現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
鍋田といえば猛禽が見られる干拓地としてその筋では有名な探鳥地
2008年01月29日 (火) | 編集 |
鍋田干拓-1

Canon EOS 20D+EF 75-300mm f4-5.6 IS / EF-S 17-85mm f4-5.6 IS



 名古屋近郊の猛禽スポットとして知られる鍋田干拓は、おそらく一般の人は一生無縁の場所だろう。名前くらいは聞いたことがあるかもしれないけど、普通は行こうとは思わない。何かのついでに行くようなところではないし、たとえ行ってみたとしても何もない。だだっぴろい農耕地と荒れ地が広がるばかりだ。
 にもかかわらずというべきか、だからこそというべきか、ここはたくさんの野鳥が棲みつく自然の野鳥園となっている。特に猛禽が多いことでその筋の人の間では有名な場所だ。今日あたり鍋田へ行ってみようかといえば、それは鍋田干拓で鳥撮りをすることを意味している。昔は、ゼロヨンやドリフトの会場がある走り屋御用達スポットとして知られていたのだけど、最近はどうなんだろう。
 3年ほど前に一度、一人で鍋田干拓を訪れたことがある。あれは確か手ぶれ補正の10倍ズーム機C-2100UZを買って、鳥撮りに目覚めて間もない頃だったと思う。漠然と猛禽が撮れたらいいなくらいの軽い気持ちで出向いていって、手ぶらで帰ってきた。鍋田干拓といっても400ヘクタールからある広大な干拓地だから、どこが鳥スポットなのかまるで見当もつかず、しばらく呆然と立ち尽くしたのを覚えている。あのときは水路のカモだけ撮って帰ってきた。
 今回はツレと二人で、ある程度あのへんだろうなというイメージを持って行ってきた。残念ながら猛禽は空振りだったものの、他の収穫が少しあって、まずまずの満足度となった。風が強い午後でコンディションと時間が悪かったけど、今後への可能性を感じることはできた。穏やかな日の午前がねらい目となるのだろう。
 今回一番の収穫はキジだった。鳥の人にとってはキジなんて珍しくないんだろうけど、私は初めて野生のものを見たのでけっこう嬉しかった。おー、キジじゃーん、と。こんな冬の田んぼでうろついてるとは思ってなかった。もう少し茂みの中のようなところでコソコソしているイメージだった。
 畑を歩き回ってさかんに地面をつついていた。車に対しては無警戒のようで、こちらを気にする様子もなく、エサ探しに夢中だ。距離的にもう少し近づきたかったけど、たぶん車から降りたら逃げていくのだろう。

鍋田干拓-2

 しばらく観察しながら写真を撮っていると、いつの間にか二羽になっていた。と思ったら、三羽になった。全部オスだけだったけど、メスも近くにいたのだろうか。
 調べてみると、キジは毎年全国で10万羽も養殖したものが自然に放たれているんだそうだ。そんなことはまるで知らなかった。主に狩猟用というから、一般にはあまり知らされていないのだろう。そう、キジは日本の国鳥でありながら狩猟対象の鳥なのだ。国鳥になった理由は、狩猟対象として最適で肉が美味しいからなんだとか。そんな理由でー。
 放鳥組の中の一部は野生化しているというから、私たちが野生として見ているつもりでも実は養殖ものだったりするのかもしれない。ただ、野生化したものも多くは猛禽や動物に食べられてしまうそうだから、なかなか目にしない理由はそのあたりにもありそうだ。
 自然の中で見るキジはかなりの存在感で、初めて見ると驚く。少し違和感もあって、不思議な気もする。ノラニワトリの仲間のような、どこかから逃げ出してきた鳥がうろついているような感じで、野生の鳥のようには見えない。

鍋田干拓-3

 これも私にとっては初対面のタゲリだ。
 平安貴族がかぶっていた冠がぴよーんと立っているような冠羽が目印となってすぐに分かった。よく見る人にとってはお馴染みの鳥なんだろうけど、うちの近所では見かけないものだからありがたみがある。
 飛び上がると白黒ツートンの羽がきれいでよく目立つ。できればタゲリの飛翔シーンも撮りたかった。群れて飛んでいると特に絵になる。
 歌舞伎役者の化粧をほどしたような顔と深いグリーンの羽も美しい。
 中国やシベリアなどのユーラシア北部で繁殖して、日本には冬鳥として渡ってくる。
 田んぼなどで小さな群れを作って、地面の中のミミズや虫などを食べている。そのときの様子が足で地面を叩いているように見えることからタゲリと名づけられたとされている。植物の実や貝類なども食べるという。
 ちょっと意外ないことに、チドリ目チドリ科に分類される鳥なんだそうだ。

鍋田干拓-4

 こちらはお馴染みのケリ。今回はどの写真も鳥が小さい。それだけ近づけなかったことを意味している。自然のフィールドでは野鳥園のようにはいかない。鍋田干拓でもデジタル一眼では厳しい。車の中に三脚を立てられるなら、デジスコが威力を発揮する。
 ケリの名前は、田んぼを蹴ることからではなく、鳴き声がケリッとかキリッとかでそこからきている。タゲリとは似ているけど名前の由来は違う。分類は同じチドリ目チドリ科となるから、種としては近い。
 ケリについては以前、尾張旭で撮ったときに詳しく書いた。

鍋田干拓-5

 これはたぶん普通のスズメ。後ろで飛んでるやつもそうだと思う。
 一見するとスズメだけどよく見るとホオジロだったりタヒバリだったりすることもあるから、スズメっぽく見えてもすぐに決めつけない方がいい。でもやっぱりこれはスズメだな。

鍋田干拓-6

 これもスズメだろう。遠くて逆光なのでシルエットになってよく見えない。
 猛禽は電柱や電線にとまっていることもよくあるそうだから、そのあたりもじっくり探していったのだけど、見つけることはできなかった。チュウヒの一羽でも見られれば満足度はもっと高くなってただろうに。

鍋田干拓-7

 あ、モズ。
 猛禽ツアーでかろうじて小さな猛禽と出会うことができた。体は小さくてもするどいクチバシを持つ肉食の鳥がこのモズというやつだ。とった獲物を枝などに刺しておく「早贄(はやにえ)」が知られている。昆虫やトカゲ、カエルなどがよくやられている。どうしてああいうことをするのかはよく分かっていないらしい。
 モズは漢字で書くと百舌となる。これは、モズが他の生物の鳴き真似をよくするからで、そこから百の舌という字が当てられた。
 モズの高鳴きで秋の深まりを感じるという人もいるだろう。

鍋田干拓-8

 これもモズだろうか。後ろ姿しか見えなくてよく分からなかった。
 目の上に黒い線がないから、モズとすればたぶんメスだ。
 最初、ジョウビタキのメスあたりかとも思ったのだけど、ジョウビタキはこんなところにはいそうもない。

鍋田干拓-9

 後半は撮るものがなくなって、目についたハクセキレイでも撮ってみた。
 これは街の公園でも河原でもよく見られるからありがたいものではない。
 鍋田はカラスも多いところだった。あれだけ数がいると、単独行動の猛禽では勢力争いに負けてしまうかもしれない。

鍋田干拓-10

 冬の鍋田干拓は、こんな風景が見渡す限り広がっている。農耕地として稼働している土地は一部で、農作業をしている人も数人しか見かけなかった。有効活用されているとは思えない。夏に訪れると、もっと青々とした豊かな土地となっているのだろうか。
 鍋田干拓の歴史は古く、江戸時代の1835年には八穂新田というのが完成して農耕地となっていた。
 しかしその後、1837年の暴風雨や1842年の洪水など、たびたび水の被害にあい、戦後の食糧難で再開拓されたものの、1957年の伊勢湾台風で大打撃を受けてしまう。海岸の堤防は95パーセントが決壊して、入植者の半数近くが命を落とした。
 1960年に堤防が復旧したあとも農業の先細りなど時代の移り変わりもあり、現在では数戸しか専業農家が残っていないという。近くには東名阪道や伊勢湾岸自動車道などが走っていてインターもあるので、農地以外に利用した方がいいのではないかという声をあるようだ。
 ただ、こんな荒れ地だから猛禽などの野鳥が暮らしやすい土地となっているわけで、こんなふうに遊んでいる土地があってもいいではないかとも思う。

鍋田干拓-11

 遠くに目をやれば、ナガシマスパーランドの観覧車やジェットコースターが見える。向こうの山脈は三重県の山だろう。
 高くなっているのは木曽川の土手で、この向こう側が葦原となっていて猛禽スポットになっているようだ。車では近づくことができそうになかったので、行くなら歩きということになるのだろうか。干拓地の中は狭い農地があるだけで、どこまで進入していいものやら迷う。下手なところに入っていくと、細い一本道をバックで出ないといけないことになりそうだ。
 結局、猛禽スポットがどこなのかはよく分からなかった。日曜日だし鳥のお仲間がいるんじゃないかという当ては外れた。時間帯がよくなかったかもしれない。ネットでも、猛禽を鍋田で撮ったという情報はあるものの、詳しい場所までは説明がない。どのあたりと説明しようにも周りに目印となる建物などがないということもある。こうなったら野鳥の会に入って鳥の人に教えてもらうしかないか(本気か、私?)。
 チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、ミサゴ、オオタカなどもいるというから、見られるものなら見てみたいし撮ってみたい。夕方にはコミミズクなんかも飛ぶらしい。
 弥富野鳥園は鍋田の東のはずれあたりに位置しているから、セットで行くのもオススメだ。私もまた行きたいと思っている。次は春くらい、もっと暖かくなってからにしよう。迷彩模様のテントを持っていれば話は別なんだけど。


たくさんのインコを見て無駄の美しさを思う ---花鳥園新シリーズ第8回
2008年01月29日 (火) | 編集 |
花鳥園のインコたち

FUJIFILM FinePix S2 pro+Nikkor VR 24-120mm f3.5-5.6 / TAMRON SP 90mm f2.8



 花鳥園ネタはまだ残っている。今日はインコ特集としてみよう。
 トップは、ズグロインコから。頭が黒いという理由だけのネーミング。他にも特徴はいろいろあるだろうに。体はこんなに派手なのに、一つの要素で決めつけられてしまっては納得できないだろう。人でいえばメガネをかけているだけで、メガネ呼ばわりされてしまうみたいな悲しさだ。

花鳥園のインコたち-2

 オオハシさんにもいろいろ種類がいて、これはクリハシオオハシ。クチバシがオレンジのやつはオニオオハシで一番大きくて、クリハシは2番目になる。
 私はやっぱりオニオオハシさんの方がいい。あっちの方がかわいい。カラーリングの違いで差が出るものだ。

花鳥園のインコたち-3

 オニオオハシを真正面から撮ったら、ヘンな顔になった。ちょっとおかしい。地底人みたい。悪の手下みたいにも見える。

花鳥園のインコたち-4

 上手に足を使ってエサを食べる、コミドリコンゴウインコ。けっこう賢そうだ。
 ペットとしてもわりとポピュラーなようで、値段は15万円前後らしい。

花鳥園のインコたち-5

 これまで何度も登場している、ヨウムのアンソニー。
 とぼけた顔でいたずら坊主なのに人なつっこくて憎めないやつ。掛川花鳥園のアイドルとしてファンも多い。

花鳥園のインコたち-6

 同じヨウムでもずいぶん顔つきが違う。見慣れてくると違いが分かってくる。
 こいつは温室の中でみんなと一緒に放し飼いにされていた。あまり個性がないのか。顔つきはアンソニーよりも目がパッチリしていて凛々しい感じなのに、アンソニーのような味わいに欠ける。

花鳥園のインコたち-7

 たぶん、ゴシキセイガイインコ。ゴシキは五色から来ていて、個体によって色の違いが大きい。色合いが異なる亜種が20種類以上いるそうだ。
 基本は青い頭と、緑色の背中。青色と緑色を組み合わせて成立させてしまうのが自然のすごさであり面白さだ。人間ではこの着こなしは難しい。

花鳥園のインコたち-8

 オオハナインコのメス。オスは緑地に赤や黄色などが混じり、メスは赤と青のツートンになる。スーパーマンカラーだ。
 オスとメスでここまではっきり違う色のインコはあまりない。昔は別の種類の鳥と思われていたようだ。
 漢字で書くと大花だけど、もともとは大鼻からきている。やや大きめのクチバシを大きな鼻に見立てたのだろう。

花鳥園のインコたち-9

 これは名前の調べがつかなかった。ヨダレカケズグロインコかとも思ったけど、ちょっと違う気もする。それなら頭の上部が黒いはずだ。
 背中のウロコ模様は、お馴染みのセキセイインコを思い出させる。

花鳥園のインコたち-10

 ギニアエボシドリはインコの仲間ではないけど、ここではお仲間に入れてもらおう。分類としては、ホトトギス目エボシドリ科になる。
 頭のトサカがもちろん一番目立つ特徴ではあるのだけど、目のふちどりの赤や、化粧を施したような白い線も印象的だ。

花鳥園のインコたち-11

 ギニアエボシに似ているけど、カラーリングが違う。ツンツンヘアーでもない。でも顔はそっくりだ。ただのエボシドリか、ホオジロエボシドリか。エボシドリは19種類いるそうだ。オウカンエボシドリかもしれない。

 花鳥園にもたくさんの鳥たちがいるけど、野生にはその何百倍もの種類の鳥たちがいることを思うと、今更ながら地球の多様さに驚く。地球の本質の一つは間違いなく、無駄の美学だ。必要不可欠ではないところに美しさが存在している。たくさんの鳥や生き物たちを見ることは、その一端を知るための大事な手がかりとなる。実際に見にいかなければ日常には存在しておらず、普段の生活で意識することもない。自分たち以外の多くの生き物について知れば知るほど、人は謙虚になれるものだ。この地球は決して人間中心に回っているわけではないことに気づく。
 花鳥園新シリーズはまだ終わりが見えてこない。少なくともあと3回分くらいは写真がありそうだ。終わってしまうとまた行きたくなってしまうから、ここからはぼちぼち出していくことにしようか。




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