現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
今年三度目の鎌倉行きはお馴染みとなった鶴岡八幡宮から始まった
2007年12月13日 (木) | 編集 |
鶴岡八幡宮の秋-1

PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4



 長らく憧れの気持ちを持ちながら、どういうわけか恐れを抱いていた鎌倉という土地に今年一年で三度も行くことになろうとは、去年までの私には思いもよらなかった。
 行ってみればなんてことはない、とても相性のいい場所ですぐに馴染めて溶け込めた。鎌倉はやっぱりいいところじゃないかと思う。
 ただ、どちらかというと、北条色の強い北鎌倉よりも、源氏ゆかりの鎌倉の方に親しみを感じるあたりに、やっぱり何かあるのか。今はもう恐れはなくなったけど、行く前に感じていた得も言われぬ不安感というのは、まったくの気のせいだったとも思えない。自分は近づいてはいけないのではないかとさえ感じていたのは鎌倉しかなかったから、よけいに何かあるんじゃないかと疑ったのも無理はないことだった。
 三度目ともなると、すっかり常連のような気分になる。ゴールデンウィークとアジサイの6月は暑かった。12月は天気がよくて気持ちのいい一日だった。紅葉には少し遅かったけど、今年最後の紅葉見物ということで名残の赤や黄色を求めて、我々は金沢街道方面へ向かった。
 鎌倉駅からバスで大塔宮まで行くという手もあるけど、行きはのんびり歩いていくことにする。歩いていけば鶴岡八幡宮に寄っていくこともできる。
 鶴岡八幡宮に入るのは二度目なのにそう思えない。もう何度も訪れている神社のようだ。見慣れた人混み光景がそう思わせるのかもしれない。ここが空いているときの様子を想像できない。いつ行っても、初詣のようにわんさか人がいる。平日の昼間なんかは静かなんだろうか。
 ポツポツと出ている屋台は常駐なのか、週末だけなのか。

鶴岡八幡宮の秋-2

 舞殿(まいでん)ではこの日も結婚式がとり行われていた。人気のスポットに違いないから、週末ともなれば先まで予約がいっぱいでなかなか取れないくらいなんだろう。この日が大安だったのかどうかは知らないけど、神前結婚式なんだから大安も仏滅も関係ない。仏を祀った寺じゃないわけだし、もともと六曜日にそれほど意味があるとも思えないし。でも、雨降りに当たってしまったら大変だ。
 これだけの人だかりだから、どうしたって注目の的になってしまう。関係のない人に写真も撮られまくりだ。特に外国人にとっては珍しい光景と映るだろう。こういうものを見られるチャンスはなかなかない。神社側としては、オールド・ジャパニーズ・スタイルとして楽しませるという意図もあるのかもしれない。自分だったら参列するのも恥ずかしいけど。

鶴岡八幡宮の秋-3

 鶴岡八幡宮名物の大イチョウは、まだ色づききっておらず、落ち葉にも早かった。見頃はもう少し先になりそうだ。
 この葉がハラハラと散って石段を黄色に染めたらさぞかし風情があるだろう。赤い神殿と黄色いイチョウと青い空の組み合わせはいい。
 この下に集まって集合写真を撮っていたのが印象的だった。昭和の風景みたいで。

鶴岡八幡宮の秋-4

 ツアー旅行者もけっこう多かったようで、西武の青いバスガイドさんも旗を持って中高年を引き連れていた。
 鎌倉とバスツアーの相性というのはどうなんだろう。道が狭くて慢性的に渋滞するから、移動には時間がかかりそうだ。ある程度見所は固まっているから、ツアーとしての効率は悪くないかもしれない。北鎌倉と鎌倉と長谷あたりの主要なポイントを見て回れば一日コースとして成立するのだろう。
 ただ、鎌倉といえば歩きがいいところだし、江ノ電にも乗れないとなると、魅力は半減かもしれない。
 一日タクシー借り切りというのは、京都ほど効果的ではないようにも思う。

鶴岡八幡宮の秋-5

 運転手らしき人に見送られた女の人を、宮司さんや巫女さんが出迎えていた。特別参拝か何かあったんだろうか。
 神社の神職(しんしょく)というのを私はよく分かってない。全部を神主さんだと思うのは間違いで、一般的には神職の長を神主と呼ぶことくらいは分かっても、それ以上は曖昧だ。
 うやむやのまま置いていてはいつまで経っても分かるようにならないと少し調べてみた。
 神社によってもいろいろあるようだけど、基本的には神社の代表者を「宮司(ぐうじ)」、副代表を「権宮司」、宮司の補佐役が「禰宜(ねぎ)」で、一般職員が「権禰宜(ごんねぎ)」となるようだ。けっこうややこしい。すぐに忘れそうだ。たぶん、衣装でも区別がつくのだろうけど、そこまでくわしく勉強してない。
 巫女さんは神職に含まれない。戦前は男しか神職につけなかったけど、今は女性でもなれる。ただ誰でもなれるわけではなく、神道学科のある皇學館大学か國學院大学を卒業するか、神職養成所に通う必要がある。近所の神社へ行って、飛び込みで今日からならせてくださいと頼んでなれるものではない。

鶴岡八幡宮の秋-6

 見慣れない黒い着物の花嫁さんが前を通ってちょっとびっくり。黒もありなんだ。あまり見た記憶がない。
 調べてみると、これは黒引き振袖というやつで、明治、大正時代はこちらの方が主流だったんだそうだ。そういえば昔の親戚の写真で見たような気がしてきた。花嫁は白無垢じゃなきゃ駄目というのは間違った思い込みだったらしい。
 最近はカラフルな色打ち掛けも増えているという。藤原紀香は十二単だったし。

鶴岡八幡宮の秋-7

 今回は金沢街道方面がメインということで、鶴岡八幡宮の拝殿までは行かず、石段の下からお参りするだけにしておいた。先はまだまだ長い。
 ここをあとにする前に、少し池に寄って鳥たちと遊んでもらうことにした。
 プカプカのんきに浮かんでいるのはユリカモメだ。冬鳥としてすっかり常連となった。昔はこんな街中にたくさんはいなかったのに、近年ぐっと数を増やしている。東京もこいつが多い。東京都の都鳥でもある。
 ありふれたやつらで見てもあまりあがたみがないのだけど、ユーラシア大陸の北からはるばる渡ってくる渡り鳥だということを知れば、大切なお客としておもてなししなければという気にもなる。
 白いおなかと真っ赤な足は、よく見るとかわいい。鳩のように邪険に扱っちゃいけない。

鶴岡八幡宮の秋-8

 家から持参した鳩豆を与える人。
 たくさんの白鳩にびっくり。神社だけに神の使いか。でも、これほど多くの白鳩が自然界で生まれるはずもなく、どこからか飛んできたやつらなんだろう。イベントなんかで飛び立たせたやつが野生化したのか。
 白い鳩は純白でとてもきれいだ。ユリカモメよりかわいい。ノラなのにどうやってこんな美白を保っているのだろう。
 でも、白は自然界では弱者であることが多く、このときもたった1匹のドバトに蹴散らされていた。人間から見ればきれいな白も、野生では弱っちいやつらでしかないのかもしれない。

鶴岡八幡宮の秋-9

 鶴岡八幡宮の右を抜けて、金沢街道方面に向かう。最初の目的地は鎌倉宮だ。ゆっくり歩いて20分くらいだったか、もう少しかかったか。
 途中は路地裏の民家の間を縫っていくことになる。バス通りは狭い上に車がひっきりなしに往来していて歩きづらいからなるべく避けたい。裏から行けば、こんな丸ポスト風景も見ることができる。観光客が多い時期の週末は、このあたりに住んでいる人は落ち着かないだろうな。

 こうして三度目の鎌倉編は始まった。何回シリーズになるか、今のところまだ分からない。けっこう回ったから、5回シリーズくらいにはなるだろうか。一応巡った順に書いていこうとは思っているけど、どこかで前後するかもしれない。
 中断している奈良編も終わらせてすっきりしたいとは思いつつ、とりあえず鎌倉を優先する。その途中でも何か挟まることがありそうだ。ここのところネタの在庫過多になってるから、できれば二本立てでいきたいところだ。時間よりも気力的に厳しいものがあるのだけど。
 このあとは鎌倉宮編に続きます。もしかしたら今日中に。


21世紀でも東京タワーは定番のご馳走のように特別であり続ける
2007年12月13日 (木) | 編集 |
東京タワー2-1

PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4



 特別展望台にあがってすぐ、お台場方面から花火が打ち上がって、展望台の中が歓声に包まれた。意表を突かれた形で突然始まったから、みんな驚いたようだ。思いがけずいいものを見られて私たちも喜んだ。けっこう本格的な打ち上げ花火で、10分か15分くらい続いただろう。お台場では週末にいつもやっているのだろうか。
 東京タワーくらい高いところなら都内で開催されるあちこちの花火大会が見られそうだ。小さくて音も遮断されてしまうから迫力には欠けるけど、大混雑と暑さ寒さからは逃れることができる。来年はひとつくらいそういう花火鑑賞もいいかもしれない。みんな考えることは同じで、展望台は展望台で混雑するのだろうけど。

東京タワー2-2

 2002年に大きくリニューアルしたとかで、特別展望台も小綺麗になっていた。足下が青や赤などにライトアップされて、脱昭和の意気込みが感じられた。ちょっとムーディーな感じで悪くない。
 それにしても、11人乗りのエレベーターが1基というのはどう考えても無理がある。大展望台から特別展望台に登る人が何割くらいなのかは知らないけど、エレベーターに乗るまでに何分並ばされたか。30分以上は立たされていた。エレベーターが1つだから、帰るときもまた待たされる。乗った人間を降ろしてまた乗せて、到着階での入れ替えてだから、効率の上げようもない。もちろん、エレベーターは遅い。
 上まで来ると展望スペースも狭いからエレベーターを増設するのは無理だ。せめてもう少し高速エレベーターにならないものかとも思うけど、構造上それも難しいのか。
 週末の東京タワーは老人子供に厳しい。車椅子やベビーカーでは特別展望台には登れないんじゃないかと思うけどどうだろう。行列に並んでいる間に孫を連れたおじいちゃんやおばあちゃんは倒れてしまいそうだ。
 そもそも、150メートルの展望台までに820円取っておいて、そこから100メートル上に行くだけのために600円もぶんどるというのは取りすぎだろう。おのぼりさんの足下を見ている。一生のうちに何度も行かない東京タワーにせっかく来たんだから、上まで登っていこうということになるではないか。ただ、上をあまり安くしたらみんな登りたがってますます行列と混雑が大変なことになってしまうから、これも苦肉の策ということか。
 東京タワーへ行くなら平日の方がよさそうだ。

東京タワー2-3

 そんなに並んでまで上まで行かなくてもいいやと思ったかもしれないけど、それがそうでもないところが悔しいところなのだ。たかが100メートル、されど100メートルで、150メートルと250メートルでは明らかに世界が違う。スケール感の違いはそのまま感動の違いとして表れてくる。ビル群が遙か下に見える感覚というのは、通常では味わえない新鮮な感じを受ける。たった100メートルに600円と思うけど、それだけの価値はある。一度は見ておきたい光景だ。
 少しでも元を取るためのぜいたくな楽しみ方としては、夕方前に大展望台に登って、昼間の景色と夕焼けを見て、日没後に特別展望台で夜景を見るというコース設定をすることだ。時間制限はないから、なんなら朝一に弁当持参で登って、営業終了までいたってかまわない。それなら1,420円は安い。

東京タワー2-4

 週末の夜ともなればカップルだらけになるのは仕方がないところだろう。私はカップルを見たり後ろ姿を撮ったりするのが好きだから歓迎だけど、おのぼりさんとして男同士で行ったりすると、ちぇっとか思うだろう。それをバネに頑張るというのもありかもしれない。

東京タワー2-5

 タワーの中の「東京カレーラボ」というカレー屋でカレーを食べることにした。最初は昭和の雰囲気満点の「タワーレストラン」で食べようと思っていたのだけど、カレー屋の呼び込みに負けてついうっかり入ってしまった。カレー屋ではなく、「カレーをテーマにしたレストラン」なんだそうだけど。
 ちょっと汁っぽいカレーで、変わった味のスパイスが効いていた。まずまず美味しかったとは思う。
 ツレはここのカレーが原因だったか定かではないのだけど、これをきっかけに体調を崩すこととなる。このときはまだそんなことになるとは思いもよらない二人であった。

東京タワー2-6

 外に出たらイルミネーションがきれいだったので寄っていくことにした。
 ツレはここでデジを落として壊してしまうという不幸に見舞われる。悪いことが続くときは続くものだ。いろんな意味で思い出深い東京タワーとなった。

東京タワー2-8

 このイルミネーションは毎年恒例で、クリスマスの25日まで毎日点灯されているそうだ。
 15メートルのもみの木のツリーと4万個のイルミネーションが華やかに彩り、東京タワーと光の競演をしている。
 他にもミニ東京タワーがあったり、機関車の光オブジェが飾られたりしている。
 この場所は無料なので、小さい子連れの親子などが多かった。もちろん、カップルも。

東京タワー2-9

 どういうつながりがあるのかは知らないけど、隣では南極観測船で活躍した樺太犬の像が飾られていた。名古屋港にあるタロジロの銅像を思い出す。なんでこんなところにあったのだろう。

東京タワー2-10

 午前0時、東京タワーのライトアップが消える瞬間を一緒に見たカップルは永遠の幸せを手に入れるという伝説がある。卒業式の日に、校庭のはずれにある伝説の樹の下での女の子からの告白で生まれたカップルは永遠に幸せになる、というのと同じようなものだ。ずいぶん前に聞いたような気がするけど、今でも深夜0時前になるとたくさんのカップルが東京タワーのまわりに集まってきてタワーを見上げているんだそうだ。
 12月は特別に夜の8時になるとライトダウンの演出が行われている。今年で3回目だそうで、クリスマス・ライトダウンストーリーと名づけられた光と音の30分のショーがある。東京タワーの中にいたら当然見ることはできない。ライトダウンの8時は、帰りのエレベーターの行列の中にいた。
 タワーの文字はハートマークをしていた。昔は年号だった。何かのドラマで見た記憶もある。その他、イベントでは別の文字などが点灯されることもあるようだ。

東京タワー2-11

 人が撮ってるところではそれにつられてみんな撮るという法則があって、実に面白い。一人が二人になり、三人、四人と増えていく。みんな他人が何を撮ってるか気になる。自分もその場に立って撮っている方を見ると、なるほどと思う。そういうことか、と。

 毎年200万人が訪れる東京タワー。年間収入40億円のうち、放送局などからの収入が半分、観光客の入場料が半分という割合だという。
 今回私も初めて登ってみて、いろいろ感じるところはあった。リリー・フランキーの作品で東京タワーが持つ意味を再認識した人も多かっただろう。まだまだ魅力は古びてない。少し年を取ったけど、今でも東京タワーは日本のヒーローであることに変わりはない。
 まだ行ったことがないという人はぜひ、一度行ってみて欲しいと思う。それは理屈じゃないし、理由など必要ない。一度行っておくという事実が大切なのだ。
 東京の街のあらゆる場所から見える東京タワー。それを眺めるとき、あそこに登ったんだと思って見るのとそうでないのとでは見え方や感じ方も違ってくる。東京に住んでいる人こそ登るべきだと思う。
 見上げればいつもそこにある。だから私たちは安心していられる。けれどそれは当たり前のことなんかじゃなくて、いつだって特別なことだ。永遠は約束されていない。だから、心の中に必要なのだ。あなたの心の中に東京タワーはありますか?




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