現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
ギフチョウを追いかけて追いつけなかった4月終わりの海上の森は初夏
2008年04月23日 (水) | 編集 |
海上の森4月-1

FUJIFILM FinePix S2 pro+TAMRON SP 90mm f2.8 / PENTAX K100D+TAMRON 70-300mm f4-5.6



 追いかけてギフチョウ、今年こそという3年越しの悲願も、遅刻と寝過ごしであっけなく打ち砕かれた。一週間前の午前中に行かなければいけなかった。春の女神と呼ばれるギフチョウが飛ぶのは、春先のわずか2週間ほど。それを見逃すともう来年まで会うことはできない。
 今年はギフチョウも早かったのだろうか。エサにしているコバノミツバツツジもほとんど終わっていたから、季節の進み具合は私が思っている以上に先へ行っていたらしい。4月の中旬に行こうと決めていて、先週行くつもりが雨に降られて行けなかったのが痛かった。一年なんて過ぎてしまえばすぐだけど、待ちわびる一年はけっこう長い。
 岐阜で見つかったギフチョウだけに、岐阜へ見に行けってことか。岐阜の山ならまだ早春をやっているところもあるだろうし、ギフチョウもこれからかもしれない。ちょっと調べてみよう。

 海上の森の4月後半は、すっかり初夏の風景だった。緑が生い茂る半ジャングル状態のようになっていた。気温も25度で、坂道を歩くと汗が出る季節になった。
 今回は赤池から物見山方面に向かって(途中で通行止めになっていて引き返した)、湿地帯を通って三角点まで歩いた。往復で約3時間コースだ。こちらは花が多いポイントではないので、野草の収穫は少なかった。虫にはまだ早い。鳥は鳴き声は盛んにするものの生い茂る葉に隠れて姿は見えない。全体的に時期的がやや中途半端だった。もう少し早いか、5月に入ってからの方がよかった。
 そんなわけで、ギフチョウは撮れなかったけど、海上の森で撮ってきた写真を紹介したい。

 一枚目のクモは何クモだろう。かなり小さめで、1センチもなかった。クモを見分けることは最初からあきらめているから、勉強がちっとも進んでいない。世界では3万種、日本でも千種類以上いるというからお手上げだ。
 それでも、近くで見るときれいなものが多いから、被写体としてはなかなかフォトジェニックなやつなのだ。

海上の森4月-2

 この時期になるとこいつらの登場だ。森の中を歩いていると、脇でガサガサっと音がして、何かが逃げていく。ヘビかと一瞬焦って、たいていはトカゲだ。
 上の写真は体にツヤがあるからニホントカゲだと分かる。ツヤ消しはニホンカナヘビという違う種類なので一緒にしてはいけない。どっちもトカゲじゃんと言われればその通りなのだけど。
 子供の頃は通学路の途中でも普通にいたからよく捕まえた。最近は街中を歩いていてトカゲを見るなんてことはなくなった。彼らにとってみれば生息地が減ったことが不幸なのか、安全な野山で暮らすようになったことが幸せなのかはよく分からない。

海上の森4月-3

 このまま虫写真が続くと虫嫌いの人が逃げていきそうだから、ここで爽やか画像を挟んでおこう。暑いときに水が流れる写真を見ると、ほんのちょっと涼しくなるような気がする。気のせいでも気がすることが大事だ。
 森は木々と清らかな水が流れていてマイナスイオンに満ちている。

海上の森4月-4

 ふた月くらい前までは、森を支配する色は茶色だった。今は緑色が圧倒的に森を支配している。絶対君主のように。
 この増殖ぶりは恐怖を感じるほどで、地球も人間がちょっと隙を見せたらあっという間に緑に支配された星になる。人間が絶滅したら、緑の星になるのに100年もかからないだろう。

海上の森4月-5

 わー、この季節かと思って少しうんざりしてしまう。森歩き最大の敵は、疲れでも迷子でも怪我でもなく、このクモの巣なのだ。歩いていて10回も顔にクモの巣がかかると気が滅入ってくる。大きなものなら見えるからよけられるのだけど、1本、2本の線で張ってある場合は見えない。顔の前で手を左右にヒラヒラ振りながら、ずっと歩かなければいけなくなる。その姿は客観的に見ると、誰もいないのにいえいえそんなことありませんよと一人芝居をしているように見えることだろう。あいつ、どんだけ謙遜してるんだよと思われてしまう。
 このクモの巣の主は留守なのか不在なのか、たくさんの虫がかかってそのままになっていた。散った桜の花びらも。

海上の森4月-6

 トンボもそろそろ出始めた。このトンボはまだふ化してあまり日数が経っていないようだ。たぶん、シオヤトンボの若だと思う。カラーリングはメスだけど、成熟してみないと分からない。オスも若い頃はメスと同じような体色をしているから。成長すると灰色になっていく。
 今日見かけたトンボはこの1匹だけだった。仲間がいなくて寂しかったのか、私の体に二度もとまってきた。

海上の森4月-7

 チゴユリを海上の森で見つけたのは初めてだ。これまで豊田市自然観察の森などで何度か見ているけど、純野生のものを自分で発見すると、また喜びが違う。
 相変わらずうつむきがちなやつで、撮るのが大変だ。下からのぞき込むようにして撮らないと花の中が見えない。
 並んで咲いている様子が稚児行列のようだということで、稚児百合と名づけられた。

海上の森4月-8

 湿地帯ではハルリンドウがびっくりするくらいたくさん咲いていた。ほとんど毎年見に行ってるけど、あんなに咲いていたのは初めてだ。金属の道を作って湿地帯の中に入れないようにしたのが功を奏したようだ。
 つぼみもたくさんあって、あわせれば100以上だっただろう。あれだけ咲いていると壮観ではあるけど、ちょっとありがたみがないようにも思えた。
 ピンクのハルリンドウはあの場所じゃないのかもしれない。奥にある湿地帯なんだろうか。

海上の森4月-9

 春を過ぎると、声はすれども姿は見えずの野鳥たち。ホトトギスが盛んにさえずり、オオルリらしき鳴き声が聞こえたものの、撮る以前に姿を見つけることさえできない。
 そんな中、最後の最後にキビタキが近くにとまってサービスしてくれた。偉いぞ、ありがとう。前の木が邪魔だったけど下手に動くと飛ばれそうだから、この場所から撮らせてもらった。
 キビタキもいい声で鳴く。高く澄んだ鳴き声が初夏の森に響き渡っていた。
 夏鳥シーズンも、もう始まっているのだ。

海上の森4月-10

 誰が立てたのか、三角点で鯉のぼりが泳いでいて驚いた。でも、森に鯉のぼりって、意外と違和感がない。

海上の森4月-11

 見晴らしのいい場所が少ない海上の森の中で、おそらく三角点が最も視界が開けている場所だろう。物見山は木の障害物が多い。
 望遠レンズでのぞいたら、遠くに愛知環状鉄道の線路と山口駅が見えた。ちょうど電車が両方からやって来て、一緒に駅に止まって、一緒に出て行くところを見ることができた。本数の少ない路線だけに、貴重なシーンを撮ることができた。
 西向きだから、夕焼けと絡めれば面白い写真が撮れるかもしれない。

 ギフチョウは残念だったけど、その他のものがそこそこ撮れたから収穫はあった。写真はもう一回分残っている。
 今回は初めて赤池から奥に向かって歩いた。途中で通行止めになっていて物見山まで行けなかったものの、コースの新規開拓も今後のテーマだ。特に北部分をあまり歩いていないから、あちらも行かないと。
 海上の森はまだまだ奥が深い。今年もワンシーズンに1回くらいの間隔で通いたいと思っている。次は夏か。また蝉時雨を聞きに行こう。




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