現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
名古屋にラーメンのテーマパークがあるのを初めて知ったらもう終わり
2008年01月08日 (火) | 編集 |
名古屋麺屋横丁-1

PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4



 観覧車が張り付いてるビル「サンシャイン栄」の中にラーメンのテーマパーク「名古屋麺屋横丁」がある。クリスマスイブの日に観覧車に乗りに行ったとき見つけた。
 イブの夜にラーメンはないだろうと思いつつも、名古屋港花火までの時間があまりなかったのと、ラーメンのテーマパークというものにちょっと興味があったので入ってみることにした。
 入り口から入ってほどなく、作り物めいた昭和の町並が現れた。なんだこれはと最初は戸惑ったものの、なるほどそういう作りになっているのかと納得した。お台場にあった台場一丁目商店街の小規模版みたいなものだ。
 帰ってきてから知ったところによると、オープンしたのは2005年の2月で、手がけたのは「池袋餃子スタジアム」や「自由が丘スイーツフォレスト」などのフードテーマパークを企画している、ナムコのチームナンジャだそうだ。ラーメンのテーマパークとしては名古屋初で、フロア全体は昭和30年代をモチーフにした町を再現したとのことだ。
 確かにこれは、私が知ってる昭和よりも古いものだ。だから、懐かしいというよりもセットとしての面白さだ。
 ラーメン店は全部で7軒と、やや少なめか。でも、全部食べて回ろうとすれば大変だし、気に入ったところが見つかればそこの常連になればいいから、まあこんなものだろう。あまり多くてもどこに入っていいのか分からなくなる。全国の有名店が出店するという形で、これまで入れ替わりでのべ26軒が店を出したそうだ。
 町並も気になるところではあるけど、まずはラーメンを食べよう。7軒の中でどこに入るか迷う。どこが美味しいのかそうじゃないのか、人気があるのかないのかを知る手がかりがまったくないから、思いつきで飛び込むしかない。

名古屋麺屋横丁-2

 入り口から入ってすぐはこんな感じになっている。簡単な店の紹介もあるけど、ここでもう少し詳しい説明が欲しいところだ。唐突に昭和の町並だから、入ってすぐ逃げ出してしまう人もいそうだ。
 でもやっぱりシャチなんだ。名古屋ならなんでもかんでもシャチにしておけばいいというのは安易すぎるぞ、ナムコ。名古屋人はそんなにシャチ好きってわけじゃないし。

名古屋麺屋横丁-3

 ちょっと迷って札幌ラーメンの「さっぽろ大心」にした。気分的に博多のとんこつではなく、サッポロラーメンのあっさり系が食べたかったから。
 他の店としては、地元ココイチがやってる「麺屋ここいち」、旭川の「旭川らぅめん青葉」、博多「ちょうてん」、福岡久留米「満洲屋が一番」、下北沢の「玄武」、広島の「廣島つけ麺本舗 ばくだん屋」が入っている。
 私は外でラーメンを食べることはめったにないので、有名店なのかどうかまったく分からない。たぶんどこも有名なところなんだと思う。私が知ってるラーメン屋といえば、スガキヤくらいのものだ。

名古屋麺屋横丁-4

 イブの夕方ということで店内がどんな感じになっているのかやや不安だった。店の人とマンツーマンになってしまうのはつらい。けど、先客としてツーカップルいて安心した。
 ただ、こんな時期なのにというか、こんな時期だからなのか、このラーメン横丁自体にひとけが少なく、活気が乏しいのが気になった。お客もポツリ、ポツリといったところで流行っているとは言い難い。お昼時や普段の週末はもっと混雑してるのか。
 オープン当初はどの店も行列ができていたそうだけど、3年近くも経てば飽きっぽい名古屋人のことだ、こうなるのも必然だったと言えるかもしれない。ナムコはちゃんと名古屋人気質をリサーチしてから作ったのだろうか。
 テーブルがボロボロのガタガタたったのは演出だったのか、単に古びてしまっただけか。
 ラーメン店というのは、あまりにも閑散としてるとわびしいし、逆に混雑しすぎて並ばなくてはいけないくらいになると嫌になる。ほどよい混み具合に調整するなんてことはなかなかできないのが難しいところだ。

名古屋麺屋横丁-5

 私はチャーシュー入り塩ラーメンを、ツレは味噌ラーメンを注文した。
 味はまあ美味しかったと言えるだろう。ただ、私の場合比較対象がスガキヤしかないわけで、本当に美味しいラーメンというのも知らないので比べようがないというのはある。このラーメンも本店の味と比べたらどうなのかも分からないし、ここに入ってる他の店の中でどれくらいのポジションなのかも見当がつかない。
 値段は800円くらいだったか。お安くはない。スガキヤなら300円で食べられて、デザートのソフトを食べてもお釣りが来る。どっちかを選ぶとしたら、私はちゅうちょなくスガキヤを選ぶ。スガキヤは名古屋人のソウルフードだしね。

名古屋麺屋横丁-6

 おなかがいっぱいになったところで町並の散策を再開した。
 当然作り物だから本物っぽくないところは多々あるのだけど、小物類などは昔のものが使われていたりするから、そのあたりは見ていてなかなか楽しい。
 昭和の町並を再現すると、たいていが30年代になるのは、この時代が一番昭和らしいときだったからだろうか。終戦から10年以上経って、日本が復興して新しい町並が作られていくとき特有の猥雑なパワーが溢れていた時代だ。私たちが知っている昭和40年代後半になると、やや近代化も進み始めて昭和のカラーも様変わりしていく。私が知っている昭和は、落ち着きを取り戻してからの昭和でしかない。

名古屋麺屋横丁-7

 再現された店舗のたたずまいも、私たちが知らない時代のものだ。
 置かれている市電は本物で、この市電の中もラーメン店になっている。ここは展示だけにして自由に中に入れるようにしてほしかった。
 名古屋市の市電の記憶はまったくなくて、幼少の頃親と一緒に乗ったことがあるのかどうかも定かではない。親が覚えてないというくらいだから私が覚えてないのも仕方がないことだ。

名古屋麺屋横丁-8

 オート三輪は確か見たことがあるはずだ。展示されてるのはトラックタイプで、私が知ってるのはもっと小型の白っぽい車体のものだ。ダイハツ・ミゼットとかだったか。
 今これに乗っていたら格好いいけど、何しろ走らないから迷惑な話ではある。時速60キロとかは出るのだろうか。
 はっきり覚えている古い車といえば、スバル360だ。あれも見なくなってから久しい。
 昭和の車は、スポーツカーにしてもファミリーカーにしてもセダンにしても、それぞれしっかりした個性があった。今はみんな同じようになってしまって面白くない。普通の大学生までが高級車に乗れるというのは逆に夢がない。おんぼろのカローラしか乗れないサラリーマンのお父さんが、いつかクラウンを買うんだと思っていたときの方が夢があった。

名古屋麺屋横丁-9

 テーラーにバーバーにパーラーに、昭和はカタカナ文化が花開いた時代でもあった。外国に対する憧れが今より強かったというのもあった。今はハイカラなんて言葉も使われなくなった。きみ、ハイカラだなぁ、なんて言ったら今の方が新鮮に聞こえる。
 ここができて間もない頃は、交番に昔の婦人警官の格好をした女の人がいたりしたらしいけど、今ではそんな演出はなくなってしまったようだ。活気がないと感じたのは、店以外に人がいなかったからというのもある。ラーメン屋だけでなく、他の店もあればもっと賑やかになっただろうに。ラーメン屋の店員も普通の格好をしていて、そこまで演出は徹底されていない。

名古屋麺屋横丁-10

 ラーメン神様が祀ってある祠があって、これは面白いと思った。これだけ日本人はラーメンを食べてるのだ、ラーメンを供養して、ラーメン神様をたたえて祀ってもバチは当たらない。
 鳥居の奥はぱちんこ大明神だった。名古屋といえばパチンコ発祥の地だから、ということか。

名古屋麺屋横丁-11

 古い映画のポスターや写真が飾られていて、それが小林旭と浅丘ルリ子のものだったので、おっと思って足が止まった。白黒写真を見ると、東山動物園でロケをしているときの様子が写っていた。古い日活映画はたくさん観ているけど、この『嵐が俺を呼んでいる』は観てない。機会があれば観てみたいものだ。
 映画館の名前はコーチン座。そうきたか。

名古屋麺屋横丁-12

 指で弾くパチンコ台は懐かしい。子供の頃父親に連れて行ってもらったことがある。ダイヤルの自動式と違って少ない玉でも長く遊べるのがよかった。
 でも自分でパチンコをやろうとは思わなかった。大学の頃、同級生はよくやってたけど、トータルではどう考えても損してたし、自分も勝てそうな気がしなかったから。
 高校のとき、校外実力テストの帰りに、クラスメイト何人かでパチンコ屋に入ったことがあった。たまにはやってみるかと玉を買って台に座って、何気なく隣を見たら担任の先生だったときはのけぞりそうになった。顔をそむけてすごくそおっと席を立って、パチンコ玉をポケットに入れて店から逃げたのも、今となっては懐かしい思い出だ。

 店によってラーメンの味のバラつきがどれくらいあるのか私にはなんとも言えないし、美味しいという保障はできないのだけど、一度くらい話のタネに行ってみるのはいい。行くならなるべく急いで行かなくてはいけない。
 というのも、この2月3日で、名古屋麺屋横丁は閉鎖になるという発表があったからだ。なんてこった。知らなかった。この手のフードパークは全国的にも人気があって、こんな短期間で営業終了になってしまうのは異例のことだそうだ。なんとなく元気がないと感じた私の感覚は正しかったらしい。売り上げが伸びなくなっていたのだろう。それで全国のラーメン店が出店したがらなくなったというのもありそうだ。
 どうやら私はこの前が最初で最後になりそうだ。他の店のラーメンも気になるところではあるけれど、一度でも行っておいてよかったということにしよう。ラーメン自体が食べられなくなってしまうわけではないし、名古屋にはスガキヤがある。スガキヤと共に世界の果てまで。
 一回、本当に美味しいラーメンというのも食べてみたいと思う。これを食べてしまったら、もうスガキヤなんて食べられないってくらいのラーメンはどこへ行けば食べられるんだろう。いや、スガキヤってC級グルメで、そんなに美味しいわけじゃないんだけど。


鯉とユリカモメがエサに群がり大騒ぎの白鳥庭園の冬模様
2008年01月08日 (火) | 編集 |
白鳥庭園-1

PENTAX K100D+SIGMA 17-35mm f2.8-4 / DMC-TZ1



「こい」をPCで変換したとき、最初に来るのが「故意」か「恋」か「鯉」かでその人の現状をある程度読み取ることができるかもしれない。以前そんな話をしたことがあった。恋と変換しようとして6番目だったとき、ああ、自分はしばらく恋をしてないんだと気づいたとその人は言っていた。そんな会話が印象深く私の中に残っている。あれはもう、7年も8年も前のことだ。
 私はといえば、どうしたことか、変換の先頭は「来い」だった。おかしいな、私はそんな居丈高な人間ではないのだけど。
 今日の話は鯉というわけではない。白鳥庭園の話だ。名古屋の熱田区にある日本庭園へ行ってきたときの様子を紹介したいと思う。
 ここのコイがあまりにも強烈だったので、最初にコイの写真を持ってきてみた。写真でもけっこう衝撃的だけど、実際はこの何倍もインパクトがあった。コイがエサを食べる様子は微笑ましいものだけど、これだけの量となるとちょっと恐い。こんなにたくさん飼わなくてもいいと思う。
 ちなみに、白鳥庭園の白鳥は、「しろとり」と読むのが正式だ。「しらとり」と読みがちだけど、熱田区のあのあたりの地名が「しろとり」なんだと思う。庭園にハクチョウがいるわけでもない。

白鳥庭園-2

 芋を洗うようとはまさにこういう状態をいう。ただし、これはエサを投げ入れた直後の様子で、普段からこんなふうに大暴れしているわけではない。コイの養殖をしてるわけではないから。
 ここでは紙コップ1個50円のコイのエサを売っていて、それを買ってコイにエサをあげることができる。普段エサをやってないのか、食い付きが異常にいい。みんなかなりおなかが空いているようだ。
 この日は休日ということでそこそこお客がいたから、コイたちもたくさんエサをもらっていた。平日は訪れる人も少なくてもらえるエサも少なそうだ。まあでも、池の鯉は藻とか草とか食べて生きていけるから心配することはない。自然の川でもコイは生息してるわけだし。
 ここのコイは色鮮やかなのがいい。カラフルで賑やかだ。これが黒ばっかりだったらかなり不気味だっただろう。それこそ養殖場のようになってしまう。

白鳥庭園-3

 白鳥庭園の冬の風物詩はユリカモメだ。こいつらもコイのエサを狙っている。ユリカモメは騒がしくて凶暴で賢い。エサをかすめ取るのも得意だ。勝負したらコイに勝ち目はない。
 エサやりとしてはコイよりもユリカモメの方が面白い。クワァークワァーいいながら跳ねるように飛んだり、水面から垂直ジャンプをしたり、人間の方にもけっこう寄ってくる。さすがに手乗りとまではいかないけど。そのへんが花鳥園とは違うところだ。

白鳥庭園-4

 エサを投げると、一歩でも先んじようと、ジャンプしてエサを取ろうとする。ユリカモメはコイのようにおなかを空かしているわけではないだろうに。きっとライバルに対する意地の気持ちが強いのだろう。性格がキツくて負けず嫌いなのだ。

白鳥庭園-5

 何かに驚いて一斉に飛び上がった。食い意地は張っていても警戒心までゆるんでいるわけではないらしい。
 ひとしきり上空を飛んだら満足したのか、またすぐに降りてきた。食い気が勝ったか。

白鳥庭園-6

 日本庭園というとおばさま、おじさまの場所というイメージだけど、ここは親子連れが多い。大人300円で、中学生以下は無料だから、近所の人にしたらお手軽なお出かけスポットとなっているのだろう。
 けど、何年か前までは200円だったはずだ。いつの間にか値上がりしていた。できた当初は駐車場も無料だったのに今は300円になった。街中にあるから、無料駐車場にしたら訪問者以外の車に占拠されてしまったのだろう。

白鳥庭園-7

 上の池に映る影絵。このあたりはコイも少なくて穏やかだ。
 白鳥庭園は中部地方の地形をモチーフに造られている。築山を御嶽山(おんたけさん)、そこから始まる水の流れを木曽川、池を伊勢湾にそれぞれ見立てて、いわば中部の自然のミニチュア版のようになっている。言われなければ気づくはずもないけど、なかなか面白い発想だとは思う。

白鳥庭園-8

 遊んだり見学したりするような施設が特にあるというわけではない。上の写真に写ってる清羽亭は、茶会などに使われる数寄屋造りの建物で、もうひとつある汐入亭(しおいりてい)は喫茶室のようになっていて、500円で抹茶をいただくことがきる。
 あとは庭園を散歩するくらいしかやることはない。芝生広場で遊ぶか、水琴窟の音を聞くか、そのくらいだ。
 季節としては紅葉シーズンがベストなのだろう。名古屋市内のちょっとした紅葉名所となっていて、その時期になると大勢の人が写真を撮りにやって来る。春から秋にかけては季節の花々も咲くから、そのあたりも見所となる。

白鳥庭園-9

 奥に写ってるのが汐入亭で、手前は汐入の庭と名づけられている。ここは装置によって水量を変化させて、それを潮の満ち引きにたとえている。1時間ごとに満潮と干潮を繰り返す演出だ。
 抹茶を飲みながらぼーっと見てるのも贅沢な時間の過ごし方かもしれない。

白鳥庭園-10

 高台の方には滝も造られている。御嶽山にはこんな滝もあるのだろうか。
 水際はモミジが多かったから、紅葉の時期は絵になるポイントなのだろう。このときはもう、葉も落ちきって、落ち葉も茶色くなってしまっていた。

白鳥庭園-11

 このあたりは上流の表現だ。やがて木曽川のゆったりした流れとなり、伊勢湾へと流れ込む。そう説明されれば、この地方の人間ならなんとなくイメージができると思う。地形的にはそのまま再現されているわけではないけど、どうせやるならジオラマのようにいろんな小物を置いたりしても面白そうだ。あまりやりすぎると日本庭園じゃなくなるから、そういう施設を他に作ったらどうだろう。立体名古屋模型とか愛知模型とかを作れば、この地方の地形とか位置関係とかが分かって観光の参考にもなる。

白鳥庭園-12

 こちらは駐車場側の出入り口。クリスマスイブだったけど、早くも門松が飾られていて、正月気分満々だった。
 もともとこの場所は、1989年(平成元年)に開催された世界デザイン博覧会の白鳥会場があった場所で、その跡地を整備して、1991年(平成3年)に白鳥庭園として開園したのだった。
 名古屋市内の本格的日本庭園といえば、ここと徳川園くらいのはずだから、そういう意味でもなかなか貴重な場所だ。
 強くオススメできるほどこれだという要素はないのだけど、熱田神宮のすぐ近くだし、お参りのついでに寄っていくにはいいところだ。近くにはかなり大きな前方後円墳である断夫山古墳や、源頼朝の生誕地といわれる誓願寺など、ちょっとした見所も点在している。すぐ横には名古屋を代表する川の一つ、堀川も流れている。貯木場などはかつての面影を残しているし、少し足を伸ばせば東海道で唯一の水路だった七里の渡し跡もある。
「あつた蓬莱軒」でひつまぶし(2,520円)をご馳走してくれるなら、私がガイドをしてもいいです。ガイドが必要ない場合は自力で行ってみてください。コメダさんの和風甘味処「おかげ庵」も近くにあるのでそちらも寄ってみるといいでしょう。抹茶シロノワールもありますよ。




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