現身日和【うつせみびより】
この世界にはたくさんの美しいものや面白いものがあることを知るための毎日であれば、それは楽しくて幸せなこと。
今年最後は布池教会で反省なき締めくくりと新たな思い 2006年12月30日(土)
2006年12月31日 (日) | 編集 |
布池教会大聖堂

PENTAX istDS+TAMRON 28-200mm XR(f3.8-5.6), f3.8, 1/8s(絞り優先)



 重い扉を静かに開いて、おそるおそる中をのぞき込む。大聖堂の内部は静まりかえり、木の椅子に腰を下ろしている人の姿が数人確認できた。どうやら入っても大丈夫そうだ。ちょっとおじゃまします。
 クリスマスイブの日曜午後、ミサを終えた礼拝堂は夜のクリスマスキャンドルまでの間、しばしの休息に入っていたらしい。私たちも椅子に座ってしばらくの間、そこで過ごすことにした。クリスチャンでも仏教徒でもないけれど。もちろん、ヒンズー教でもゾロアスター教でもない。
 見上げるとアーチ型を描く天井が高い。正面上部にはイエス・キリスト十字架のステンドグラスがはめられ、光を通して鮮やかな色彩を放っている。振り向くと二階には大きなパイプオルガンがあるのが見える。以前訪れたとき、その音色を聞いた。それは遠い記憶を呼び覚ますような懐かしい音だった。
 大聖堂の中の空気感をどう表現すればいいだろう。神聖という言葉は逆に安っぽく、厳かというほど重たく暗いものではない。ひんやりしているけど暖かくて、硬質だけど堅苦しくはない。濃密な空気に全身が包まれて守られているような安心感を覚える。とても居心地がいい。一度坐ったらもう動き出せないような気さえしてくる。たった壁一枚でこれだけの空気を閉じこめることができるのはどういうことだろう。外界とは明らかに異質の空気が支配する、まさにここは異空間なのだ。
 ひとつには人間の善良な部分だけで成立しているということがあるだろう。悪い人間はほとんど入ってこない場所だし、少しくらいの悪い想念もここでは簡単に浄化されてしまう。あるいは、祈りの念が空気に重みを与えているのだろうか。ここは芸人殺しだ。この空間ではダウンタウンでもスベってしまうに違いない。
 大聖堂というのは、他のどの場所の空気感にも似ていない特別なところだ。特にここ布池教会はそれが色濃い。ここを訪れて心地いいと感じれば、それは善良な側に属している証拠と言っていい。人が人を選ぶように、場所もまた人を選ぶ。

布池教会外部

 5階建ての鐘楼は地上50メートル。遠くからでも2本のとんがりがよく目立つ。東区の自慢のひとつだ。名古屋市の都市景観重要建築物にもなっている。
 ゴシック様式の建物は鉄骨鉄筋コンクリート造りで、1962年(昭和37年)に建てられた。聖ペトロ・聖パウロ司教座教会とも呼ばれるカトリックの教会だ。
 司教座聖堂はカテドラル(Cathedral=大聖堂)とも呼ばれ、カトリック教会の中心を意味している。この布池教会は愛知、岐阜、石川、富山、福井県の名古屋教区の中心となっている。司教座のことをカテドラともいうので、なんとなくややこしい。
 日本のカトリック教会は16の教区があって、東京、大阪、長崎の三つの教会管区に分けられる。一般人は覚える必要のない知識だけど、自分の住んでる街のカテドラルくらいは知っておいてもいいかもしれない。
 場所は、東区の桜通と錦通に挟まれたやや奥まったところにある。近い駅は、地下鉄東山線の新栄町駅か、地下鉄桜通線の車道駅で、それぞれ歩いて5分くらいだろう。高い尖塔が見えるはずなので迷うことはない。車の場合は、少しとめられる無料駐車場か、近くのパーキング利用になる。

布池教会前の人々

 教会前の人々。若いカップル、写真を撮る人、塔を見上げる人、結婚式の説明を受ける二人。ここは名古屋で一番大規模なカトリック教会結婚式を挙げることができるところでもある。最大参列者数は700人とかだったか。それだけいっぱいにするには芸能人か財界人でもないと難しいかもしれない。
 ちらっと調べたら、平日20名で54万円とか。高いのか安いのか、まったく見当がつかない。これがどこまでのコースなのかもよく分からない。もしかしたら、披露宴まで含めての金額なのだろうか。結婚式の終わりには白い鳩が飛ぶらしいから、鳩代ってことも考えられる。その鳩たちはちゃんと家に戻ってくるんだろうかなんてことが気になったりならなかったり。
 値段はともかく、本物の教会で結婚式を挙げたいカップルには断然おすすめできる。結婚式場の教会とは全然違うはずだ。もう少し規模が小さくてもいいなら南山教会もあるけど、名古屋で一番といえばやはりここだ。神前で名古屋一となると熱田神宮会館ということになるのだろう。
 日本の場合はカトリック教徒でなくても教会で結婚式はできる。ただ、結婚準備講座というものに参加しなくてはならないようだ。

 大聖堂の中で30分ほど過ごしていたら、少し人が増えてきてザワザワしだした。夕方からのクリスマスキャンドルの準備も始まったので、出ることにする。非日常的空間から日常へ。扉を開けた向こうには、いつものざわついた街の音がして、私たちは一瞬にして夢から覚めた。けど、やはり私たちが生きるのはこちら側だ。あちら側ではない。教会へはときどき行くくらいがちょうどいい。ひと月に一度かそれくらいで。あちらが日常空間になってしまったら、ありがたみがなくなってしまう。
 今年最後の絶好の懺悔機会だったけど、私は何も思うところはなかった。反省からは何も生まれないと思ってるから。自分がしてしまったことを悪びれてもしょうがない。反省するようなことは最初からしなければいい。失敗も間違いもすべてこの先でいかせばいいだけだ。無駄なことは何もない。懺悔して許してもらって何もなかったことにしてもらおうだなんて思ってはいけない。起こったことはすべて積み重なっていく。日々感謝の気持ちを忘れず、自分が幸せになることで恩返ししたい。それが自分を支えてくれている人たちに対してできる唯一のことだと私は思っている。
 とにかく前へ進むこと、少しでも遠くまで行って、見たことがない景色を見たい。その思いは今年一年を通して変わることがなかった。このブログも、ほぼ休むことなく一年書き続けて、日々新たな発見があった。今年は今日で最後になるけど、来年も今年以上に書きたいと思っている。私にとっても読んでくれている人たちにとっても、毎日が今日という日を生きた証になればいい。昨日まで知らなかったことを知ること、それが書き続ける意味だ。
 今年一年、どうもありがとうございました。来年もまたよろしくお願いします。さよなら2006年、こんにちは2007年。


この記事に対するコメント
幸せな贈り物
オオタさま

こんばんは。
一年間、お疲れ様でした。
毎回、楽しく読ませて頂きました。(^^)

今年の締めが、私の大好きな、この教会だなんて、
とてもステキなプレゼントをもらったみたいです。
ありがとう・・・。*^^*

この前の日曜日、はじめて訪れたのですが、
教会の空気に、すっかり心を奪われてしまいました。

来年も、頑張って書き続けてくださいね。
きっと、毎回、誰かの心に、幸せな贈り物が届いているって思うから。(^^)

では、また、らいねん・・・ん?(笑)

【2006/12/31 02:31】 URL | mao_cat #- [ 編集]

書きも書いたり読みも読んだり
★maoさん

 こんにちは。
 お久しぶり……じゃないですね、全然(笑)。

 そうなんですよ、今年最後はやっぱりここかな、と。締めくくるには一番ふさわしいところのような気がして。
 これがタロとジロの南極観測船じゃちょっと違いますもんね(笑)。
 いやー、布池教会、よかった。しみじみ。
 毎日あんないいところばかり巡っていたら、かえって感覚が麻痺してしまいそうだけど、初めて行ったりたまに行ったりするといいですよね。
 maoさんにも喜んでもらえてよかったです。

 一年間読んでくれて、こちらこそお疲れ様でしたと言いたい(笑)。
 一体いつからこんなに長くなってしまったんだ!?(^^;
 最初の頃は、文章も短かったし、ササッと書けてたのに。
 来年はまさかこれ以上長くなることはないだろうと思うけど、またつき合ってくださいね。(^^)

 そんなわけで、また来年……というにはちょっと早いのか。
 でも、やっぱり来年ですね。

【2006/12/31 02:42】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


いつも、読んでいて楽しいブログで
自分が、旅行に行ってる気分で見ています・・
来年も、いろんなところ見せてください・・・・

P.S
  もこと漫才コンビは・・・・・
  (ノ≧ロ)ノ<嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌

【2006/12/31 16:05】 URL | ゆき #- [ 編集]

優しい〜森には〜♪
熱田神宮会館の文字を見てから、この歌が頭から離れません(><)

私もまったく宗教には関係ないけれど、教会はググ〜〜っときますね^^
とっても素敵な教会ですよね。
岡崎には大した教会って言う教会なんてないので
返って結婚式場の教会の方が立派に見えるくらい(笑)

教会は女の子の永遠の憧れですよね^^
 ↑
憧れで終わりそうですねという突っ込みは禁止ですから!(笑)


毎日素敵な写真をありがとうございました^^
来年も行きたくなるような記事をお願いしますね^^

よい年をお迎えくださいペコリ(o_ _)o))

【2006/12/31 23:15】 URL | もこ #NJsiWxd2 [ 編集]

毎回長い
★ゆきさん

 こんにちは。
 毎日の長々とした文章につき合ってもらってどうもありがとうございます。(^^)
 私は書くのはどれだけ長くても平気なんだけど、書いたものを読み返すのがあまり好きじゃなかったりするんですよ。長すぎるだろう、とか思ったり(笑)。
 今年もますます長くなっていくんだろうか。自分でも不安だ。(^^;

 読んでもらった人が、少しでもそこへ行ったような気分になれるといいなぁと思ってます。
 今年はまた東京へ行くから、ゆきさんの馴染みの場所も出てくるかもしれないですね。
 自転車で風になってる人を見かけたら、小さな声で呼びかけてみますね。ゆきさん……? と。

【2007/01/02 04:06】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]

やっぱり愛知県民
★もこさん

 こんにちは。
 やっぱり、愛知県民ですね。
 熱田と聞いて反射的に、優しい〜森には〜神話が〜生きてる〜♪
 この宇崎竜童の歌声が頭の中を流れてしまうとは(笑)。
 確かに、あれは耳に付いてますよね。(^^;
 その後、エンドレスは終わりましたか?

 教会のよさは、私も最近になって初めて知ったのでした。あれはいい空間ですね。
 もこさんも心地いいのなら、実は善良な人だったんですね(笑)。
 岡崎の教会事情は、家康とキリスト教の関係があるのかな。
 豊橋に豊橋ハリストス正教会ってのがあって、そこはぜひ一度行きたいと思ってるんですよ。もこさんちからならそんなに遠くないのかな。もし、あっちへ行くようなことがあったら寄ってみてくださいね。

 去年はこちらこそどうもありがとうございました。
 今年こそ、もっとアイの写真出しますんで(笑)。

【2007/01/02 04:17】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


教会・・私は教会にはほとんど行ったことはありません。
いや一回もないのかも・・結婚式場のしか記憶にない・・
私は毎年お店のフィリピンの子達を初詣に連れて行きますが教会ではなく神社です。
一回は実家の広島県の宮島の厳島神社に連れて行ってあげたいのですが
とてもじゃないがそこまで大人数を連れて行こうとなると一苦労です。
教会は死ぬまでにサグラダ・ファミリアに行ってみたいです。

【2007/01/05 16:47】 URL | ビアンキ #- [ 編集]

未知から既知へ
★ビアンキさん

 今日は普通、入ったことないところですよね。(^^;
 私も去年までは一度たりとも踏み込んだことのない未知の領域でした。
 でも、ふとしたきっかけで入ってみると、これが思いがけず心落ち着く空間だったのでした。
 特に人の少ない普通の日がおすすめです。

 フィリピンの人たちはクリスチャンが多いのでしょうか。だとしたら、教会は馴染みが深いところなんでしょうね。
 厳島神社は喜んでくれるでしょうか。私を連れて行ってくれたら大喜びなんだけど(笑)。
 厳島神社はいつか必ず行きたいところのひとつです。清盛神社も。

 サグラダ・ファミリアは永遠に完成しないと思っていたら、2022年とかに完成予定なんだとか。
 それはそれでちょっと寂しいなぁ。あそこはいつまでも建て続けていて欲しい。

【2007/01/06 14:38】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


そうそうサグラダ・ファミリアは完成しそうなんですよね。
あれは未完成・・・不完全であるとこがひとつの魅力ですからねぇ!
見たいような見たくないような・・
想像力をかきたてられるところが素晴らしいんでしょうね。

【2007/01/08 02:47】 URL | ビアンキ #- [ 編集]

未完の大器というけれど
★ビアンキさん

 サグラダ・ファミリアは完成させちゃダメだろうって思いますよね(笑)。
 ガウディもあの世で怒ってるかも?(^^;
 永遠に完成しないような感じだったのに、2020年とかだったらそんなに遠い未来じゃないですよね。
 行くなら、未完成のうちなのかな?
 完成したら何か決定的に変わってしまうんだろうか。
 なんにしても、一度は見てみたいですね。

【2007/01/08 23:27】 URL | オオタ #dcJU4M0Q [ 編集]


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