現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
2006年大晦日、10億円の太郎鐘をつきにいこう 2006年1月18日(水)
2006年01月19日 (木) | 編集 |
岡本太郎の鐘

Canon EOS D30+EF50mm(f1.8), f1.8, 1/180s(絞り優先)


 この前いつものように「そこが知りたい特捜! 坂東リサーチ」を観ていたら、名古屋に岡本太郎が作った奇妙な鐘があるという紹介があって驚いた。初耳だ。そんなことまったく知らなかった。今日そっち方面に出かけたので、これはいい機会だと寄ってみた。場所はバスレーンの「白壁」交差点を右折して(北へ)、線路の下をくぐって次の「大杉3」の交差点で左折して少し行った左側にある。説明が非常にローカルだけど、名古屋の人なら分かってくれると思う。もしくは、国道41号線を北へ曲がって「清水3」を右折した方が分かりやすいかもしれない。
 鐘のある久国寺(きゅうこくじ)というお寺さんは、観光地ではないので、平日はとても静かだ。もちろん、拝観料なんてケチなことは言わない。無料駐車場もちゃんと用意されている。
 問題の鐘は門をくぐったすぐ右にある。おおー、あった、あった、あれがそうか! と、あわてて鐘の方に走っていったりしてはいけない。田舎もんと思われる恐れがある。嬉しそうにぺたぺた触りまくるのもあまり誉められた行いとは言えない。ちゅうちょなく鐘を連打するなどもってのほかだ。まずは鐘を横目でちらりと見つつ、本堂に賽銭を投げ入れ、挨拶をするのがいいだろう。そしてそれが終わったら、あくまでもさりげなく鐘に近づき、あとはもう写真を連写するのみ。撮るべし、撮るべし。何枚撮ってんねん! と自分自身にツッコミが入るほどの連写を見せた私はすっかり満足して久国寺を後にしたのだった。田舎もん丸出し。

 しかしこの鐘、かなり変わってる。ユニークという言葉を超えて、鐘としての伝統的なスタイルも軽々と逸脱してしまっている。さすが、太郎。
 トゲトゲの部分は通常、丸いイボイボになっていて、この部分を「乳」と書いて「ち」または「にゅう」と呼ぶ。すごい尖った乳だ。これには「トゥームレイダー」のララ・クロフトも負ける。岡本太郎の趣味か?
 などと勝手なことを考えていたら、全然違った。これは人間の腕を表してるんだそうだ。そういえば鐘の表面には踊ってる人とか座禅を組んでる人とか逃げてる人とか、そんなような人々の絵が描かれていた。そして「TARO」の文字もしっかり刻まれていたのだった。
 腕だったのか……。そう考えると心霊写真みたいでちょっぴりちびりそうになるけど、この鐘のタイトルは「歓喜」となっているから、あの腕は喜びを表現してるのだろう。それなら安心だ。握手してもいいと思ったけど、コントみたいにポキッと折れてしまったら困るので触るのはやめておいた。
 どういう経緯で岡本太郎がこのお寺の鐘を作ることになったのかは、住職もよく知らないらしい。岡本太郎の母親が知り合いに頼まれてどうしたこうしたという話もあるけど、実際のところはよく分からない。
 この鐘を作るとき、試作品として小型のものを5つ作ったようで、その中のひとつが石原慎太郎の家にあるという。慎太郎と太郎が友達でもらったんだそうだ。それを息子のヨシズミが「なんでも鑑定団」に持ち込んだところ、8,000万円の値段が付いたらしい。で、この本家の鐘は10億円なんだとか。じゅじゅじゅじゅじゅうおくえん!? と、古典的な驚き方をしてしまう金額だ。家に帰ってきてから知った。行く前に知っていればせめて抱きついたりしたのだが。でも、うっかりつまづいてトゲが顔に刺さったりしたらシャレにならん。ララの胸なら喜んでも、このトゲでは歓喜とはいかない。
 制作されたのは1965(昭和40)年というから、大阪万博の太陽の塔を作る5年前だ。岡本太郎作のものは高値が付くことが多いけど、10億円ということは代表作のひとつと言ってもいいのだろう。家の近所にこんな価値のあるものがあることを今まで知らなかったなんて不思議だ。名古屋人でも知ってる人は少ないんじゃないだろうか。

 こういうお寺にある鐘のことを梵鐘(ぼんしょう)という(それに対して小型のものは喚鐘(かんしょう)などと呼ばれることが多い)。
「梵」はサンスクリット語の「神聖・清浄」を意味するBrahman(ブラフマン)の音訳だそうだ。伝わったのはインドからではなく中国からで、青銅製の楽器が原形と言われている。日本に来たのは、『日本書紀』に登場するのが562年ということで、そのあたりらしい。現存する最古のものは、698年製の妙心寺(京都)のものとされている。
 鐘は第二次大戦のとき、武器弾薬の素が足りなくなって、日本全国のお寺から持っていかれてしまった。貴重なものはなんとか許してもらえたものの、4万以上が持っていかれて、そのほとんどが帰ってこなかったという。久国寺の鐘も第二次大戦で壊れてしまったのだけど、その鐘も非常にいい音を出すという評判の鐘だったようだ。
 鐘を作っている知り合いがいる人はほとんどいないと思うけど、伝統を受け継ぐ鐘師という人たちがまだわずかに残っている。今でも年間100以上作られていて、需要に供給が間に合わないんだとか。鋳型を造って、そこに銅とすずの合金を溶かしたものを注ぎ込んで作るのだけど、数人の職人さんがかかりっきりでひと月はかかるというから大変だ。今ある型に流し込んで出来上がりというわけにはいかない。だから、すべての鐘はオリジナルで世界にひとつだけといえる。そうして鐘マニアが生まれるというわけだ。

 愛知県の人も、岡本太郎ファンの人も、ぜひ一度見に行ってみてくださいね。耳寄りな情報としては、一年一度、大晦日の日にこの鐘をつけるビッグチャンスがやって来る。当日の23時から整理券を配るらしいけど、先着108人とかなんだろうか?
 人は〜み〜な〜〜 孤独の〜な〜か〜 あのか〜ね〜を〜 鳴らすのは〜 あな〜た〜〜♪
 2006年大晦日、この歌を歌いながら私と一緒にこの鐘をつきませんか? 若干名募集。

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【2006/01/19 10:56】 URL | トプログ #- [ 編集]


太陽の塔のお膝元に住んでる私としてはぜひ拝みにいかなくてはいけませんねぇ。
それにしても怪獣のトゲかなんかですか?って言いたいくらいとげだらけ。
いい音がなるんでしょうかね?さすが芸術は爆発だーー

【2006/01/19 18:58】 URL | spiny #- [ 編集]

参加したいものがいくつか
★トプログ様

 はじめまして、こんにちは。
 お誘い、ありがとうございます。
 機会がありましたら、参加させていただきます。そのときはよろしくお願いします。

【2006/01/20 03:29】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]

逃げ遅れたら負け
★spinyさん

 こんにちは。
 spinyさん、太陽の塔の中に住んでるんですか?
 ん? 違いました?
 あれって、中どうなってるんだろう。見たこともないから、スケール感も分からない。
 私の方こそ、ぜひ一度見に行かないといけませんね。万博仲間としても。
 愛・地球博は、そういうあとあとまで残るものを作れなくて残念でした。サツキとメイの家じゃ違うし、あれも数年限定だし、マンモスは帰ってしまったし。

 岡本太郎の鐘も機会があったら見にきてくださいね。
 あのトゲトゲ効果で、いい音鳴らすらしいですよ。普通の鐘にはない震え音があるんだとか。
 ピンポンダッシュのように、鐘つきダッシュで逃げれば大丈夫かもしれない(笑)。
 spinyさん、足速いですか? 遅れたら置いてきますからね(笑)。

【2006/01/20 03:33】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]

すげ〜
岡本さんの鐘なんてあるんですね〜。
考えつかないよ・・・。こんなデザイン。
どんな音がするんだろ〜、普通の鐘といがうのかな??
もし、聞いたらまた報告お願いしますね〜。

【2006/01/20 22:49】 URL | kuroneko #- [ 編集]

岡本さんといえば
★kuronekoさん

 こんにちは。

 岡本さんというと、テコンドーの岡本依子のぐしゃぐしゃの泣き顔を思い出します(笑)。
 岡本太郎の鐘があるなんて、私もつい最近まで知らなかったんですよ。名古屋人の間でも浸透してないんじゃないかな。
 10億円と聞いてびっくりしたけど、形もびっくりですよね。
 でもあのトゲトゲのおかげで何やら不思議な音を出すそうです。そこまで計算に入ってたのかな。入ってたんでしょうね。5個も試作品を作ったくらいだから。
 大晦日は名古屋にはいないんだけど、なんとか機会を見つけて聞いてみたいと思ってます。

 あ、そうそう、kuronekoさんのブログ、リンク集に入れさせてもらいました。よかったでしょうか? イヤだっ、という場合はお知らせくださいね(笑)。

 ではでは、またー。

【2006/01/21 04:21】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


いえいえ、リンクでもなんでもつけちゃって下さいな。
いつも、遊びに来てもらって嬉しいです。
正直この鐘をみたとき衝撃を受けました・・・。
んで岡本太郎さんの作品だとわかり納得したのですが・・・。

また遊びにきま〜す

【2006/01/21 14:19】 URL | kuroneko #- [ 編集]

普段目にしていて見てないもの
★kuronekoさん

 リンク、よかったです(笑)。
 これからもよろしくお願いします。

 北海道レポート楽しみにしてますね。
 こちらは名古屋のものをあれこれ紹介します。
 何があるかなぁ。普段目にしてるものって、当たり前すぎてあらてめて写真に撮ったりしないんですよね。北海道でもきっとそうだと思うけど。
 まずは基本的なところで、テレビ塔や名古屋城の全景なんかも撮らないといけませんね。

【2006/01/22 04:30】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


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