 Canon EOS 20D+EF 50mm f1.8 II
名古屋名物試食ツアーとして今回はカレーうどんを紹介しようと思う。去年はツレと共に名古屋名物を食べ歩いた。ひつまぶしの「しら河」、味噌カツの「手のべとんかつ うめだ」、味噌煮込みうどんときしめんは「ひらのや」で、あんかけスパの「パスタ・デ・ココ」、「コメダ」さんでは小倉トーストとシロノワール、名古屋人のソウルフード「スガキヤ」のラーメンとソフトも食べた。 あと残っているのは、天むすと手羽先くらいになった。天むすはクリスマスのとき栄で食べ逃して、手羽先は酒を飲まない私たちはちょっと食べに行きづらいというのがある。世界の山ちゃんで酒も飲まずに手羽先だけ食べてもいいんだろうか。 そろそろネタ切れかなと思っていたら、そうだ、まだカレーうどんがあるではないかと思い出した。エビフライはタモリが言ってただけで、実際は名古屋名物でもなんでもない。台湾ラーメンはカップ麺で食べた。 それにしてもいつからカレーうどんは名古屋名物になっていたのだろう。ごく最近というのではないにしても、そんなに昔のことではない。遠い日の記憶としては、学校給食でカレーうどんが出てあれは美味しかったというのはある。でも、当時は誰もそれが名古屋名物だなどと認識していなかった。 そもそもカレーうどん自体は全国のどこにでもあるありふれたうどんの一つに過ぎない。発祥も名古屋ではなく東京だ。明治37年に早稲田の「三朝庵」という店が初めて出したのが始まりというのが定説になっている。 それじゃあ、何故カレーうどんが名古屋名物になっているかといえば、同じカレーうどんでも名古屋のものと他県のものとでは似て非なるものらしいのだ。カレーうどんを前面に押し出している専門店があるというのも特徴として挙げられる。 具体的には、名古屋のカレーうどんスープは和風だしを効かせて、とろりとしたあん状になっている。適度にスパイシーでもある。麺は柔らかめではなく腰があるのを基本とする。そうすることによって汁の飛び散りを抑えつつ、いい感じに麺にカレースープが絡まるようになっている。味は名古屋特有の濃さだ。 名古屋では暑い夏にも寒い冬にも好んで食べられている。酒を飲んだあとにカレーうどんで締めるという人もけっこういるようだ。 どうして名古屋でカレーうどんが名物と言われるまでの地位を獲得できたのかはよく分かっていない。たまたま名古屋人の嗜好と合ったとしか言いようがないのだろう。
下調べがすんだところで、さてどこで食べるべきかということになる。本来ならば、名古屋のカレーうどんスタンダードとでもいうべきチェーン店の「若鯱家」で食べるのが王道だろう。しかし、それを外すのが私たちのだいたいのパターンで、今回も「香流庵」を選択した。 ここは雑誌やテレビなどで何度も取り上げられているところで、クチコミの評判もいい。しかも、うちの近所だった。全然知らなかった。 でも行ってみて知らなかったのも仕方がない。通りから奥まった住宅街に店はあった。あんなところでは飛び込みの客はまず期待できない。それでも人気店になれるんだから、たいしたものだ。
 場所は地図を調べてから行った方がよさそうだ。近所に住んでる私でさえ最初どこにあるのか分からなかったくらいだから。 ローカルな説明をすると、「ローソン」や「ドラッグ スギヤマ」、「メガネのキクチ」がある交差点「香流小学校」を南に入って、しばらく坂道を登った左側だ。看板が出ているから通りを間違えなければ見つかるはずだ。駐車場も15台分あるから、まず大丈夫だろう。 店内は広くもなく、狭くもなく、一般的なうどん屋といった風情だ。テーブル8つくらいで、座席数は30くらいだったか。 知名度はそれなりにあるとはいっても場所が場所だけに行列を作るようなことはない。日曜の夕方で満席になるかならないかといったところだった。
 ここのこだわりの一つとして手打ち麺がある。ガラス張りのブースで麺打ち職人が二人、せっせと麺を打っていた。「麺打ち職人募集」なんていう張り紙があったりして、意気込みを感じさせる。 ここの主人が名古屋手打ち研究会の会長さんなんだそうだ。手打ち一筋50年の名人だという。店で出すうどん、きしめん、そばは全部自家製の手打ちらしい。 そんなこだわりもあって、注文したメニューがすぐに出てくるということはない。注文を受けてから打ち始めるなんてことはないけど、10分くらいかかっただろうか。とりあえず店内に置いてあったフクロウの置物でも撮って気を紛らわせることにした。掛川花鳥園のことを教えてあげたい。 メニューは一般的な名古屋のうどん屋さんのものが一通り揃っている。きしめんもあるし、味噌煮込みも人気のようだ。カレーうどんはノーマルのものと、びっくりカレーうどんという激辛のものがある。辛いもの好きの人は挑戦してみるといいかもしれない。
 やってきました、カレーうどん。本格的なカレーうどんとしては、これが初対面となる。なるほど、見た目からしてつゆがとろりとした感じだ。これにも特別な製法があって、カタクリ粉は使ってないという。 汁を飛ばさないように慎重にまずはひとくち。うん、なるほど、カレーうどんの味だなと思う。初めてだけだど初めてじゃないのは、カップヌードルカレー味などを食べているからだ。カップ麺のカレー味もかつて食べたことはある。だから、最初はわりと普通だなという印象を受ける。 しかし、本場のカレーうどんが美味しくなるのは、中盤以降だ。最初はまろやかに感じたカレーも、食べ進めるうちに辛みが追いかけてきて、口の中で旨みが増していく。食べ始めて一度軌道に乗ったらやめられない感じになってくる。うん、これは美味しいや。 麺もさすがのこだわりで、腰があってツヤがある。伊勢うどんのように固いのとは違う。ツルツル加減がちょうどよくて、つゆとの絡み具合もいい。これは人気が出るはずだ。 きしめんバージョンもあるけど、どうなんだろう。きしめんはやや柔らかめで横広だから、けっこう違う印象になるんじゃないだろうか。
 ごちそうさまでした。美味しくいただきました。 小食の私にはけっこう多めで、カレーつゆまで飲み干すことができなかった。悔しいのでつゆに写り込んだ天井の明かりの写真でも撮ってみる。 値段は800円。うどんと思えば高いけど、カレー+うどんと思えばこんなものか。去年までは740円だったはずだけど、値上げは最近だろうか。 ご飯とサラダがついた定食にするとプラス100円でお得感が増す。胃袋に余裕がある人は定食にして、カレースープをご飯にかけて食べるというやり方もある。それくらいカレースープはただの汁ではなく、カレーとして独立できるくらいの存在感を持っている。スープカレーとしても充分成立しそうだ。
ところで、カレーうどんには一つ重大な欠点がある。それは汁の飛びはね問題だ。 うどんだからすすった方が美味しく食べられるのに、カレーうどんの場合はそうもいかない。家から直接店へ行って食べたら帰るというのならともかく、出先で食べるとなると飛びはねには神経質にならざをえない。結果としておっかなびっくり食べることになって、味わうことに集中できないということがある。これがもったいない。実際、私は二度ほど飛び跳ねてしまった。カレー色のセーターを着ていたからよかったものの。 提案としては、カレーうどんのお客には使い捨てのエプロンを支給したらどうだろう。ちょっと格好悪いけど、服にはねるよりもいい。コストは一枚100円もかからないだろうし、なんならエプロン代を50円くらいのオプションにしてもいい。そうすればデートでも食べられるし、会社員やOLもランチで注文しやすくなる。エプロンさえつけていれば安心してすすれるから更に美味しく感じられるだろう。 もしくは、自分ちから持っていけって話か。マイエプロンを持参してカレーうどんを食べてるカップルってどうなんだとは思うけど。 前に「げりらっパ」という番組でさまぁ〜ずが、白いタキシードを5万円でレンタルしてカレーうどんを食べに行くという企画があった。そのときの店は「うどん錦」だったけど、あれはけっこう面白かった。
その他の有名店としては、「鯱乃家」がある。名古屋で初めてカレーうどんを出したのがこの店だと言われている。 もともとはここが若鯱家を名乗っていたのだけど、商標登録をとっていなかったため、後発の東海通信社に名前を商標登録されてしまって使えなくなってしまった。なんてことをするんだ、若鯱家。その後、若鯱家はどんどん事業を拡大して、30以上のチェーン店を展開するまでになった。愛知、岐阜、三重だけでなく、今や関東や関西にまで進出している。 本家の鯱乃家はどうかというと、今でも黒川でひっそりと小さな店をやっている。カウンター10席のみという店らしいので入るのはちょっと勇気がいりそうだ。でも、ここが一番美味しいという人も多いから、そのうち食べに行きたいと思う。
 外に出て記念写真を一枚。麺打ち職人さんが麺打ちに励んでいる様子が表から見えるようになっている。大通りに面していたらけっこう恥ずかしそうだ。でも、この姿に憧れて麺打ち職人を目指す人もいるかもしれない。
 カレーうどんは、記憶の中で美味しさとして定着する。食べ終わってから美味しさが始まると言ったら大げさだろうか。でも一度食べるとまた食べたくなるのは確かだ。 食べ比べもしてみたいということで、スーパーにカレーうどんを買いに行った。カップ麺で鯱乃家が出しているやつがあるというのだけど、近所には置いてなかった。期間限定だったか、地域限定かもしれない。 あまり選択肢がなく、今回は「寿がきや」と「マルちゃん」のものを買った。そして早速、寿がきやのものを作って食べてみた。お湯で麺を茹でて、粉末のカレースープを混ぜて少し煮込めば完成だ。麺は生麺タイプになっている。 マルちゃんの方は名古屋のカレーうどんとは違うだろう。赤いきつねと緑のたぬきでお馴染みのメーカーで、製造元も東京になっている。こちらは乾麺だ。近いうちに食べて比較してみる。 さて、寿がきやのカレーうどんだけど、なるほどそうだよねという味だった。当たり前のカレーうどんで、美味しいには美味しい。名古屋風にカレースープもとろみのあるあんタイプになっていて、スパイシーだ。ただ、基本のだしが違う。たぶん魚類系のだしだろう。香流庵のものとはずいぶん印象が違っていて、だしが味を大きく左右することが分かる。麺は一般的な食感で、腰は足りない。 これを食べてみて、あらためて香流庵のカレーうどんが美味しかったと思った。インスタントでは初めから勝負にならないのは当たり前だけど、カレーの味、だしの取り方、麺の腰とツルツル感、それらが絶妙に絡み合ったとき、初めて美味しいカレーうどんになるということを知った。単純なようで奥深い料理だ。
カレーうどんが名古屋名物だと認識してない人も多いと思う。私も自分で食べてみるまで半信半疑だった。でも食べてみたら、これは名古屋名物として推したい気持ちになった。味噌煮込みよりも一般受けするはずだ。名古屋に来たときは一度食べてみて欲しい。 今後も名古屋名物を追いかけていきたいと思っている。そういえば、イタリアンもあった。イタリアンって知ってるだろうか。鉄板の上に溶き卵を敷いて、その上にナポリタンを乗せた料理だ。名古屋の喫茶店でスパゲティを頼むとそれが出てくるし、一般家庭でもイタリアン用の鉄板を持っている。これも知られざる名古屋めしの一つだろう。機会があればそれも紹介したい。 そんなわけで、名古屋のカレーうどんをよろしくお願いします。
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