現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
変化球料理人の自覚と紀元前の焼き菓子に出会ったサンデー
2008年06月02日 (月) | 編集 |
変化球サンデー

KONICA MINOLTA α-7 DIGITAL+MINOLTA 50mm Macro f2.8



 私の作る料理は、130キロそこそこの真っ直ぐと、120キロのスライダーと、100キロちょっとのカーブでかわすピッチングをする2線級の変化球ピッチャーみたいだ。しかも、ノーコンときている。特別美味しくなくても、味が安定していればまだましだけど、作ってみるまでどこへいくか分からないというのは困ったものだ。料理の出来は料理に聞いてくれ。
 趣味の料理を始めてかれこれ2年以上経った。多くても週に1回ではなかなか上達は望めないにしても、そこそこ回数を重ねてきて、そろそろ自分の実力を思い知ってきている。どうやら私には、140キロ代後半のストレートを外角低め一杯に決める実力はないようだ。こうなったらもう、変化球料理人として生きていくしかない。
 という自覚の元で、今日は変化球料理3本勝負を挑んでみた。ピザ風ギョーザのトマトソース、マグロ入りの玉子丼上の具だけ、豆腐お好み焼きめんつゆ味の3品。パームボール、ナックル、シンカーみたいな料理だ。これぞ私の真骨頂と言えるかもしれない。

 ギョーザの具は、ジャガイモをつぶしたもの、キャベツ、タマネギ、卵、チーズで、トマトソースはニンジン入りのものを作った。ケチャップ、しょう油、ソース、唐辛子、コンソメの素、砂糖などを使って、やや甘めの濃い味付けにしてある。
 ソースの味はよかったけど、ギョーザの食感がやや固めだった。もう少しふんわりと仕上げられたらよかった。
 右手前は玉子丼にマグロを加えたものというか、マグロに卵とじをかけて焼いたものというか、かなり意図とは違ったところにいってしまったけど、結果オーライだった。これは上手く作ればもっと美味しくなる可能性を感じた。
 マグロの切り身に塩、コショウで下味をつけて、酒をまぶし、溶き卵に長ネギ、タマネギ、牛乳、塩、コショウ、ダシ、しょう油、みりん、砂糖、酒を混ぜて、フライパンで蒸し焼きのようにする。本当はもっと半熟にする予定が失敗、卵が固まりすぎた。
 最後の刻み海苔がけっこう効いて、これで玉子丼風味が強くなる。
 豆腐お好み焼きは、わりとありがちな分、無難な味だ。でも、お好み焼きのソースではなく、あえてめんつゆ味にしてみた。そちらの方が夕飯のおかずとしては合うから。ここをソース味にしてしまうと、他のものとの兼ね合いでバランスを崩しそうだった。
 豆腐は水切りせず崩してしまって、キャベツ、卵、ダシ、小麦粉、カタクリ粉、塩、コショウを混ぜて、フライパンで焼く。味付けは、しょう油、酒、みりん、めんつゆでつける。
 仕上げとして、青のりとかつお節をまぶせばできあがりだ。普通のお好み焼きよりもフワフワの柔らかい食感になる。小麦粉アレルギーの人は豆腐だけで作ることもできる。

 料理としての出来は、まあこんなもんだろうという仕上がりだった。どうにか変化球でかわして1イニング0点に抑えたという感じだ。勝ち負けはつかず。
 私のライバルは、レストランのシェフでも、家庭の主婦でもなく、ファミレスだ。そのことも最近分かってきた。ファミレスのメニューは、どれも飛び抜けて美味しいわけではないけど、とても安定感がある。4人目のローテーションピッチャーのように、一定の役割を全うする。変則ピッチャーの私としては、先発三本柱に食い込もうとするのは無理がある。だから、なんとかファミレスに勝つしかないのだ。コンビニ弁当には負けられない。
 変化球料理人をはっきり自覚できたのは、一つの成長だろう。今までは自分の実力を測りかねている。分かったからには、今の路線で上を目指すことになる。普通の料理を基本通りに美味しく作っても面白くないという性格的な問題もある。
 そんなわけで、これからも変化球料理を磨いていこうと思う。誰も思いつかなかった珍料理を作るのが目標ということになるだろうか。大リーグ料理養成ギブスを体に装着して、いつか魔球料理をマスターしてみせる。

スコーン焼き前

 今日のもう一つの話題は、スコーン作りだ。しかし、今となってみると、私が作ったものはスコーンでも何でもなかったということを私は知っている。スコーンを作ったことがある人にしてみたら、上の写真を見ただけでこれはスコーンじゃないと気づくはずだ。スコーンといったら小池屋のスコーンだろうと思った人、それはまた話が別なのです。私が作ろうとしたのは、カリッとサクッと美味しいスコーンではない。
 スコーンの定義はちょっと曖昧なところがあって、こういうものだとはっきりしているわけではない。スコットランドを起源とするビスケットのようなもので、小麦粉や大麦粉にベーキングパウダーとバター、牛乳を混ぜて生地を作ってから焼くというのが基本となる。一般的にはイギリスでよく食べられている焼き菓子という認識でいいと思う。
 アメリカでは同じものをビスケットと呼ぶことが多く、砂糖を入れて甘くするのがスタンダードのようだ。イギリスではプレーンタイプが主流で、ジャムやハチミツを塗ったりして、紅茶と一緒に食べるらしい。
 私のスコーン作りは、二つの致命的なミスをやらかした。一つは砂糖を入れ忘れたことで、もう一つは生地作りの間違いだ。
 焼き上がって一つ食べたとき、あれ、味がしないなぁと思って、そのとき初めて砂糖を入れ忘れたことに気づいた。自分で自分のうっかりぶりにのけぞった。
 生地に関しては、こねくり回しすぎたのと、寝かせ時間が長すぎたというのがあった。どれくらいこねればいいか分からないまま、うどん並みにこねくった結果、必要以上の腰というか固さを生んでしまったのだった。サンデー料理と同時進行していたから、生地の完成から焼き始めまでに3時間くらい間が空いてしまって、これも悪い結果を生む要因になった。あと、本来は生地を伸ばして二枚に重ねて型を抜くことで二枚重ねになるというのがスコーンの基本形なのに、そのことは焼き上がってレシピを復習しているときに気づいたのだった。
 これだけミスを重ねればまともなものができるはずもなく、出来上がったのが下のシロモノだ。

スコーンもどき

 固い、パサパサ、味がしないの三重苦。紀元前のエジプトで作られていたお菓子だと説明されて出されたとしたら、なるほどこれがねぇと深く納得してしまうような焼き菓子だ。素朴を絵に描いたようなクッキーで、戦後の子供でも喜ばない。
 本場のスコーンというのがどんなものなのかは知らないけど、これをイギリス人に食べさせたら顔をしかめるんじゃなかろうか。いや、イギリス人ならこれでも美味しいと言うのだろうか。
 とりあえず固いパンだと思えば食べられる。よく噛んでるとほのかな味わいもある。口の中の唾液を全部持っていかれるけど。
 ハチミツをつけて、飲み物と一緒に食べたらけっこういけた。イギリス人がそうしてるというのなら、あるいはこれは本場のスコーンに近いものなのかもしれない。レシピの粉などの分量を見ても、どう上手く作ってもケーキやクッキーのようにふんわりとはいかないんだと思う。粉が多くて、卵やバターの分量が少ない。
 けどこのスコーンというやつ、美味しいか美味しくないかといえば、そんなに美味しくないものなんじゃないか。普通にクッキーを作った方が美味しい気がする。少なくとも私は、紀元前の焼き菓子よりも現代のケーキの方が好きだ。
 ただ、一度の失敗で懲りてしまうのも悔しいから、もう一回挑戦したい。次はちゃんとレシピを忠実に再現して、正確に作ってみよう。砂糖を入れ忘れないようにしなければ。
 次こそ本物のスコーンと私は出会えるだろうか。出会えたら、またここで紹介したい。これがスコーンだと自信を持って。




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