 PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4
長らく憧れの気持ちを持ちながら、どういうわけか恐れを抱いていた鎌倉という土地に今年一年で三度も行くことになろうとは、去年までの私には思いもよらなかった。 行ってみればなんてことはない、とても相性のいい場所ですぐに馴染めて溶け込めた。鎌倉はやっぱりいいところじゃないかと思う。 ただ、どちらかというと、北条色の強い北鎌倉よりも、源氏ゆかりの鎌倉の方に親しみを感じるあたりに、やっぱり何かあるのか。今はもう恐れはなくなったけど、行く前に感じていた得も言われぬ不安感というのは、まったくの気のせいだったとも思えない。自分は近づいてはいけないのではないかとさえ感じていたのは鎌倉しかなかったから、よけいに何かあるんじゃないかと疑ったのも無理はないことだった。 三度目ともなると、すっかり常連のような気分になる。ゴールデンウィークとアジサイの6月は暑かった。12月は天気がよくて気持ちのいい一日だった。紅葉には少し遅かったけど、今年最後の紅葉見物ということで名残の赤や黄色を求めて、我々は金沢街道方面へ向かった。 鎌倉駅からバスで大塔宮まで行くという手もあるけど、行きはのんびり歩いていくことにする。歩いていけば鶴岡八幡宮に寄っていくこともできる。 鶴岡八幡宮に入るのは二度目なのにそう思えない。もう何度も訪れている神社のようだ。見慣れた人混み光景がそう思わせるのかもしれない。ここが空いているときの様子を想像できない。いつ行っても、初詣のようにわんさか人がいる。平日の昼間なんかは静かなんだろうか。 ポツポツと出ている屋台は常駐なのか、週末だけなのか。
 舞殿(まいでん)ではこの日も結婚式がとり行われていた。人気のスポットに違いないから、週末ともなれば先まで予約がいっぱいでなかなか取れないくらいなんだろう。この日が大安だったのかどうかは知らないけど、神前結婚式なんだから大安も仏滅も関係ない。仏を祀った寺じゃないわけだし、もともと六曜日にそれほど意味があるとも思えないし。でも、雨降りに当たってしまったら大変だ。 これだけの人だかりだから、どうしたって注目の的になってしまう。関係のない人に写真も撮られまくりだ。特に外国人にとっては珍しい光景と映るだろう。こういうものを見られるチャンスはなかなかない。神社側としては、オールド・ジャパニーズ・スタイルとして楽しませるという意図もあるのかもしれない。自分だったら参列するのも恥ずかしいけど。
 鶴岡八幡宮名物の大イチョウは、まだ色づききっておらず、落ち葉にも早かった。見頃はもう少し先になりそうだ。 この葉がハラハラと散って石段を黄色に染めたらさぞかし風情があるだろう。赤い神殿と黄色いイチョウと青い空の組み合わせはいい。 この下に集まって集合写真を撮っていたのが印象的だった。昭和の風景みたいで。
 ツアー旅行者もけっこう多かったようで、西武の青いバスガイドさんも旗を持って中高年を引き連れていた。 鎌倉とバスツアーの相性というのはどうなんだろう。道が狭くて慢性的に渋滞するから、移動には時間がかかりそうだ。ある程度見所は固まっているから、ツアーとしての効率は悪くないかもしれない。北鎌倉と鎌倉と長谷あたりの主要なポイントを見て回れば一日コースとして成立するのだろう。 ただ、鎌倉といえば歩きがいいところだし、江ノ電にも乗れないとなると、魅力は半減かもしれない。 一日タクシー借り切りというのは、京都ほど効果的ではないようにも思う。
 運転手らしき人に見送られた女の人を、宮司さんや巫女さんが出迎えていた。特別参拝か何かあったんだろうか。 神社の神職(しんしょく)というのを私はよく分かってない。全部を神主さんだと思うのは間違いで、一般的には神職の長を神主と呼ぶことくらいは分かっても、それ以上は曖昧だ。 うやむやのまま置いていてはいつまで経っても分かるようにならないと少し調べてみた。 神社によってもいろいろあるようだけど、基本的には神社の代表者を「宮司(ぐうじ)」、副代表を「権宮司」、宮司の補佐役が「禰宜(ねぎ)」で、一般職員が「権禰宜(ごんねぎ)」となるようだ。けっこうややこしい。すぐに忘れそうだ。たぶん、衣装でも区別がつくのだろうけど、そこまでくわしく勉強してない。 巫女さんは神職に含まれない。戦前は男しか神職につけなかったけど、今は女性でもなれる。ただ誰でもなれるわけではなく、神道学科のある皇學館大学か國學院大学を卒業するか、神職養成所に通う必要がある。近所の神社へ行って、飛び込みで今日からならせてくださいと頼んでなれるものではない。
 見慣れない黒い着物の花嫁さんが前を通ってちょっとびっくり。黒もありなんだ。あまり見た記憶がない。 調べてみると、これは黒引き振袖というやつで、明治、大正時代はこちらの方が主流だったんだそうだ。そういえば昔の親戚の写真で見たような気がしてきた。花嫁は白無垢じゃなきゃ駄目というのは間違った思い込みだったらしい。 最近はカラフルな色打ち掛けも増えているという。藤原紀香は十二単だったし。
 今回は金沢街道方面がメインということで、鶴岡八幡宮の拝殿までは行かず、石段の下からお参りするだけにしておいた。先はまだまだ長い。 ここをあとにする前に、少し池に寄って鳥たちと遊んでもらうことにした。 プカプカのんきに浮かんでいるのはユリカモメだ。冬鳥としてすっかり常連となった。昔はこんな街中にたくさんはいなかったのに、近年ぐっと数を増やしている。東京もこいつが多い。東京都の都鳥でもある。 ありふれたやつらで見てもあまりあがたみがないのだけど、ユーラシア大陸の北からはるばる渡ってくる渡り鳥だということを知れば、大切なお客としておもてなししなければという気にもなる。 白いおなかと真っ赤な足は、よく見るとかわいい。鳩のように邪険に扱っちゃいけない。
 家から持参した鳩豆を与える人。 たくさんの白鳩にびっくり。神社だけに神の使いか。でも、これほど多くの白鳩が自然界で生まれるはずもなく、どこからか飛んできたやつらなんだろう。イベントなんかで飛び立たせたやつが野生化したのか。 白い鳩は純白でとてもきれいだ。ユリカモメよりかわいい。ノラなのにどうやってこんな美白を保っているのだろう。 でも、白は自然界では弱者であることが多く、このときもたった1匹のドバトに蹴散らされていた。人間から見ればきれいな白も、野生では弱っちいやつらでしかないのかもしれない。
 鶴岡八幡宮の右を抜けて、金沢街道方面に向かう。最初の目的地は鎌倉宮だ。ゆっくり歩いて20分くらいだったか、もう少しかかったか。 途中は路地裏の民家の間を縫っていくことになる。バス通りは狭い上に車がひっきりなしに往来していて歩きづらいからなるべく避けたい。裏から行けば、こんな丸ポスト風景も見ることができる。観光客が多い時期の週末は、このあたりに住んでいる人は落ち着かないだろうな。
こうして三度目の鎌倉編は始まった。何回シリーズになるか、今のところまだ分からない。けっこう回ったから、5回シリーズくらいにはなるだろうか。一応巡った順に書いていこうとは思っているけど、どこかで前後するかもしれない。 中断している奈良編も終わらせてすっきりしたいとは思いつつ、とりあえず鎌倉を優先する。その途中でも何か挟まることがありそうだ。ここのところネタの在庫過多になってるから、できれば二本立てでいきたいところだ。時間よりも気力的に厳しいものがあるのだけど。 このあとは鎌倉宮編に続きます。もしかしたら今日中に。
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