現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
井田八幡宮へ行って八幡のことを知る ---尾張旭神社巡り第三弾
2008年03月20日 (木) | 編集 |
井田八幡-1

Canon EOS 20D+EF-S 17-85mm f4-5.6 IS / EF 50mm f1.8 II



 尾張旭市の神社制覇宣言から早くも1年近くの月日が流れた。ふいに思いついて始めたのが去年の4月のことで、渋川神社からそれは始まった。そして今日までに回ったのは実に3ヶ所(一之御前神社と直會神社)。あまりののんびりペースに、自分でもびっくり。この企画自体を忘れてしまわないうちにやり遂げておかなくてはならない。ちょっとだけ先を急ごう。
 そんなわけで、今日は尾張旭の神社巡り第三弾をお届けしたい。
 行ってきたのは井田町にある井田八幡神社だ。
 場所は、三郷の交差点を南に入って、イトーヨーカドーを右に見ながら通り越し、三郷南交差点を過ぎて少し行った左側だ。そこそこ敷地も広いし通りに面しているから、近くまで行けば分かると思う。
 例によって、知識や情報はすべて返ってきてからの復習で得たものだ。予備知識がないまま行くから、よく大事なものを見逃す。今回もまたそうだった。
 この神社に関しては、情報も少なく、これといった見所もないので、あまり書くことはない。神社にある陶製の狛犬が尾張旭市指定文化財になっているということくらいだろう。1300年代に、この地の城主だった浅井氏が創建したとされている。これが説明のすべてといってもいい。でも、それだけではあまりにも愛想がない。だから今日は八幡社や八幡信仰について書きたいと思う。

井田八幡-2

 八幡宮といえば、鎌倉の鶴岡八幡宮が思い浮かぶ。神の使いは鳩だ。ここの八の字もちょっと鳩っぽいけど微妙なところだ。

井田八幡-3

 さて、八幡について書こうと決めたものの、どこからどう書いていいものかと迷う。
 表向きの説明としては、総本社は大分県宇佐市の宇佐八幡宮(宇佐神宮)で、祭神は応神天皇(誉田天皇)、神功皇后、比売神の八幡三神で(応神天皇の父・仲哀天皇も一緒に祀るところもあり)、全国でその数1万とも2万ともいわれ、稲荷社に次いで2番目に多い神社ということになる。
 三大八幡となると、宇佐神宮(大分県宇佐市)、石清水八幡宮(京都府八幡市)と、鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)または筥崎宮(福岡県福岡市)というのが一般的だ。他にも自称というのはありそうだけど。
 名古屋では、城山八幡宮(千種区)や若宮八幡社(中区)が有名だ。
 何しろ数が多いから、意識しないままそういえば近所にあるなという人も多いと思う。
 しかし、これの出自に興味を持って調べてみようという人はさほど多くないだろう。八幡の神様が誰であろうとそんなことは普通の人には関係のないことだ。
 いきなり結論めいたことをいってしまうと、これは渡来人(主に中国や朝鮮半島から日本に来た人々)がもたらした信仰を日本が取り込んで発展させていった神様だ。
 宇佐八幡宮の元宮が福岡県築上郡にある。矢幡八幡宮という神社で(現在の金富神社)、当時八幡は「ヤハタ」と呼ばれていた。ハチマンという読みになったのは、神仏習合したのちのことだ。宇佐八幡宮となったのは、京都に石清水八幡宮ができてのちのことで(859年)、それまでは単に八幡だった。
 ヤハタの八は数が多いという意味で(八百万の神のように)、「ハタ」は神が降りてきたときの拠り所となる幡を意味するとされる。たくさんの旗を立てて信仰するというスタイルは朝鮮半島にあったものだ。源氏の赤旗、平家の白旗や、戦国時代の旗なども単なる目印というだけではなく、このあたりからも来ているようだ。
 宇佐地方は、新羅・加羅から渡来した秦氏が支配する国だった。5世紀頃のことだ。朝鮮半島からもたらされた信仰が土地で根を下ろし、日本の古くからの信仰と結びついて、八幡信仰が確立されていくことになる。

 秦氏などの渡来人は、信仰だけでなく進んだ知識や技術なども日本にもたらすことになる。
 八幡信仰はシャーマニズムの色合いが濃く、当時のシャーマンは火を扱う専門家でもあった。同時に鍛冶や鋳造の専門家でもあり、そのことがのちに日本との関わりを深くさせる要因となる。
 砂鉄と溶かして鉄を作り、銅から鏡などを作った。「鹿男」で有名になった三角縁神獣鏡も、卑弥呼が魏から送られたものだけでなく、日本国内でも作られていたという話もある。宇佐市の古墳からもそれが見つかっている。
 そんな流れの中、東大寺の大仏が一つの大きな転機となる。大仏作りは制作開始から10年の歳月を要すことになるのだけど、大仏の鋳造に7度失敗して8度目にようやく成功を収めたという経緯がある。日本国内の知識や技術だけではどうにもならないとなって、聖武天皇は宇佐に使いを送って助けを求めた。宇佐八幡宮に祈願したということになっているけど、実際は渡来人に銅や技術の提供を頼んだのだろう。よほどの理由がない限り、都のある奈良からわざわざ九州まで祈願しに行ったりはしない。
 その成功により、渡来人は朝廷と強く結びつくことになる。早速東大寺に手向山八幡宮が建てられ、神様であった八幡は八幡大菩薩という仏様にもなった。これが日本における神仏習合の始まりとされている。
 八幡には神宮の称号が贈られ、外来神が伊勢神宮に次いでいきなり国家第二位の神社になった。これを機に、八幡神社は日本全国へと広がっていくことになる。
 道鏡が天皇になろうとして八幡神の託宣を利用しようとした事件などでも八幡宮は登場するし、源氏と八幡との関わりも強い。源頼朝は鎌倉に幕府を開いたとき真っ先に取りかかったのが鶴岡八幡宮を建てることだった。鎌倉以降、武将の守護神としての意味合いも強めていくことになる。第二次大戦の特攻隊員の信仰心にまでつながっていく。
 京都の石清水八幡宮は多くの荘園を持っていたため、それらの土地にも八幡神信仰は広まっていった。
 ついでに書けば、稲荷神社も、もともとは秦氏が京都の伏見で始めたもので、のちに現世利益と結びついて信仰者を増やしたという歴史がある。そうみると、今の日本の神社の半分以上は朝鮮から来た神様を祀っているということになる。
 というのはまあ、一説で、歴史というのはもっと多くの複雑な要素が絡んでいるから、単純には語れない。裏日本史としてこんな話もありますよというつもりで今回は紹介してみた。
 でも、因縁というか導きというか、去年から巡っている場所やブログに書いてきたことが思いがけないところでリンクする不思議を感じずにはいられない。八幡宮、鎌倉、江戸、奈良の大仏、故郷の丹生、鹿男、神社仏閣……。バラバラだったものがつながっていく。こうなってくると、やはり次は京都だろう。飛鳥も押さえておきたいところだ。今後の広がりも楽しみにしたい。

井田八幡-4

 BIGで6億円当たったら、巡った尾張旭の各神社に10万円ずつ賽銭するという約束は忘れていない。なかなか当たりそうにないから、まずは安心か。
 とりあえずキャリーオーバー発生中ということで、普通に賽銭を入れて、ちょっとした願い事をしてきた。願いは自分のためのものじゃなく誰かのためのものならしてもいいのだ。私利私欲に走らなければ願いは身勝手なものではなくなる。

井田八幡-5

 本殿の横に御嶽神社と彫られた石が建っていた。素朴というか、質素というか。
 木曽の御嶽山で修行した僧たちが広めたもので、平安以前からあった古い信仰のようだ。
 どういう経緯でここに祀られることになったのかはよく分からない。

井田八幡-6

 本殿前にあるが尾張旭市文化財指定の陶製狛犬だろうか。行ったときはそんなこと知らなかったから、近寄って見なかった。写真で見る限り、普通の石像に見える。
 もしかすると大事なものだから中にしまってあるのかもしれない。でも、そんないいものならちゃんと所定の位置につかせて神社を守らないと。それが狛犬の仕事なんだから。
 また近くを通ったときにこれがそうなのか確認してこよう。

井田八幡-7

 本殿がどうなっているのか、ぐるりと一周回ってみた。
 おそらく昭和の建物だろうと思う。歴史的建造物というオーラは放っていない。昭和の日本家屋特有の古び方をしている。

井田八幡-8

 龍の口から水が流れて、手水舎の水がきれいだったのは好感が持てた。こういうローカル神社では、日常的な参拝客が少ないから、手水舎の水を止めているところも少なくない。水道水なら確かにもったないことだけど、こういう部分は神社では大事なところだから、手入れを行き届かせて欲しいと思う。
 えもん掛けに掛けられた手ぬぐいに生活感があった。

井田八幡-9

 この近くに山ノ神神社というのもあって、そっちも一緒に回ろうと思ったのだけど、場所が分からずぐるぐる走っているうちに日没となってしまった。神社のはしごはいけないぞということか、単に私が方向音痴なだけか。
 その少し先にも白山神社があるから、次はそちらも巡る予定でいる。今回の井田八幡宮で4つ制覇した。残りは主だったところで4つだと思う。他にも地図に載ってないような小さなところもあるだろうか。
 去年1年で3つだったから、順調にいけば来年中には終わるだろう。それまでにBIG当たるかな。




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