。都市部で生活しているやつもいるようだ。標高の高い岩山で暮らすやつもいるとか。 エサは甲殻類や昆虫など。フナムシも食べるそうだから、伊良湖では食べるものに困ることはない。
 灯台前の岩場でクネクネ三脚を記念撮影。 アメリカ生まれのgorillapodという三脚、なかなかの優れものでけっこう使える。足が自由に動くようになっていて、安定の悪いところに立てたり、ポールなどに巻き付けて固定することができる。どこでもツーショットが撮れたり、一人旅でも自分撮りができるのが便利だ。 これはコンパクトデジ用だけど、一眼レフ用もある。オークションで買っても量販店でも2,000円以内と高くない。軽くてコンパクトで持ち運びも苦にならないし、これはアイディア商品だ。
 道の駅伊良湖クリスタルポルトの中に、「やしの実博物館」というちょっとした施設がある。かつては有料だったようだけど(300円)、今は無料となっている。無料ならということでちらっとのぞいてみた。 伊良湖といえば椰子の実だ。世界でも珍しい椰子の実が展示されていたり、この地方で出土した古代の遺品、野鳥の剥製などを見学することができる。 上の写真は灯台の模型だ。かなりよくできている。灯台50選や、全国の珍しい灯台が集められていた。灯台マニアにはたまらない。 ここはフェリー乗り場でもあるから、待ち時間などに見て回るにはいいところだ。なんで無料になったんだろう。
 特に意味もなく入ってきたフェリーを撮ってしまった。船というのは被写体なのかどうなのか、少し考えるところがある。飛行機なら無条件に撮っても違和感はない。車は珍しいもの以外撮らない。電車なら考えて撮ることもある。船はそれ自体で価値があるものなのだろうか。なんてことを思っていたら、隣のおじさんたちも携帯カメラで嬉しそうに撮っていた。それを見て、ああ、やっぱり撮って正解なんだと安心した私であった。 伊良湖からは鳥羽への便が多くて、1時間に1便くらい出ている。そんなに需要があるんだ。フェリーで鳥羽まで55分だそうだ。名古屋からみると伊良湖はずっと東にあるようだけど、半島は左に回り込んでいるから西にある三重県の方がかえって近いのだ。 知多半島の師崎へも40分でいく。
 夕飯は、ホテルに隣接したレトロなレストランで海老フライ定食を食べた。せっかくの観光なんだから豪華な食事をと思わないでもないけど、小食の私としては海の幸豪華セットなんて頼んでも食べきれないからもったいない。そもそも生ものを食べられない。貝類もやや危険な香りがする。カキは一発でアウトだ。 海老フライは普通に美味しかった。前の海でとれたばっかりとかではないはずだけど。
 ホテルの売店がまた素敵だった。昭和そのものではないかと大喜びの私。へたしたらペナントも売ってるんじゃないかと期待したけど、そこまで昭和ではなかった。ちょっと残念。 おみやげのメロン関係のお菓子がまた妙に安くて驚く。プチケーキ類は400円、500円台だし、餅菓子など10個入りで210円という驚異の値段設定となっている。買って食べてみたけど210円というようなものではない。この値段で儲けは出るのだろうかと心配になる。 まあ伊良湖は一応メロンが名物になってるから、その関係で安いのかなと思いきや、製造は蒲郡だったり他のところだったりするのもまた謎だった。
 夜のフェリー乗り場。最終は何時なんだろう。さすがに夜ともなるとこのあたりは静かなものだ。ここには歓楽街のようなものもない。
タカの渡りというものを初めて知って、それじゃあ一度行ってみるかとのんきな気分で出向いていった伊良湖岬は、予想以上に楽しくて印象深いものとなった。タカ見にまつわるあれこれも、それ以外の周辺歩きも、ホテルもよかった。二日目の雨降りは残念だったけど、少しはタカも見ることができた。初めてにしては上出来だ。本格的に撮ろうと思えばデジスコが必要だということも分かった。 さて、来年はどうだろう。まさかキャンピングカーに寝泊まりする道具とデジスコを積んで泊まりがけで出かけるなんてことはないとは思うけど、人間、どこでどう変わるものか予測はつかない。一年後には自分でもびっくりするくらいの鳥人間となっているかもしれない。それはそれで楽しそうだ。 それほど劇的な変化を見せず、今年とあまり変わらない自分でいたなら、そのときは神島に渡りたい。アサギマダラとタカと猫という組み合わせはとても魅力的だ。向こうで一泊して、ゆっくり島歩きなんてのもいい。 一年後のことなど分からない。でも、こうして季節を追いかけながらいろんなところを巡っていると、来年につながる楽しみが増えていく。どこへも行かなければ、また来年というのがない。今年行ったからこそ一年後というものが約束となる。 また来年の10月、伊良湖へ行こう。今はっきりとそう思った。
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