現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
この一枚を撮るためだけでも行く価値がある中小田井の古い町並み
2008年07月18日 (金) | 編集 |
小田井町並-1

Canon EOS 20D+Canon EF-S 17-85mm f4-5.6 IS



 西区庄内緑地の西に、中小田井(なかおたい)という町がある。名古屋駅から電車で10分のこの場所に、古い町並みが残されていると知ったのはつい最近のことだった。ネットでそこの写真を見て、一目惚れじゃないけど、ここは絶対行こうと思った。そして、撮ってきたのが上の写真だ。
 中小田井の町並を紹介するときは必ず登場する場所だから、ここを知ってる人ならすぐに分かるだろう。残されている町並はごく短いこともあって、ベストポジションはここしかない。行ってみてそのことがよく分かった。これ以上近づくと全体が入りきらないし、離れると向こう側が見えなくなってしまう。だから、みんなここから撮る。
 けど、ここから写真を一枚撮るだけでも行く価値があるところだ。駅に近い名古屋市内でこの風景が残っているということに価値がある。
 そんなわけで、今日は中小田井で撮ってきた古い町並み写真を中心にお届けしたいと思う。これを見て、自分も行って撮りたいと思ってもらえるといいのだけど。

小田井町並-2

 中小田井の集落は平安時代にはできていたという。すぐ南に庄内川が流れていて、川が氾濫するたびに大きな被害が出ていたそうだ。今でこそ高い堤防が作られて、やや安心にはなっているものの、2000年の東海豪雨ではこのあたりも被害が出たんじゃないだろうか。名鉄の下小田井駅は完全に水没したそうだ。
 古くは織田井という字を当てられたようで、近世になって上小田井、中小田井、下小田井の3つの村に分かれた。
 小田井の転機は江戸時代に入ってからだった。名古屋城下と稲生街道を結ぶ岩倉街道として整備されたことで大きく変貌を遂げることになる。
 岩倉方面から枇杷島(びわじま)の青物市場へ野菜などを搬送するための道として使われて賑わうようになり、その帰り道に味噌や米、しょう油などの生活用品をここで買っていく人が増えたことで、街道沿いは商家が立ち並ぶようになっていった。
 明治以降、宅地開発などで古い建物は壊され、当時の面影を伝えるのは中小田井地区のみとなってしまった。明治24年(1891年)の濃尾地震で昔の建物はほとんどが倒壊してしまったという。現在残されている家屋も、それ以降に建てられたものだ。約300メートルほどの場所に、切妻造(きりづまづくり)や格子の家並みが並んでいる。

小田井町並-3

 観光地となっているところではないから、訪れるよそ者はさほど多くないだろう。それでも今はネットでこういう情報が出るから、昔よりもカメラを持った見学者がちょくちょく訪ねてくるのかもしれない。そのためではないだろうけど、こういうふうに家の前をきれいに飾っているところもある。自分のため半分、道行く人のため半分といったところだろう。嬉しい心遣いだ。

小田井町並-4

 昔のお金持ちの家特有の余裕のある作りだ。合掌造りのような大きくて容量のある家は、今はもう建てようと思ってもなかなか建てられない。

小田井町並-5

 生活している町だから、写真に車が入ってしまうのは仕方がない。電柱や電線もしょうがないか。
 有松も電柱地中化計画を立てているようだけど、ただ単に景観だけの問題で電柱を埋めるのは資金的に難しいのだろう。でも、目立たないようにという配慮で、電柱は茶色く塗られている。
 中小田井の岩倉街道は、町並保存地域に指定されているから、当面壊されることはなさそうだ。地面が赤く塗られている部分が指定ゾーンのようだ。

小田井町並-6

 こういう古い建物を撮った写真ばかりを並べていると、こんな風景がずっと続いているように思うだろうけど、実際はそうじゃない。大部分は普通の家で、ごく一部が残っているだけだ。規模としては小さいから、ここだけの散策なら10分もあれば終わってしまう。

小田井町並-7

 ここもなかなかいいところだ。こういう町並は、真っ直ぐよりも曲がっている方が雰囲気があっていい。

小田井町並-8

 このあたりはかつてどんな家だったのかは分からないけど、なかなか立派な家だ。
 水に浸からないようにということで、石垣で少し底上げしている。

小田井町並-9

 古い家屋以外はこんな感じの風景となっている。ごく普通で、特に変わったところはない。
 こんなところは知らなければよそ者が入り込んでくるような場所じゃない。日本全国にはさほど有名ではない隠れた古い町並みがたくさんあるのだろう。そういうところが好きで、そんなところばっかり巡っている人もいる。

小田井町並-11

 保存地区の南の終わりあたり。前に見えているのは、堤防を兼ねている庄内緑地沿いの道だ。この道のすぐ向こうが庄内緑地になっている。
 右側に並んでいる家は、昔の家屋ではなくて、昭和の家で、これも違う意味で保存したい。

小田井町並-12

 堤防道路沿いの家というか細い路地というか。公道なのか私有地なのか、よく分からない。物干し竿の台も置かれてるし。

小田井町並-13

 最後は日没。
 名古屋駅のタワー群がこれくらいの大きさで見える距離感だ。

 なんといっても中小田井のクライマックスは、一番最初の写真の場所だ。言い方を変えれば、見所はあそこと、あとは付け足しのようなものとも言える。ただ、あの一枚のインパクトは強い。
 ぎきれば違う時間帯の別のシチュエーションでもっと撮ってみたかった。おばあちゃんが歩いている昼下がりとか、夕焼け時間の中を自転車でいく高校生カップルとか、朝の小学生の登校シーンとか。
 私としては気軽に二度、三度と行けるところではないから、その他もいろいろまとめて回ってきた。いろいろといっても神社仏閣しかないんだけど。
 明日はその神社仏閣編になると思う。それが1回に収まらなければ、シリーズとしては全3回か4回になりそうだ。


この記事に対するコメント
ぜひ行きます
この町並いいですね〜。
有松は「いかにも」という感じなので生活感があって古い街並は大好きです。
例の川原の無料駐車場に停めて散策してみます。

【2008/07/18 22:33】 URL | miho-papa #- [ 編集]

写真としてはオススメの場所
>miho-papaさん

 こんにちは。

 中小田井は、写真に撮るにはいいところです。
 実際は、それほどでもないんですけどね。(^^;
 写真は余分なところが写ってないから、よく見えるだけというのもあって。
 最近、行ったところでよかったのは、津島の本町筋です。
 あと、稲沢ももう一回ちゃんと行きたいなぁ。

 中小田井の岩倉街道へ行くときは、堤防から歩くと距離があるんで、岩倉街道に直接車で行ってしまった方がいいです。
 名鉄の中小田井駅から右下斜めに伸びている細い道がそうです。
 途中に善光寺と五所社があって、どっちも駐車場があるから。
 お参りとセットにすれば大丈夫。

【2008/07/19 01:17】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


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